第2回 人間関係の強化と、感謝の気持ち
良い学校とは、「心が折れない丈夫な子」の育成に力を入れていて、その結果「文武両道」に優れる。佼成女子も、ハンドボール部などの快進撃から、それがうかがえる。前回はそのような結論を導き出した。
そこで今回は、さらに「佼成女子で伸びる理由」を探るべく、バスケットボール部にスポットライトを当ててみる。
■バスケットボール部の黄金期
2002年、佼成女子のバスケットボール部には、「甲子園」の一歩手前まで登りつめた「黄金期」があった。強豪揃いの東京都大会で「ベスト4」入りを果たしたのだ。選手の何人かは、そのまま国体にも出場し、準優勝という輝かしい成績に貢献した。
ここで注目すべきは、その「黄金期」のメンバーである。実は誰一人として、中学時代から目立って強かった選手はいなかったのだ。
例に出すまでもなく、いわゆる「甲子園常連校」は、まわりの中学から「スポーツエリート」を吸い上げることで、その力を維持している。強い子が集まるからますます強くなる、という「正のスパイラル」が完成しているのだ。これは野球以外のスポーツも同様で、バスケットボールの世界では、身長が高い選手は強豪校からスカウトされている。
ところが佼成女子では、中学までは「普通のバスケットボール好き」だった生徒が、高校で実力を開花させ、好成績を残した。つまり、高校での指導の成果が大きかったというわけだ。
▲「子どもたちには『やらされるな』といつも言ってます。やらされるバスケは面白くないし、スポーツは本来、楽しむものですからね。だから私も、練習では怒ることもありますが、試合では一切怒らずに楽しませています」そう語る松田先生
■信頼関係と感謝の気持ち
そんなバスケットボール部を率いるのは松田登先生。総合体育館ができた昭和50年に赴任して以来34年間、佼成女子のバスケットボールを厳しく指導してこられた。
松田先生によると、進学校である佼成女子における、スポーツ指導の方針は2つあるという。
1つは、人間関係の強化だ。「チームワークが必要な競技だから、信頼関係が特に大事です。そして、そこで生まれた信頼関係は、バスケットボール以外の勉強や、卒業した後の人間関係の場面にも活きてくるんです」と松田先生も語るように、これは佼成女子の「人と人の交わりを大切にする」という学校方針と一致し、成果を発揮している。
そして2つ目は、保護者に対する感謝の気持ちだ。
好きなバスケットボールをさせてもらっている以上、保護者からの理解を得ないといけない。そのためには、勉強もがんばるように指導しているのだ。さらに、試合の組み合わせ表も、生徒には2部ずつ渡し、そのうち1部は必ず保護者に渡すように言っている。「自分が楽しく高校生活を送っていられるのは、保護者のおかげだ」(松田先生・談)、という気持ちを忘れないようにしているのだ。
これら2つの指導方針が、「普通の生徒」を大きく伸ばし、部活での成果につながった。技術だけではない、心の鍛錬(たんれん)が、選手を成長させたのだ。
(つづく)
(文責・写真: 教育ライター 吉本真一)
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