理事長講話6月15日(水)、中学2年生を対象に、酒井理事長の講話が行われました。親が子供を思う愛情がどんなに深いかについて実例を交えてのお話に、生徒たちは自分自身を振り返りながら真剣に聞き入りました。

先日、とても嬉しい話を聞きました。佼成女子には、地方から来ている高校生もいて、寮生活をしています。彼女たちは、近所の駐在所のおまわりさんにとても評判がいいというのです。なぜなら、皆さんの先輩方は駐在所のおまわりさんに笑顔で毎朝「行ってきます」、帰るときには「行ってまいりました」と挨拶していて、それがおまわりさんにはとても嬉しいことなのだそうです。おかげで、その駐在所には警察署から人事異動希望者が殺到しているとのことです。
今日ここに来たら、皆さんの方から自発的に、私に「こんにちは」と挨拶してくれて、嬉しく思いました。これからも、学校でもお家でも、一つ一つ挨拶ができるような佼成女子の生徒になってもらいたいなと思います。

今日は、皆さんに「父・母の恩は山よりも高く、海よりも深い」というお話をします。
親がわが子を思う思いは、「山がどんなに高くても、その山よりもっと思ってくれる。海がどんなに深くても、お父さんお母さんがわが子を思う愛情のほうが深い。」そういう意味の言葉です。

私は先日、山口県山口市へ行ってきました。中村さんという若いお父さんが、子供時代の体験をお話してくれました。
中村さんは、小2のときにお父さんを亡くして、母子家庭になりました。お母さんが一人で一生懸命育ててくれた。お母さんは生活費を稼ぐために子供を置いて、隣の徳島県で住み込みで働き、一ヶ月に1度、お休みをもらって帰ってきてくれておりました。あるとても寒い日、お母さんが帰ってきていた日でありましょう。銭湯から帰ってきてそのまま布団に入ると、とても布団が温かい。お母さんが、風呂上りのわが子が風邪を引かないようにと、ふとんを自分の体で暖めておいてくれたのです。中村さんはこう書いています。
「私は温かい布団の中で、母のぬくもりを体全体で感じ、母の匂い、母の体温を感じながら眠りに就いたのです。今、その母も亡くなり、子供を持つ親となってみて、改めて子供のために住み込みで必死に働き、月に一度は子供を案じて帰宅し、そっと私の布団を温めてくれていた母のことを思うとき、母の愛情の有難さに涙をこらえることが出来ません。」

この、お母さんのわが子を思う愛情、これはどこの親も同じであります。皆さんのご両親も、いろんな形でわが娘のことをいつもいつも思ってくれているのでありましょう。
5月28日の名古屋での火事を伝える新聞報道がありました。お母さんが3人の幼い娘さん3人に覆いかぶさるように倒れていたとありました。自分は焼け死んでもいいから、子供たちを助けたいと思っていたに違いありません。
お父さん、お母さんとは、自分の命をはってでも、子供を生かしたいと願うものなのであります。皆さんもご両親を思い浮かべながら、この話を聞いてもらいたいと思います。

理事長講話東日本大震災でも、たくさんの胸が痛む親子の話がありました。
看護師さんのお母さんが、子供たちの無事を確認した後、患者さんのために病院に戻り、津波に流されて亡くなりました。救助されたときにお母さんは意識朦朧としながらも、3人の子供の名前を呼んだそうです。お母さんが最後の愛情を傾けて発した言葉だっただと私は思いました。
テレビでは、幼い少女が瓦礫の海に向かって、「おかあさーん」と全身を振り絞って語りかけるシーンを見ました。
また、3人の幼い娘を亡くしたお父さんは、娘が小学校を卒業するときのために買った洋服を、棺の中に入れてやったと語りました。お父さんは「私は今まで娘たちの成長を楽しみに生きてきました。これから何をよりどころにして生きていけばいいのでしょう」と、棺の前で涙ながらに語っておられました。

「父母の恩は山よりも高く、海よりも深い」。私は今回、そういう実例をあげさせてもらいました。皆さんにも、ご両親がこうして私立の佼成女子に通わせてくれること、そのことに対する感謝を忘れないで、勉学にも励んで欲しいと思います。

この学校の創立者、庭野日敬(にっきょう)先生がご存命の頃、短いけれどもとてもいい言葉を私たちに教えてくれました。
「孝は幸なり」
親孝行は幸せなり。お父さんお母さんに本当に心から感謝をして、ご両親に孝行できる人は絶対に幸せになるよ。我が子のためにがんばってくれているご両親を本当に大切にして生きていける人は、必ず大人になったら幸せになるよ。日敬先生はそう教えてくれました。

皆さんのご両親は、皆さんのことを目に入れても痛くない娘だと思ってくれている。どうか皆さんも、ご両親の期待に少しでも応えられるように、何かしてもらったら「ありがとう」、心配をかけたら「ごめんね」とお詫びできる、そういう素直な娘として、中学生活を有意義に送ってもらいたいと思います。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)