summer mountain皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。

毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。

学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。

第5回目の今回は、「郷里のこと」と題してお伝えします。

夏の休暇を利用して、郷里「会津若松市」へ帰ってきました。ひさかたぶりに聞く会津弁にいつのまにか飲み込まれ、私もいつもとかわらぬ会津人になっていました。

高校時代から山岳部に所属し、かつては大きな荷を背負い一週間程の山行はあたり前の様に20代、30代を過ごしていました。しかし歳を重ねるとともに、それも儘(まま)ならずといった風になり、今は軽い野歩き程度の塩梅(あんばい)です。

郷里の自然の美しさと懐かしさに誘われ「磐梯山麓」をひとりで歩いて来ました。

むせる様な緑の豊かな香り、木々の間を飛び回る鳥たち、他を圧倒するセミたちの鳴き声等々、私の心と体をいつの間にかすっぽりと包み込んでいました。足に疲れを感じる頃、緑の合間から遠目が利くようになり、光がキラキラと跳ねる猪苗代湖が見え、その手前には稲穂の青さが豊饒(ほうじょう)としているのです。その光景は真に美しいものでした。

会津盆地は緑豊かな山々に囲まれ、肥沃な土地が連続し、桃、りんご、柿等果樹やイチゴ、野菜、花卉、そして米作等、農業を盛んにしています。
いつもですと農家の人々からは、桃の出荷や米作の秋の出来具合等で元気の良い声が聞こえて来る時期なのです。
しかし全くといってよいほど、その声はありません。
かわりにあったのは桃と一緒に届けられた知人からの手紙でした。
cicada
『…「農」を生業にする者にとって、土壌を汚染されるということは、生命線を絶たれるのと同じです。…原発から100km以上離れているとはいえ…大丈夫なのかと、夜も眠れぬ日々を過ごすこととなり…農作物を作り上げることに全力を注いで来た日々を想うと悔しさがこみ上げてきました。…しかしながら、責任ある生産者として、また一人の親・祖父として「安全だ!」という食べ物以外は食卓に上げることはできないという思いは強く…。放射能の検査依頼…放射能は検出されず…心底ほっとした次第です』

手紙は「農業人」としての美しい自然と仕事への愛着、そして大きな誇りと広い責任感に満ちていました。

夏休みもまもなく終わります。いつもの様に、にぎやかな生徒たちの声が校舎に帰って来ます。
手紙の主の様に愛着と誇りと責任感を持って、二学期を迎えたいと思います。

(佼成学園女子中学校高等学校校長 山内日出夫)