創立記念式典9月7日(水)、今年も佼成学園の平成23年度創立記念式典が行われ、女子校及び男子校の生徒、来賓、教職員が普門館に集結しました。式典後の記念講演は、非営利活動法人ジェン(JEN)理事・事務局長である木山啓子さんの「誰かのためなら人はがんばれる」。ジェンは世界中の紛争や自然災害の被害者に対する緊急支援活動を行っており、今回はジェンが実際に世界の被災地で行っている心のケアと自立の支援の方法について、また東日本大震災における支援活動についてもお話いただきました。

創立57周年となる今年も晴天に恵まれ、佼成学園の女子校、男子校の生徒及び教員が一堂に会しての記念式典がしめやかに行われました。
両校の生徒会長2名が司会進行役を務め、まずは吹奏楽部による演奏にのせて、宗教委員会による献花が行われ、その後、庭野日敬学園創立者の経歴や人となり、偉大な足跡を紹介する映像が流されました。

吹奏楽部司会進行の生徒会長

庭野日敬とマザーテレサ庭野日敬学園創立者の歴史は佼成学園の歴史でもあり、この映像を初めて見た生徒には校訓の「行学二道を励み候べし」の意味が改めて心にしみたことと思います。

庭野日鑛学園長続いての庭野日鑛学園長の論告は、日本の教育の原点である「寺子屋」のお話から始まりました。
「日本の教育の原点である寺子屋は、子供たちに読み書きそろばんという生きていくために必要な最低限のこと教えて、社会に出たときに困らないようにしてあげるという愛情、慈しみの心からスタートしています。当時の識字率は70%で、世界でも最も識字率の高い国だったそうですが、それを支えていたのが寺子屋です。寺子屋では成績を競ったり順番をつけるというようなことはなく、子供たちの個性を尊重して指導が行われていました。寺子屋の教育、これは今の私たちにも大切なことを教えてくれるように思います。」

そして木村和夫さんの「習慣」という詩を朗読されました。
「『毎日毎日が習慣づくり/勉強をサボるという習慣/勉強を真剣にやるという習慣/本を読まないという習慣/本を読むという習慣/字を乱雑に書くという習慣/字を丁寧に書くという習慣/小さな声でぼそぼそと言う習慣/はっきりした声でしっかり言う習慣/毎日毎日が習慣づくり/挨拶をしないという習慣/挨拶をするという習慣/ 以下略』
まさに寺子屋の子供たちと同じ成長過程にある皆さんは、どういう人間になりたいか考え、そのためにどうかしっかりした習慣作りをしていただきたい。
七転八起という言葉があります。東日本大震災に台風と日本は大変なところにいますが、日本は昔から多くの災害にあい、そのたびに這い上がってきた。日本人として、七転八起の精神も身に着けていただきたい。
学習という言葉は、学ぶと習う。習うという字は、羽と白いの組み合わせで、鳥が巣離れをするときに親鳥の真似をして何度も羽ばたくということから、同じことを何度も繰り返して実践することをいいます。学んだことをすぐに何度も実践する。学習とはそういう意味です。私たちの校訓である行学の行も、実践を意味しているのです」

休憩をはさんだ記念講演は、非営利活動法人ジェン(JEN)理事・事務局長の木山啓子さんによる「誰かのためなら人はがんばれる」。講演に先立って、全員で東日本大震災の被災者の方に哀悼の意を表して全員で黙とうをささげました。
木村さんはジェンでの活動により、05年エイボン功績賞、ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006大賞を受賞されています。講演の前半はジェンの活動内容について、後半はジェンの石巻のスタッフであり、被災者でもある杉浦さんとのトーク形式でお話いただきました。

非営利活動法人ジェン(JEN)理事・事務局長の木山啓子さんジェンは、心のケアと自立の支援をモットーに今まで19か所の国と地域で支援活動を行ってきており、現在の対象はアフガニスタン、ハイチ、スーダン、ミャンマー、パキスタン、東日本。ジェンの支援の特徴は、「1.現地のニーズを見極め、2.現地の人々とともに、3.取り残されがちな人や地域を中心に、4.自立とその存続を、5.最小限の費用で達成します」。それについて、豊富な写真と共に、具体的な例でわかりやすくお話しいただきました。

例えば2004年に津波があったスリランカでは、毎日の食事になり、さらにロープの材料にもなるココナッツの皮むき器が支援物資としてどうしても必要なものだったそうです。現地の女性たちはココナッツの繊維で作ったロープで様々なものを作り、それは仕事にもなりました。また、男性たちも集まって、漁網をつくり、漁に出ることができました。災害で何もかも失った人たちには仕事が必要であり、さらに心のケアも必要です。悲しいと閉じこもりがちになりますが、集まって作業をすることで心の状態が良くなってくるそうです。

「一番大事なことは、人は元気が出なくても、誰かの役に立てると思えば、体に鞭打ってがんばれるということなんですね。人は、自立する力を持っていると私たちは信じています。どんなに厳しい状況にあっても、必ず復活できる。しかし、辛すぎて元気が出ないときがあります。そういう人たちがもう一度自立する力を発揮できるように考えていくのが、ジェンの仕事です」(木村さん)

木山さんと杉浦さんとのトーク後半の杉浦さんとのトークでは、杉浦さんが被災者として石巻で津波にあったときの状況、避難所の様子、さらにジェンのスタッフとして現在行っている活動について聞かせていただきました。
避難所で印象に残ったのは、避難場所となった中学校の中学生たちの活躍だったそうです。
「中学生たちや近所の高校生たちは、自分たちも被災者なのに、避難所の体育館の片づけ、食料の配布、トイレで流す水を汲んでくること、避難してこられた方のケアなど、グループを作って率先してやってくました。大人に言われたのでなく、自発的に行動していた生徒たちは本当にすごいと思い、誇らしかったですね」(杉浦さん)

現在、仮設住宅には様々な地域から居住者が集まっており、地元のつながりが切れて孤独を感じている人が少なくありません。ジェンとしては、物資を届けるプロジェクトだけでなく、地元の習慣であるお茶っこ(お茶会)を利用してコミュニケーションを取り、地域の結びつきを作る活動も行っているとのこと。
特に被害の大きかった石巻の被災者であり支援者でもある杉浦さんの「新しい石巻を作りたい」という言葉には、大変な重みがありました。

木山さんは講演の前半の最後に、ジェンからの皆さんへの5つのお願いとして「知る、行動する、忘れない、続ける、伝える」ということを言われましたが、杉浦さんからも同様の言葉がありました。
「皆さんが被災地に支援をしたいと思ったら、まず自分の目で見て、感じてほしい。それを忘れないでほしい。時々思い出して、人に伝えてもらい、今後につなげてほしい」
「例えば今日いらした方が、他の一人にでも今日感じたことをお話しして下さったら、すごくたくさんの人に伝わります。皆さんはやっていだけますか?」との木山さんの問いかけに、生徒たちからは即座に「はい!」と大きな声で返事が返ってきました。

佼成女子では前日の朝読書の時間を利用し、事前学習として放送委員会がジェンの活動内容の紹介及び文芸春秋の「つなみ 被災地のこども80人の作文集」を朗読してくれていました。講演の後、放送にかかわった高2の放送委員3名は木山さん、杉浦さんにお会いし、お話しさせていただくことができました。
「東京にいる私たちのような人間に、被災地の方々は何をして欲しいのでしょうか」「被災者の友人を慰めたいのですが、どう声をかけていいのかわからないのです」。生徒代表の3人が、真摯に答えてくださっている木山さん、杉浦さんと涙ぐみながら話している様子を見て、生徒一人一人がそれぞれ胸を痛めながらも考え続けているのだということを改めて感じた場面でした。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)