rose皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。
毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。
第8回目の今回は、 「名こそ惜(お)しけれ」と題してお伝えします。


dictionaries国民的作家と評された故・司馬遼太郎は、著作『この国のかたち』で「名こそ惜しけれ」という、この言葉の持つ在り様を紹介しています。
“鎌倉武士のモラルであり心意気であった「名こそ惜しけれ」。恥ずかしいことをするな、という坂東武者の精神は、その後の日本の非貴族階級に強い影響をあたえ、いまも一部のすがすがしい日本人の中でいきている。(「この国のかたち」より) ”と。
この「恥ずかしいことをするな」という、自分の名に賭けての律し方が脈々と男女問わず生き続けてきたのが、「この国のかたち」であると、願望も含め故司馬遼太郎は、きっと言いたかったに違いありません。


flower過日、教頭先生が「校長先生、私、感激しました」と言って、私のもとへ参りました。
「どうしたんですか」と聞き返しますと、この様な説明をしてくれました。
教頭先生が千歳烏山駅から本校へ通勤して来ますと、前方を生徒が一、二歩進んでは身を屈め、また二、三歩進んでは身を屈めている姿に出会ったと言うのです。
教頭先生は何をしているのだろうと足早にその生徒に近づいて見ますと、手には袋を持ちながら、通学路のゴミを拾っている姿でした。
教頭先生は、その生徒へ「拾ったゴミは捨ててあげるからよこしなさい」と言いますと、「いえ大丈夫です。帰りも拾っていきますから」と言ったというのです。このことにいたく感心をして「感激しました」ということになったのです。


umbrellas

千歳烏山駅から本校までの通学路は、生徒、教職員、そして地域の人々等、たくさんの人に利用されています。

美しく清潔さが保たれていれば、これほど利用者にとって、気持ちの良いものはありません。
それとは逆に、ゴミが散乱し汚れた状態であれば、朝夕の通学はもとより、地域の人たちにとっても、清々しい幸せな気持ちにはとてもなれません。
この様なひとりの生徒の行動が、多くの人たちの気持ちを幸せにしていたのです。

「名こそ惜しけれ」という、一人ひとりの人間の行動基準は、他への「いたわり」から出てくる精神性とも言えるのです。
通学路の美しさは、ひとりの少女の万人への「いたわり」からと言えそうです。

(佼成学園女子中学校高等学校校長 山内日出夫)