Light And Forest皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。
毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。
第17回目の今回は、「ひたむき」と題してお伝えします。

本校の図書館では、「ふたりの女性」が働いています。
仕事の合間を縫い、図書館に行くと「授業を受けている風景」に、「自習している姿」に、「なにやら相談している形の生徒たち」に、出会います。
図書室その「生徒たちの空間」を邪魔(じゃま)せず、そっと歩きながら本を探すのです。それはとても楽しみな時間となります。いつも自身の好みだけで選ぶと傾向が偏りがちになりますから、「ふたりの女性」に相談します。
本のソムリエよろしく、現在、話題になっているものから、生徒たちが好んで借りているものまで多方面から選んで下さいます。

最近では「三浦しをん」の作品を選んで頂きました。
「舟を編む」から始まり、「まほろ駅前多田便利軒」、「まほろ駅前番外地」、「風が強く吹いている」、「仏果を得ず」、「神去なあなあ日常」等まで、夏休みまでも「三浦しをん」漬けとなりました。
作品群は「辞書の編纂」に、「便利屋」に、「箱根駅伝」に、「文楽」に、「林業」にと多方面な世界が描かれています。
そしてその世界に住む主人公たちは、それぞれに実に「ひたむき」なのです。
例えば作品「神去なあなあ日常」の高校出立ての主人公「平野勇気」は、林業という仕事に携わった一年後、作者はこの様な感想を「彼」に述べさせます。
『季節の移り変わりに応じて、同じような作業を繰り返してるかのように見えるけど、本当はそうじゃないんだってことが、一年経ってやっと少し分かった。
山は毎日、違う顔を見せる。木は一瞬ごとに、成長したり衰えたりする。些細な部分を見逃したら、絶対にいい木は育てられないし、山を万全の状態に保つこともできない』と。
ここに見られる主人公「平野勇気」を通して発せられる「三浦しをん」からの言葉は、全ての世界で働きまた学ぶ人々へのメッセージの様な気がするのです。
ひたすらに「ひたむき」であれと!

Water Dropこの夏休み生徒たちは、勉強に、クラブ活動に、大会に、合宿に、ボランティアに、そして家族との憩いの日々にと多忙な時間を過ごしています。
また、特に、この夏はロンドンオリンピックと高校野球の甲子園とが重なり、さらにはパラリンピックと大きなスポーツイベントが世情を賑わしています。
ちょうど柔道女子57kg級の「松本薫選手」が金メダルを獲得した日が、高校三年生たちの勉強合宿の始まりの日でした。
担当の先生たち始めスタッフたちが勢ぞろいし開講式を行い、それぞれの役回りで生徒たちへ「話」を致しました。
そこで話題に上ったのは、女子柔道「松本薫選手」が語ったとされるエピソード『練習明けに飲み物を取ろうとしてアイスボックスを開けたら、そこから「妖精」が飛び立つところを見た』という素敵な話です。
トレーニングにしても、勉強にしても、仕事にしても、懸命に、本気で何かに立ち向かっていれば、一瞬、何かを突き抜ける瞬間があります。
新たな世界を自分のものにできる、分かる瞬間です。
「妖精」は、そうした瞬間だったのかも知れません。
生徒たちのこの夏は「妖精」を見つける「ひたむきな」時間なのです。

(佼成学園女子中学高等学校校長 山内日出夫)