初めての授業の日は、緊張しすぎて他の先生にはげましてもらったり、生徒たちに黒板の書き間違いからあだ名をつけられてしまったり、廊下で「先生!」と呼びかけられると、ものすごく嬉しかったり。先生と呼ばれる立場になってからの4か月は、心の中ではいろんな嵐が吹き荒れていたと思います。日々の一生懸命が伝わってくる話は続きます。そして、先輩たち(19年度卒業生:卒業時担任 山室佳子、高2担任 田中延佳、高1担任 有路恵造)から後輩の皆さんへのメッセージも。

卒業生座談会―― 佼成女子ではどんな学校生活でした?

橋本 私はバトン部で、本当に部活メインの学校生活でした。講習は出ていたものの、高3でようやく受験勉強しなきゃとなりました。結局、指定校推薦で決まったので、秋で受験勉強さえしなくなり。でも担任の山室先生に、教師になるのならセンター試験の環境は知っておきなさいと言われて、センター試験は受けました。それ以外はみんなの邪魔をしないように、数学準備室でひっそりと高校3年分の数学を復習してましたね。

柴田 私の高校時代は、休みの思い出がないんです。長期休暇は高1の夏休みだけでした。入っていた演劇部も人数が少なくて活動もそれほどなかったので、時間もあり、選抜されて講習室に入ったのが最後。放課後も長期休暇も講習で(笑)。

山根 私は勉強合宿楽しかったけど?

柴田 それが私は基本的に自分の家が好きで、人とずっと一緒にいるのがあまり得意ではない。同じ空間に24時間いるというのが本当に耐えられないんです。だから勉強合宿が本当につらくて。でも、勉強漬けを後悔しているわけではなく、あれがあったから今の私がいて、こうして生きていけていると思ってるんです。ただ、一番いい感性を持っている高校時代に、いろんなものを見て体験すべきだったと思います。

―― そういう一人のほうが好きな柴田さんが演劇部だったのは不思議ですね。

柴田 子供の時セーラームーンの舞台を見て、私もあそこに立ちたいと思ったんです(笑)。もともと緊張しやすいタイプで、人前に立つと声も足も震えて頭が真っ白になります。舞台では不測の事態もある。それを乗り越えて、人前でそれなりにしゃべれるようになりましたから、演劇をやっていてよかったですね。

卒業生座談会山根 私は高校3年間、ソフトボールをずっとがんばってました。講習室には、柴田さんと一緒に1年生の春から入ったんですが、高2の時にずっとやりたかった文化祭実行委員になったので、これは勉強なんかしてる場合じゃないって(笑)。講習は休んで部活と委員会に打ち込んで、たくさん思い出を作りました。部活は高3の夏まででしたけど、高3でも文化祭でダンスやろうよって仲間で踊ったりしちゃって。その場その場でやりたいことは全部やってましたね。
そこで学んだのは、人前に出るタイプじゃなかった私でしたが、佼成女子に来たら、全員に何かしら、小さな場所であってもスポットライトが当たるときがあったんですよ。遊佐さんだって、静かにしてたみたいに言ってますけど、高1のときはピエロになったりして(笑)。私にとっては、文化祭実行委員がそれでした。私でも人前に出ていいんだな、何かできるんだなと思えるようになったのが、佼成女子時代でした。中学の時は嫌な先生に反発してた。私でも先生みたいなことできるかなと初めて思うようになったのが、高校時代。

遊佐 私は委員会も部活もやらなかったし、さっきも学校が嫌いだったと言ったところなのに、実は面白いエピソードを次々に思い出してしまって、さっきから笑いが止まらないんです(笑)。例えば、担任の先生がくまのプーさんに出てくるピグレットという子ブタに似てたので、ずっと教室にピグレットが置いてあったなあとか。受験期でみんなが暗くなっていたときに、友人がベランダで本を読んでいたて、その本が「人間失格」だったので、「死ぬのか!」とみんなで爆笑したこととか。学校帰りに、友達とお団子食べてプリクラ撮ったりもしてましたし。やさぐれていた高校時代と思い込んでいましたが、私はけっこう学校好きだったんだなと、今思いました。友達にも先生方にも、人に恵まれていたんですね。

―― その中にいるときには気が付かなくても、こうして4年たってから振り返ると、見えてくるものがありますね。今がその真っ只中の後輩たちに伝えたいことはありますか?

橋本 部活とかやりたいことがある中で、「ああ勉強しなきゃ!」という葛藤は大事だと思うし、そういう中でも夢が変わったりするのが高校時代だと思うんです。だから、行事があったら一生懸命やる。部活があったら一生懸命やる。なんでも一生懸命やっておけば、その経験から何か思うことがある。やってみたいことはやったほうがいいと思います。私は数学の先生になるというのをさんざん担任の有路先生に反対されて、学部も教育学部志望から変更してと、いろんなことを考えてそれでもこうなりたいということを考えて進んできたので。いろんなことに一生懸命取り組むってことがいいんじゃないかなと。

卒業生座談会山根 そうですね。一生懸命やることはかっこいいから、何か小さなことでも、例えば夏休みの宿題でも、ひとつひとつ全力でやっていって欲しいと思います。適当な気持ちでやると全部だめになっちゃう。今は就職氷河期ですが、就職も大学も、一生懸命やったら後悔しない。小さいことから負けないでやる癖をつけてほしい。

遊佐 頑張ることは大切だけど、今の高校生は頑張るというと受験だと思ってしまうと思う。まわりの雰囲気に流されないで、自分の好きなことをやってほしいなと思っています。自分にも言い聞かせたいことではありますが、まわりの空気で焦ったり流されたりすることもあると思う。人生どうにもならないことはないので、何をするにしても、全力で楽しんでやっていけばいいんじゃないかと思います。

柴田 こういう話を聞くと、年を取ったなと思いますねえ(笑)。私は高校時代に休みの思い出がなかったから、今は授業中生徒に、勉強も含めていろんなことをしなさいと言っていますね。佼成女子の後輩にもそれを伝えたいです。

―― 最後に、皆さんはどんな先生になりたいですか?

遊佐 いつも笑顔で明るく元気を与えられる先生がいいですね。みんなの前にいつも立っているので、影響力ってすごい。こんなしょうもない私でも、みんなは先生と見ているし、私の言うことを100%信じてくれている。この不景気な世の中だけど、元気を与えられる先生になりたいですね。

卒業生座談会山根 高校の時は、授業を面白く楽しくわかりやすく伝えられるのがいい先生だと思っていたんですよ。でも、先生になってみると、意外と子供たちは毎日問題を起こしますし、授業をしっかり準備して行ったとしても、その時の子どものテンションで全然聞いてもらえなかったりすることもある。まず信頼関係をつくることが大事なんだなと思いました。すごく難しいとは思いますが、すべてを生徒の成長のために考えて行動できるような先生になりたいですかね。生徒のために怒って、生徒のために注意して、全部生徒のためなんだということができる先生になりたいです。

柴田 生徒より絶対的な情熱を持っていないと人前に立っちゃいけないと思っています。人は自分より高いものにしか目が行かないから、自分のテンションや持っているものを高くしていかないと。私は技術も知識も全然足りないからこそ、人前に立つという自覚を持っています。ユーモアも必要だと思います。生徒とお互いをお互いに人間として意識し合える人間関係を築けたら理想ですね。

橋本 私は女子校にいるので、数学に拒否反応を示す生徒が多いんですね。苦手でもいいから、数学を好きになって欲しい。私が数学を好きなのは、答えが一つだからです。そこに行きつくまでの努力が数学の醍醐味だと思っているので、そこまで一緒に頑張ろうという授業を作っていけたらいい。未熟だし、それこそまだ数か月しか授業をやっていないので、何年後何十年後のことより、明日この子がここまでできればいいな、というような小さいことがいくつもあります。一言で言うと「余裕がない」です。でも生徒としっかり話ができて、授業もしっかりできる先生になれたらいいなと思います。

―― どうもありがとうございました。

4年ぶりにじっくり話を聞いた皆さんは、外見も考え方もすごく大人になっていて、まぶしいくらいでした。座談会には当時の担任の山室先生、有路先生も顔を出して下さり、盛り上がりすぎて予定時間はかなりのオーバーとなりました。
まだまだスタートラインに着いたばかりの皆さんですが、それぞれ思うような先生像に近づいていって欲しいと心から願っています。
佼成女子OGの皆さん、時々母校に顔を出して下さいね。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)