中1対象 理事長講話10月17日(水)、中学1年生対象の、絵本の読み聞かせによる道徳授業が行われました。絵本のタイトルは「カーくんと森のなかまたち」。作者の夢ら丘実果(むらおかみか)さんと吉沢誠さんが来校され、命についての読み聞かせ道徳授業をしていただきました。

この日の授業は、恒例の酒井理事長の中学1年生を対象とした講話の時間を利用したもの。
題材となった絵本「カーくんと森の仲間たち」は、ホシガラスのカーくんが主人公。
カーくんは自分の周りの友人たちの長所に比較して、自分には良いところがないと思い込み、「どうしたんだい、カーくん」と話しかけてくれたシロフクロウのホー先生に悩みを打ち明けて「ぼくなんかいてもいなくてもいいみたい」と打ち明けます。
しかしホー先生や、カーくんを心配して集まってくれた友達によって自分の良さや周囲の愛に初めて気づき、元気を取り戻すというストーリーです。
この日は、最初に作者の吉澤さんによる今日の授業の目的を伺ったあと、絵本の美しい挿絵をスライドで見ながらの夢ら丘さんの朗読が行われました。
読み聞かせ授業
一般社団法人 国際文化芸術交流協会 
吉澤誠さん
読み聞かせ授業夢ら丘さんはイングリッシュガーデンや猫を描いた作品で“癒しの画家”と呼ばれています。
小学校時代はぜんそくに苦しみ、病院から学校に行くことも少なくなかったそうです。
学校では、ぜんそくのためにいじめられ、身も心も辛い状態でした。
しかし毎朝体調を気遣って声をかけてくれる担任の先生や、休んでいるときに学校帰りに家に来て勉強を教えてくれたりする優しい友達に恵まれて、みんなに励まされたり支えられているうちに、辛い時期を乗り越えることができたそうです。
また、大人になってからの交通事故により右手がマヒしてしまい、家事も育児も絵を書くこともできなくなってしまってうつ状態になったときに、「ママがいるだけで嬉しいんだよ」と娘さんが励ましてくれたそうです。
根気よくリハビリを続け、2年後には麻痺も取れ、身も心も元気になったとのこと。
「誰かに必要とされているということは、生きる力になるなと思ったんですね。もし私のように元気のない人や、死を考えるくらい辛い人がいたら、その人が元気になるお手伝いをしたい、そんな気持ちでこの絵本を作りました」(夢ら丘さん)
朗読後は、生徒たちの理解を深めるために、夢ら丘さんによる解説と、生徒と対話しながらの授業が行われました。

カーくんは劣等感から「だあれもいないところに、きえていってしまいたい…」と言うくらい、落ち込んでうつ状態になっています。
しかし、カーくんには、自分が気づいていなかったいいところ、素晴らしいところがありましたし、それを教えてくれたのはホー先生や森の仲間たちでした。
カーくんだけでなく、みんな同じです。
みんなひとりひとりにいいところがあって、その人にしかできないことが必ずあります。

中学生になると、いろんなことが気になって、悩み始める人が増えてきます。
勉強も難しくなるし、自分は何もできないと思って辛くなることが増える時期だと言われています。
いいところがあるのに、自分でそれを気付けない。
自信を持てない。
カーくんはそういう状態でした。

そういうカーくんに、ホー先生は「どうしたんだい?」と声をかけました。
カーくんにはそれがとても嬉しくて、悩みをぽつりぽつりと話し始めて、話し終わったら眠ってしまうくらいほっとしたのです。

皆さんも、もし周りに元気のないお友達がいたら、「どうしたの?良かったら話して」と声をかけてあげてほしい。
話を聞いてあげることで、必ずお友達は元気になります。

そして、森の仲間たちのように、いつも笑顔がステキだねとか、かけっこが早くてかっこいいねとか、お友達のいいところを伝えてあげてほしいのです。
カーくんや森の仲間たちは、こうやって、みんなで助け合って仲良く生きています。
みんなは一人で生きてごらんと言われたら、どう思いますか。
悲しいですか?さびしいですか?嬉しいって人はいないですよね。
人間も、森の仲間たちと同じく、助け合って支えあって生きていくようにできています。
皆さんも、この支えあって生きていくということを覚えていてほしいと思います。

普段と違って元気がないときを、うつ状態といいます。
これが進行すると、うつ病になってしまいます。
自分の命なんてなくてもおんなじだとか、死んだ方がましだと思ってしまう人も多いのです。
風邪を引いたときには、暖かいものを食べたりゆっくりしたり、お医者さんから薬をもらったりして、元気になっていきます。
うつ状態も同じです。
元気がない時に、暖かい言葉をかけられたらうれしく思います。
「どうしたの?」「こんにちは」「ありがとう」といった言葉は、人を元気にしてくれます。

逆に、人から元気を奪う言葉もあります。
言われて嫌な気持ちになる言葉がありますね。
例えば「きしょい」「きもい」「うざい」「バカ」。
こういった言葉は人から元気を奪い、いじめとなって、命まで奪ってしまうこともあるのです。
皆さんには、そんな言葉は使わないでいてほしい。
みんなでいいところを認めて、伝え合って、仲良く暮らしていって欲しいと思います。

例えば勉強はできなくても絵を書くのが好きだったり、楽器ができたり、スポーツができたり、パソコンだったら得意とか、何か一つでもあるはずです。
家のお手伝いをすれば、お母さんが喜んでくれます。
電車で席を譲ってあげたり、困っている人に声をかけてあげられたり、そういう強さや優しさを持っているのが素晴らしい人です。

今日皆さんに伝えたかったのは、皆さんの命はかけがえのないものなんだ、ということです。
命はものとは違って、交換できないものです。
かけがえのないものとは、ものすごく大切なものということです。
皆さんは、お父さん、お母さんから愛されて生まれてきた、素晴らしい存在です。
皆さんもこれから、カーくんのように悩むことがあるかもしれません。
そんなときに、今日聞いたこの話を思い出してくれたら、嬉しく思います。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)

読み聞かせ授業
一般社団法人 国際文化芸術交流協会 
夢ら丘実果さん