Two Mourning Doves皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。
毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。
第19回目の今回は、「異質な世界のふたつの出来事」と題してお伝えします。

今月(まだ終ってはいませんが)は、「生き方」を考える上でふたつの大きな「出来事」が続きました。

山中伸弥氏

(nobelprize.org)

ニュース速報がテレビに流れ、内容はノーベル医学生理学賞を、iPS細胞開発研究の山中伸弥京都大教授が受賞したというものでした。その日のニュースは、山中教授とiPS細胞で、一色に染まっていきました。
私もそうですが多くの人々が、夜遅くまでこのニュースに釘付けにされたのではないでしょうか。
あちらこちらとテレビチャンネルを替えながら見ていく中に、とある中学校(あるいは高校)での山中教授の講演の様子が流されていました。
そこで彼は「私の研究は、十のうち九が失敗ばかりでした。しかしその九の失敗から得たことの大きさがあるからこそ研究を続けてこられたのです。沢山の失敗をして下さい。そこには、多くの得るものがあります」と生徒たちに向け語っていたのです。

この講話同様に、山中教授の心を支えてきた言葉に「人間万事塞翁(さいおう)が馬」があります。「福から禍(わざわい)へ、また禍から福へと禍福は予測できないものである」という「生き方」の来し方行く末は、私を始めとして、特に若者たちへのメッセージ性には富むものがあります。

阪神甲子園球場の写真
阪神甲子園球場(トリップアドバイザー提供)
翌日のニュースは、背番号「6」が球場から去る姿を伝えるものでした。阪神の金本知憲(ともあき)外野手の引退です。
野球ファンばかりでなく、「アニキ」と愛称で呼ばれていた人柄と胸がすくようなフルスイングに魅せられていた人たちが、多いのではと思います。
その様な彼のプロ野球歴を見ると、初めは大学を経てドラフト4位で広島(その後阪神へ移籍)に入団したところから始まります。



私たちが現在まで印象として持ってきた彼の活躍ぶりからすると、「ドラフト4位」は首を傾げたくなるほどの扱いなのです。逆に、「ドラフト4位」の評価が、プロ野球選手となった金本外野手自身に、奮起をさせ、その後の努力に努力を重ねる姿勢のあらわれとなり、一流と呼ばれるまでに「自身」を仕上げてきたといえるかもしれません。
彼はインタビューで『私の誇りは「連続無併殺」という記録(1002打席・プロ野球記録)で、常に全力で走ってきたことです』と答えています。
この様に答えた彼の生き方のキーワードは、「全力」という言葉がふさわしいかも知れません。
そしてインタビューの最後に、野球に対する思いを「7~8割はしんどいことだけど、2~3割で充実したことがある。その2~3割を追い続けた」とまとめました。
ここにも、私を始めとして、特に若者たちへのメッセージ性には富むものがあります。

学校では、二週間にわたり秋の陣「英検まつり」を行いました。
生徒たちにとっては、毎朝、毎日指定された時間内で覚え続ける「英単語」は、「努力」以外何ものでもありません。
ただただ、ひたすらに、ひたすらにシートに記された「英単語」と取っ組み合うのです。
そして最終日に自己目標突破の為に「英検」受験にチャレンジします。
ここには単に英検の「級」を獲得することのみでなく、山中教授と金本外野手の異質な世界で生きてきた二人にある「メッセージ性」までもがあります。
それは二人が問いかけ続けてきた「努力の先に在るモノ」です。
「失敗と成功」、得るものの大きさに違いはありません。

(佼成学園女子中学高等学校校長 山内日出夫)