理事長講話6月19日(水)、中2を対象とした佼成学園の酒井理事長による講話が行われました。まず最初に、先日山内日出夫校長がロンドンで結んできたばかりのロンドン大学との協定書を見せていただき、生徒たちは佼成女子から海外の大学へ行けるという実現可能な未来に目を輝かせていました。

『今日は皆さんに、この英語の協定書をお見せしようと持ってきました。これは、6月の初めに山内日出夫校長先生と宍戸崇哲国際交流部長がイギリスに行き、ロンドン大学SOAS校と結んできた協定書です。
ロンドン大学は、ノーベル平和賞を受賞されたアウンサンスーチーさんも学び、後に研究助手も務めたという、世界的に有名な大学です。そのロンドン大学の入試を、皆さんはロンドンに行かずとも、ここで受験することができるのです。校長先生が佼成女子の生徒の将来のことを考えて、そういう道を開いてくれました。皆さんの先輩方には、実際にロンドン大学に合格できそうな成績の生徒がいるそうです。皆さんはどこの大学に行くかはまだわからないと思いますが、今のうちからしっかり勉強すれば、日本だけでなく世界の大学にも行けるかもしれない。しっかり力を付けたら、いろんな可能性が待っています。

今日お話するのは、水谷修先生、通称、夜回り先生のお話です。水谷先生は一度、佼成学園の生徒みんなに講演会でお話して下さったこともあります。その先生が、新聞に「子どもたちへ」というタイトルで、このような記事を書いておられました。
今から4年前、京都の女性から水谷先生にメールが届きました。「先生、私死にたいです。こんなに辛いのに、なんで生きていかなければならないのですか?」
その女性は小中時代いじめにあって、6年間学校に行けなかった。その時は中学生か高校生くらいだったと思います。
水谷先生はその女性にお返事を書きました。「人のために何かしてごらん。わかるよ」。
彼女は水谷先生の返事を読んで、「学校には行けないけど、お隣に住んでいるおばあちゃんの毎朝のごみ捨ての手伝いくらいはできる」と気づきました。そこで、彼女は毎朝起きると、おばあちゃんのお手伝いだけをして、また家に帰る生活をしているうちに、だんだん心が晴れてきた。やがて彼女の様子を見ていた人から「老人ホームで働きませんか?お年寄りのお世話をしませんか?」と声をかけられ、女性は老人ホームで働くようになりました。

しばらくして、水谷先生のところに女性からメールが届きました。「先生、私は死ななくてよかった。生きてて良かった。今日、私の老人ホームでの担当のおばあちゃんが粗相をしてしまい、私が着替えとシャワーをさせてあげたら、おばあちゃんが私のことを拝みながら、ありがとう、ありがとうと涙を流して言ってくれた。私もおばあちゃんの姿を見て泣いちゃいました。先生、私、わかりました。人間は何のために生きるのか。生きなくてはならないのか。それは、先生、誰かを幸せにするために私たちは生きていくんですよね」
水谷先生は「その通り。君はもう僕の学校を卒業したんだよ」とお返事したそうです。
それからしばらくして、今年の正月。この引きこもっていた女性から、年賀状が届いたそうです。年賀状の女性は明るい顔をしていて、隣にはすてきな彼氏がいたそうです。
私はこの水谷先生のエピソードを読んで、人間は、人を悲しませたりいじめたりするために生きているのではない。困っている人がいたら助けたり、喜ばせてあげたりすると、生きている意味がわかるのだと教えてもらいました。

もう一つ心に残ったお話をします。おばあちゃんが雑誌に投書されたお話です。おばあちゃんの家からスーパーマーケットまでゆっくり歩いて10分。牛乳や洗剤などを買って帰るのは一苦労で、家に着くまで何度も休憩を取ります。あるとき信号待ちをしていたら、後ろから歩いてきた2人の中学生が声をかけてきました。
「おばあちゃん、荷物を持ってあげるよ」。2人はにっこり笑って、重いレジバックを持ち、家の前まで送ってくれました。なんて優しいいい子たちなんだろう、私もあの中学生のように一人でも多くの人に優しくして温かい気持ちで人とふれあっていこうと、おばあちゃんは胸に熱いものがこみ上げたのでした。
このお話は、立正佼成会の大聖堂の近くでの出来事だったので、この中学生たちはあるいは佼成の男子校の生徒かもしれない、だったらいいなあと私は想像しています。素晴らしい中学生だなあと思わせていただきました。

佼成学園の校訓は「行学の二道に励みなさい」です。一つは学業に励むこと。学力をつけることです。もう一つは、行いの道に励むこと。このおばあちゃんを助けた男の子たちのように、勇気を持って、荷物を持ってあげますよといって人を助ける。これが行いの道です。
先日も、とある方に相談を受けました。その方の親せきのお子さんは、中学時代のいじめが心の傷になって、20歳過ぎたけれどもいまだに家から出られないのだそうです。私は本当に胸が痛みました。
中学というのは、とても多感な時期です。人をいじめたり悲しませたりする行いをするのか、悲しんだり困ったりする人がいたら優しく手伝ったり話を聞いてあげたりするのか。
佼成女子の生徒には、後者の優しい子になって欲しい。
「うちの娘は佼成に入れたために、本当にいい子になってくれた。お父さんお母さん、家族に優しい子になった。家でもコツコツと勉強する子になった」。こういう子になってくれれば、お父さんお母さんは佼成に入れてよかったなと思ってくれるのではないかと思います。

皆さんは、サイゼリヤというファミリーレストランをご存じでしょう。あの創業者の正垣さんという方は、実は佼成の男子校の卒業生です。今や全国に900店舗もあり、海外にも出店をしてる人気の店です。その正垣さんがステキなことを言っておられました。
「仕事のいちばんの基本は簡単なこと。誰かに喜んでもらうことです。お客さんに喜んでもらうために仕事があるのです」
サイゼリヤを始めたとき、来てくれた人にどうしたら喜んでもらえるかばかりを考えていた。すると、お客さんはお店に何度でも足を運んでくれるようになった。そうしたら、いつの間にか利益が出て、大きな会社になった。
会社でも個人でも、優先順位の1番は、誰かに喜んでもらいたいというような、相手を思う心がいちばん大切なのです。
行学の二道とは、行いと勉強の道がそれぞれ2つあるのではありません。どうしたら人の役に立てるか、喜ばれるような自分になれるか。そういう人間になるために、一生懸命勉強するということです。大学に入ってから、社会人になってから人のために尽くすのではなく、今から毎日の生活の中でお友達に喜ばれること、おうちで家族の手伝いをすることをいつも心掛けていれば、大人になったとき立派な人間になれるのです。

校長先生は皆さんの未来のために、また1つ道を開いてくれました。あとは、皆さんが一生懸命勉強すること、そして毎日の生活の中で立派な行いができるような中学生になること。そんな希望を持って、今日は皆さんにお話させていただきました。』

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)