理事長講話11月7日(木)、佼成学園の酒井理事長による、中学3年生を対象とした講話が行われました。来年4月に高校に進む中3たちは、将来を考えてコースを決定する時期に来ています。そんな生徒たちに、佼成女子が外部の素晴らしい人たちにも注目される存在になっていること。また、夢と熱意を持つことの大切さ、命の使い方などをお話して下さいました。

昨日、日本国際協力センター、通称JICE(ジャイス)という公益法人の理事長の、山野幸子さんという方にお会いしました。JICEは、日本と外国のお互いの関係をよりよくするために、国際的な人材交流をやっている組織です。特に若者の交流、例えば日本に海外の学生たちに留学してもらうとか、日本の学生が海外に行くときのお世話をしたりしています。
山野先生は世界中を飛び回っておられて、先日も中東のバーレーンに行ってこられたところでした。私は山野先生に、佼成学園女子の生徒たちの国際的な活動、例えばニュージーランド留学や、今年8月のスリランカの子供たちとの交流の話などさせていただいたところ、山野先生は、佼成女子は素晴らしい学校だと感激して下さって、もっと佼成女子のことを知りたいということで、12月の留学生帰国報告会のときにはご来校いただけるそうです。もしかして、皆さんにお話もしてくださるかもしれませんね。楽しみです。
10月29日には、これまたすてきな先生が佼成女子に来てくださって、特進留学コースの高3とこれから留学に行く高1の生徒に、実際に授業をして下さいました。その先生は、村川久子さんという、青山学院大学の教授です。日本の政府はこれから、特にTOEFLに力を入れますが、村川先生はその日本のTOEFLの第一人者で、たいへん素晴らしい授業をなさる方です。私も授業を拝見して、びっくりしました。授業の後、村川先生は「みんな英語力が高くて素晴らしい」とほめて下さり、来年は日程を作って、学校で授業をしたいとおっしゃってくださいました。

そんな日本を代表するような方々に気に入っていただいて、佼成女子はとてもいい学校ですね。
ここ半月ばかりでこういう素晴らしい女性たちにお会いして、私は松下幸之助さんの言葉を思い出しました。
皆さん、松下幸之助さんはご存知でしょうか。松下電器、現在のパナソニックの創業者です。もう亡くなられていますが、たいへん尊敬された方で、素晴らしい言葉をたくさん残されています。
その松下翁が、生前こうおっしゃいました。
「何としても二階に上がりたい、どうしても二階に上がろう。この熱意がハシゴを思いつかせ、階段を作りあげる。上がっても上がらなくてもと考えている人の頭からはハシゴは生まれない」
先ほどお話に出た青山学院大学の村川先生は、26歳でアメリカに留学されています。村川先生は、「英語を身につけて国際社会で役に立つ人間になりたい」と思われ、そしてその熱意が、村川先生をして日本でTOEFLの第一人者にしたのだろうと、私は思います。今、それぞれの場所で第一人者になられている方のお話を聞くと、皆さんが熱意を持って今までやってこられたのだということを感じます。中3である皆さんも、進みたい道に熱意を持つことができるでしょうか。
皆さんが例えば東大に入りたい、社会で活躍したい、国際社会でも活躍できるような人になりたい、そう考えたときに、私たちの学校は皆さんにいろんな道を開くことができるよう、努力してくれています。その前に大事なのは、皆さんがどうしてもこういう道に進みたいんだという熱意を持てるかどうか。君たちの成長にかかっているんだろうと思います。
実は、先日佼成学園男子校の元先生からお手紙をもらいました。それは、卒業生がある高級車のエンジン開発をしたという知らせでした。その卒業生は、中1の時から「僕は将来自動車のエンジン開発ができる人間になりたい」と一生懸命勉強していたそうです。希望通り理系の大学に進学し、希望の企業に入り、ついに今年発売の自動車のエンジン開発を担当したそうです。まさに彼は「二階に上がりたいから階段を作った」のですね。

もう1つお話をします。
聖路加病院の102歳になられる、日野原重明さんというお医者様がおられます。いまだに現役でいらっしゃいます。日野原先生は、全国の小学校を回って授業をし、人間に命があることがいかにありがたいことか、ということを小学生たちに説かれているそうです。
私は杉並の佼成看護学校で授業をしており、前回は命の話をしました。その授業のあとで、田中さんという看護学生が感想を書いてくれました。
彼女は、東日本大震災の被災者で、そのとき高1でした。皆さんに近い年で、震災にあわれたのですね。家族に会えず、安否もわからず、あちこちの遺体収容所にご両親を探しに行ったそうです。そして1カ月ぶりに偶然お母さんと会えた。そのときお母さんはおっしゃったそうです。「生きててくれてありがとう」
彼女はお母さんの胸に飛び込んで涙を流し、震災で亡くなった方々の分まで私は生きていこう、私は看護師になろうと決心されたそうです。私はこれを読んで、涙が止まりませんでした。命があるということは、素晴らしいことです。
日野原先生は授業で、こんな話をされているそうです。
「目に見えない命とは 自分が設定して、自分が自在に使える時間のこと」「人のために 自分のもつ時間を捧げることは 人のために 自分の命を捧げること」「時間に命を吹き込めば その時間は生きてくる。 寿命は神様から いただいた時間だ」
命とは、皆さんが持っている時間のことを言います。蝋燭のように限界があって、いつかは消える。その命を、自分のことだけに使うのか、それとも困っている誰かのために時間を使うのか。困っている誰かのために時間を使えたら、それは素晴らしいことです。そういう人になって下さいと、日野原先生は小学生たちにお話しているそうです。
先日、アンパンマンの作者である、やなせたかしさんがお亡くなりになりました。アンパンマンは皆さんご存知ですね。アンパンマンの歌はみんな歌えますよね。「なんのために生まれて なにをして生きるのか」という歌詞が入っているのは知ってますか?
やなせさんは、人は何のために生きるのか、どう生きることが本当の生き方なのかということを、アンパンマンを通して訴えたかった。どう生きるのか、それは貧しい人や食べられない人がいたら、自分の顔をちぎってまでも相手の人を助けて生きる。アンパンマンの偉さは、優しさです。人はどう生きるのか。自分を時には犠牲にして、困っている人や悩んでいる人を助けてあげる。人間はそういう生き方をしてもらいたいというのが、アンパンマンの基本的な考え方です。それが国民的ヒーローになった。
やなせさんは、実は東日本大震災の前に、周囲に引退を告げていたのですが、震災後引退をやめた。死ぬまで僕は元気だと宣言し、体調を崩しながらも被災地支援をやめなかったのです。
皆さんもどうか、「二階に上がりたい」という気持ちを持って、夢を持って、毎日努力してもらいたい。人を助けるような生き方をして、困っている人がいたら愛の手を差し伸べてあげるような優しい女性になってもらいたい。
今日はその2つの心を皆さんにお伝えして、私の授業とさせていただきます。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)