卒業生座談会平成19年度の本校卒業生のうち、教師という仕事を選んだ人が4名いました。そして昨年9月に当ホームページに掲載された新米先生たちの座談会は、各方面から反響を呼び、続編を期待する声もたくさんよせられました。(佼成女子卒業生座談会「私たち、先生になりました!」(その1)、(その2))

あれから1年、彼女たちはどんな経験をし、何を感じながら学校という場所、また生徒という存在と向き合っているのでしょうか。
今年は3名にお集まりいただき、1年後の今をお話しいただきました。

(3人が経っている写真は、左から)
山根すみれさん 中央大学文学部東洋史学科卒 都内私立共学中高一貫校 社会科講師
橋本瞳さん 日本女子大理学部数物科学科卒 都内私立女子中高一貫校 数学科講師
遊佐美郷さん 法政大学キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科卒 市立中学校社会科講師

― 昨年、先生1年生としてお話を伺いましたが、あれからちょうど1年ですね。近況をお聞かせください。

山根 去年と同じく、男女共学の私立中高一貫校で講師を続けています。昨年は中2の歴史、高1の地理をやっていましたが、今年度からは念願の高2の日本史を教えています。夢の舞台だからと気合が入っていたのですが、日本史を受験科目としていない生徒とのギャップなども経験したりしつつ、初めての日本史を楽しくやっています。今年は専門科目だけなので、のびのびやれていますね。

橋本 私も同じ私立の女子中高一貫校に在籍していて、去年は中1と高1だけでしたが、今年は中1、中2、高1と授業のコマ数も増えました。講師ですから、まったく授業を持っていない学年は私のことを知らないのですが、次第に廊下で声をかけられることも増えてきて、去年より学校で顔も知られてきて、居心地が良くなった気がしています。今の中2は去年から引き続きなので、授業中のやり取りや質問も増えてきいました。授業内容は昨年と同じなので、ゆとりもできて、最近は授業の工夫も考えられるようになったと思います。

遊佐 私も変わらず都内の公立の学校に勤めていますが、担当の学校が変わり、去年の4校から今年は別の3校になりました。普通の通常学級で13コマ、中1と中2の歴史を担当し、さらに相談学級と言って不登校の子たちが集まる学級、それから特別支援学級で教えています。去年はどうすれば楽しい授業ができるか自分でもわからなかったので、学校に行くだけで精いっぱいで、とにかく生徒目線を心掛けていたのですが、今年は慣れてきたためか、自分のペース主体になってしまって、ちょっと反省しているところです(笑)。でも、余裕がでてきて、学校全体の雰囲気が見られるようになってきたかなと思います。

― 皆さん、2年目になって少しゆとりが生まれているようですね。ご自身の変化はこの1年間いかがですか?

橋本 去年は授業の50分の中に自分の理想があって、何分であれをやってラスト5分でまとめというようなイメージがありましたが、今は1週間単位で、場合によっては中間や期末までにここまで終わっていればよし、と考えられるようになりました。授業のペースもなんやかんやで体に染みついてきています。
うちは中高一貫で高校受験がないんですね。同じ中学生でも、高校受験があるならば主要5教科ですから勉強に力も入れると思うのですが、その受験がないので授業態度などを見ていると全体的に世間の中3よりも幼い印象なんですね。でも部活動や行事では別の一生懸命な面を見せる生徒もいて、私は生徒の一面しか見ていないんだと考えるところがあります。ほとんどが文科系である女子校で数学を教えるきびしさは相変わらずですが、例えば生徒の部活動や行事などの話題から、授業に引き付けるようなことはするようになりましたね。

山根 去年は、学校でがんばりたいことがたくさんあって、行事などにも手を出していましたが、そちらに熱心になりすぎて、授業を顧みることが今より少なかったような気がします。ちょっと自分を見失いかけて、振り返ってみたら私は歴史を教えたくて先生になったんだと。自分の仕事は授業なんだと改めて感じて、今は、去年よりずっと授業のことを考えるようになりました。
佼成女子にいたときのことを思い出してみると、私がなぜ先生という職業にあこがれたかというと、やっぱり授業なんですね。生徒が先生と触れ合うのは授業ですし、予備校のような技術とか面白さとかではなく、そこで見せられる先生の人間性とか先生の言葉一つ一つに感動していた時のことを思い出して、授業をがんばっています。

遊佐 以前は自分と生徒が楽しい50分を送れればいいと思っていたのですが、最近は余裕もできて授業中にアドリブもきくようになり、職員室の雰囲気もわかるようになったら、学校は先生同士のチームワークも大切であり、楽しい授業なだけじゃなく、厳しく指導していかなくてはならない面もある。自分はまだまだ生活指導ができないので、自分がなりたかった先生像、でもそれだけじゃやっていけないというところで葛藤しています。

山根 1年目の経験があると、余裕を持って授業中の生徒の様子を見られるようになり、生徒の表情を見て話題を変えたりとか、面白い話を用意しておいて、出すタイミングを見たりとか、そういう技術は上がったかもしれません。でもそれは、初めて教えている高2の日本史に関してはまだうまくいってなくて、本当に学齢を全部経験しないとわからないのだろうなと思ったりしています。

遊佐 経験ということで言えば、私は都内の学校で中1を見ていて、大ベテランの主幹の先生に授業の相談などよくしているのですが、時々弱音を吐くとその先生に言われます。「本当に経験だから。授業は経験しかないから」と。

― 皆さん、今は講師という立場で教育にかかわっておられるわけですが、専任になりたいというお気持ちは?

橋本 私は数学を教えたくて先生になったので、教育実習も経験してみて、自分が担任の先生になりたいかというと、そこは違うかなという気持ちもあるんです。非常勤でいいと100%思っているわけではないですが、副業もできるので、全く違う仕事も経験して視野を広げるのもいいと思ったり、考え中というのが本音ですね。友人たちには会社員もいるので、少し違う位置で仕事をしている自分を想像してみると、もうちょっと違うことをやれた自分もいるのかなと。去年よりも時間にも自分自身の心にも余裕ができた分、違うことを考え始めたという意味では、1年前とは全然違いますね。

山根 私の勤務校では、専任になるのがきびしいという現状もあるんですが、今は自分が納得できる授業ができるようになるまでは、専任というのは一切考えられないと思っています。収入も生徒とかかわる時間も少ないかもしれないですが、でも何よりも自分のやりたいことは歴史を教えること1本だから、まあいいかと。今はひとつの授業を作るのに資料も読むから5時間くらいかかっています。でも研究しないと教科の力がないので、かけられるだけ時間をかけてやっています。

遊佐 私は今、教員採用試験の1次に合格して、今2次の結果待ちです。期限付きでも受かればいいなあと思っているところです。以前は、講師では生徒の生活面、部活も見られず、生徒の長い1日の50分しか向きあえないから、専任になりたいと思っていました。今は現実を垣間見て、自分が思い描いていたものとのギャップなどが見えて、もう24歳だし、まわりの友人たちを見ていて、教える立場に立っている中で、大人としてけじめをつけたい気持ちがあって。そういう意味では、こういう先生になりたいという純粋な気持ちだけではなくなりましたね。また、現在担当している特別支援学級への道もありかなと考えています。ずっと生徒と寄り添いたいと思ってきましたが、そういう感じは特別支援学級の方がありますから。

(続く)

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)