福原正大先生対談「未来のグローバルリーダー」を養成するスクール「IGS(Institution for a Global Society)」を主催される福原正大先生。雑誌『PRESIDENT』(2013年12月2日号)では田原総一朗氏と対談され、著書もベストセラーと大活躍です。本校でも昨年3月に、福原先生をお招きした講演会を開催いたしました。本年も前回同様、3月1日(土)14時から「新小6・5保護者対象 学校説明会」を開催します。ご参加、お待ち申し上げております。
今回は、本校の江川教頭が福原先生と対談し、グローバルリーダー教育について意見交換した内容をお伝えします。

●エリート養成校の教育方針

江川教頭:かねてより佼成女子の活動にご協力いただきありがとうございます。

福原先生:こちらこそ、お声掛けいただき大変ありがたく思っております。

江川教頭:それにしても福原先生は大活躍ですね!著書もベストセラーだし、先日は田原総一朗さんと雑誌で対談されていましたね。読ませていただきました。

福原先生:ありがとうございます(笑)。

福原先生と田原総一朗さんの対談記事
「元銀行マン、エリート養成校をつくる」(雑誌『プレジデント』2013年12月2日号)
http://president.jp/articles/-/11353
http://president.jp/articles/-/11354
(「PRESIDENT online」より転載)

江川教頭:記事のタイトルにもある福原先生の「エリート養成校」が、本日私がお邪魔させていただいている、渋谷の「IGS」なんですね。こちらには、何年生くらいのお子さんが通っておられるんですか?

福原先生:小学校1年生から高校3年生まで、主に私学に通っているお子さんが多いですね。ちょうど今(16時)は、小学校低学年のクラスで授業を行っています。

江川教頭小学校低学年のお子さんが、リーダー教育、グローバル教育を受けているんですね。それはすごい。福原先生が目指しておられる教育はどういう方向なのか、改めてお聞かせいただけますか。

福原先生:私たちが育てたい人材というのは「世界で競争し、協創できる人」です。これまでの日本では、「読み書きそろばん」といわれる基礎教育部分は世界トップクラスだったと思います。そうでなければ、今の日本がこれほどの繁栄や社会の安全性を達成することはできなかったでしょう。でもそれだけでよかった時代、つまり「欧米」という目標に向けて走っていけばよい時代は1990年くらいまででした。その時点で日本は、GDPという基準で見ると世界トップクラスになってしまったのです。すると今度は逆に「世界トップの国」として「ビジョン」を出し、絵を描いていかなければならなくなりました。例えると、これまでは「ぬり絵」でよかったのが、今度は自ら「白地図をつくるための絵」を描かなくてはいけなくなったのです。それを描ける構想力のある子どもたちというのが、残念ながら基礎教育だけではなかなか生まれないな、と思っていました。

江川教頭:実によくわかります。我々も私立中高教育の現場で、それを一つの目標にしておりますので。

福原正大先生対談●「コミュニケーションの道具」としての英語

福原先生:そこでまず必要なのは「考え抜いていく力」です。まさに私が今回、『ハーバード、オックスフォード…世界のトップスクールが実践する考える力の磨き方』(福原正大・著 大和書房 2013年)にも書かせていただいたのですが、「哲学」を使いながら考える力を磨いていき、「クリエイティビティ」や「クリティカルシンキング」を身につける教育というのが重要なんです。さらに今後は世界を舞台にしなくてはいけないので、「英語でのコミュニケーション力」も必須です。

江川教頭:佼成女子も10年以上前から、英語教育を最重点項目として取り組んでまいりました。おかげさまで「英語の佼成」と呼んでいただけるまでに認知されるようになったんです。

福原先生:佼成女子さんの「英検まつり」や「イマージョン教育」といったユニークかつ効果的な取り組みは、かねてより注目しております。世界とコラボレーションするためには、佼成女子さんのように「コミュニケーションの道具」として、英語を身につけることが大切ですからね。私たちも今、「TOEFL iBT」(英語圏の大学などに入学する場合に課せられる、英語力判定テスト)や「TOEFL Junior」(TOEFLテストの中高生版)のプログラムを一部の生徒さんや先生に使っていただいてます。あえて佼成女子さんのように言うなら、「英検TOEFLまつり」ですね(笑)。

江川教頭:それは興味深い。ぜひ情報交換させてください。本校でも海外の大学に進学を希望する生徒に向け、今後は「英検」と「TOEFL」のリンクを考えているところなんです。

●リーダー教育の実践

江川教頭:本校の英語教育のもう一つの特長である「ニュージーランド1年留学(NZ留学)」については、どのようなご感想をお持ちですか? 佼成女子ではNZ留学を開始してから、進学実績も校内の雰囲気もガラリと変わりました。

福原先生:1年間まるまる海外留学する、といった思い切った取り組みができるのも、私学の良さだと思っています。留学前の教育も大変でしょう。

江川教頭:高1の女子がいきなり海外に行くわけですから、単に英語の勉強だけでなく、「日本とは何だろう」ということを留学前に勉強してもらいます。

福原先生:そこが大切ですよね。

江川教頭:自らのアイデンティティが空っぽだと、外国に行っても軽んじられるんです。

福原先生:そうですね。おっしゃる通りです。

江川教頭:現地に行くと、マイノリティとしての葛藤や世界の厳しさを目の当たりにします。これも一つの「教育」になると、我々は考えているんです。だから留学前には、アイデンティティを考えてもらう機会をふんだんに用意しています。

福原先生:私たちIGSも、先ほどご紹介した自著にもある通り、「自分がいったい何者なのか」「自分と組織の関係はどういうものか」、あるいは「自由や平等はどういうものなのか」など、つきつめて討論してもらいます。そのうえで自己を分析し、世界の中でどのような貢献ができるのかを導き出してもらうんです。これらが未来のリーダーに求められる素養であると考えています。

江川教頭:なるほど。そういう実践を通じて、男子のみならず、女子にもリーダーの素養が身につきますね。と申しますのも、私も常々、「女子が身につけるリーダーシップ」というものを考えています。かつて浦和第一女子高の生徒の発言として、「共学だと男子に頼ってしまう甘えがあるが、女子校だとリーダーシップが磨かれる」というものがありました(出典『なぜ男女別学は子どもを伸ばすのか』中井俊已・著 学研新書 2010年)。

福原先生:そうですね。米国のスミスカレッジや、昔の「セブンシスターズ」といわれている大学のメリットはそこです。女子しかいないので、女性がリーダーをとれるのは女子校ならでは。女子校に行くということは、男子だけでなく、女子の中でのリーダー、女性らしいリーダーとは何かということを目指していけるのが強みになります。

福原正大先生対談●私学の独自性:最先端の教育を目指して

江川教頭:やはりそのためには、福原先生が実践されているアウトプット教育が参考になります。私も、「21会(21世紀型教育を創る会。首都圏の私学有志が集い、新しい教育について研究をする団体)」に参加して、それらの点をつきつめています。私学の独自性を出すには、こちらの方向はメリットが多いと」

福原先生:公立ができないことをできるのが、私学の優位性ですね。昨今も「スーパー・グローバル・ハイスクール」の認定で、公立が追いかけてきています。この中でどう差別化ができるか、ということはこれからの私学の命題ですね。

江川教頭:公立に追いかけられる立場としての本校も、「中学留学」など、常に新しいものを打ち出しています。そのフロンティアを情報交換するのが、先ほどの「21会」ですね。

福原先生:公立の追いかけ方も早いですからね(笑)。そこはチャレンジですね。

江川教頭:常に先を行かなければならない、という緊張感を持っています。その最先端を行くためにも、これから福原先生のお力をお貸しいただければと思っています。

福原先生:是非良い形でご一緒できればと思っています。

江川教頭:本日はお忙しい中、ありがとうございました。

福原先生:こちらこそ、ありがとうございました。

(2013年12月下旬 於・渋谷IGS)

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)

福原 正大
福原 正大(ふくはら・まさひろ)
1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、バークレイズ・グローバル・インベスターズを経て、2010年、グローバルリーダーを育成するInstitution for a Global Society(IGS)設立。著書に『なぜ、日本では本物のエリートが育たないのか?』(ダイヤモンド社 2012年) 他。