ナデシコ翻訳家の村岡花子さんの半生を描いた、NHKの朝の連続ドラマ「花子とアン」が話題です。明治から昭和にかけての物語で、現在は明治40年代の修和女学校時代のお話が放映されています。女子校ならではの全寮制によるしつけ、自立のための勉強、そして友情が描かれ、言葉遣いやきちんとした服装、立ち振る舞いなどに、明治の女性の美しさを感じます。

村岡花子さんは、英米児童文学の高名な翻訳家で、なかでも昭和27年に出版された「赤毛のアン」は、女性なら必ず一度は読むロングセラーです。ドラマの方では、主人公のはなが、「はなではなくて花子と呼んでください」など、「赤毛のアン」のアンと重なるようなセリフもあり、「赤毛のアン」を読んでいる人には二重に楽しめる仕掛けとなっています。

英語の勉強を嫌がっていた子供時代のはなが、転機を迎えるとても印象的なシーンがありました。課題ができずに、スコット先生が捨てたプライベートな手紙を丸写ししてしまったことを悔いたはなは、「ずるいことをした自分は退学になって当たり前である。でも、ここを出ていく前にスコット先生に謝りたい。英語がしゃべれたらどんなにいいか」と思い、それをブラックベリー校長先生に伝えます。
そんなはなに、校長先生が厳しい口調でおっしゃった言葉は、「Hana! Speak English! If you want to stay here, you must learn English! Then, you will become strong!」(はな、ここにいたければ英語を学びなさい!そうすれば、あなたは強くなれます!)でした。
その日からはなは生まれ変わったように勉強し、スコット先生に英語で謝罪し、許しを得ることができたのでした。
校長先生が「英語を学べば強くなれる」と言った意味は、その後を見れば明らかです。はなは英語で一番になることで級友たちから頼られる存在となり、学校の中で自分の居場所を見つけることができました。また許してもらったスコット先生とは、クッキーを一緒に焼くほどの仲良しになります。また、その後、翻訳家として身を立て大きな仕事ができたのも、すべてこの経験が原点です。
明治の日本は、開国してまだまだこれからというところで、しかも身分が低い女性が社会で身を立てるためには、まだまだ話せる人の少ない英語が大きな武器となりました。カナダ人の校長先生は、悪いことをした生徒にはすぐに「Go to bed!」と叫ぶとても厳しい方ですが、日本人である生徒たちの行くべき方向を指し示した立派な教育者であったことがわかります。

ところで、明治の高等教育は、すべてイマージョンでした。帝国大学の全ての授業は、外国人の専門家が行っていたため、すべて英語で行われていました。「花子とアン」も、日本語がわからない外国人教師が何人か登場しており、そうした先生が生徒と全寮制で暮らすわけですから、まさに今でいうイマージョン教育です。
しかし、そうした教育を受けた日本人が教師となり、日本語で授業を行うようになり、英語教育は次第にテストのための英語と変化していってしまったのは残念なことです。

「花子とアン」を見ていると、佼成女子との共通点も多々感じます。本校は全寮制ではありませんが、勉強合宿などでは親元を離れるという疑似体験をしておりますし、音楽や美術などでは外国人教師による英語のイマージョン教育を行っています。
明治時代は、英語ができることが武器になりましたが、現在は英語ができることで、職種が増え、活動するフィールドが日本の外にも広がっていく時代となりました。
今回、佼成女子がスーパーグローバルハイスクールに指定されたことで、明治時代からさらに進んだ、本校ならではの新しい英語教育に取り組んでいくつもりです。どうぞご期待ください。

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(佼成学園女子中学高等学校 広報室)