街路樹毎年何回か、近隣にお住まいの方から本校生徒に対するお褒めの言葉をいただくことがあります。それは、道端のゴミを率先して拾っていたり、道案内をさせていただいたりといったちょっとしたことではありますが、学校にとってはそういったご連絡をいただくことはとても嬉しいことで、知らせて下さった方への感謝と共に、本校生徒をとても誇りに思う瞬間でもあります。

今年3月、佼成女子の近隣にお住まいの方から、学校あてにお褒めのお手紙をいただきました。それは「本校の生徒が千歳烏山駅からの通学途中、通行人が道端に捨てていった煙草の吸殻を拾い上げていました。生徒たちのモラルに感動しました」という内容でした。匿名でお手紙を下さったその方は、この千歳烏山に30年お住まいになる地域の方だそうです。「自分からこのような行動を取る生徒のいる学校及び保護者の方の教育に敬意を表するため」、わざわざ筆を取って下さったのでした。

登校時に近隣のゴミをさりげなく拾うといった佼成女子のみなさんの通学路における行いは教職員がよく見ているので、こうした倫理観のある生徒を見るたびに職員会議などで話題に上がります。

今までにも、本校生徒に関するお手紙やお電話をいただくことがありました。例えば4年前には、本校生徒が駅で大荷物を持った妊婦の方を手助けして、感謝のお手紙をいただきました。小さな親切に対し、その方は「もし女の子が生まれたら佼成女子に入学させたい」とまで書いてくださいました。

また同じく4年前、千歳烏山駅でご高齢の女性に目的地までの道を尋ねられた本校の生徒が、目的地まで案内したそうです。そのことに対するお礼のお電話をいただいたこともあります。「すごく感じの良いお嬢さんで、うれしくて思わずお電話しちゃいました。とても幸せな気持ちで一日過ごせました。実は私も20年ほど前まで世田谷の中学校で教員をしていたのでよくわかるのですが、これは貴校と保護者の方たちの教育の賜物だと思われます」とまで、その方はおっしゃって下さいました。

また最近のことになりますが、昨年の年末、本校に物理用のレーザー照射の実験器具を寄付してくださった方がいらっしゃいました。山内校長がお話を伺ったところ、「実は、四谷の方で道に迷っていたとき、3人の佼成女子の生徒に道案内をしていただき、非常に助かりました」とのことでした。その器具はその方ご自身が大切にされていたものでしたが、立派な生徒がいる学校で役立ててもらいたいと、わざわざ重たい器具をお持ち下さったのです。現在、その器具は大切に使わせていただいております。

Blue Skyまだまだ身体だけでなく心も若い未熟な生徒たちにとって、その行動をとることで、助けられて喜ぶ人がいたり、幸せな気持ちで一日を過ごす人がいたり、あるいは自分が同じ立場に立ったときにどんな気持ちになるかは、頭では理解していても、いざ行動に移すとなるとためらってしまったり、見られたら恥ずかしいと思ってしまったりしてしまうこともあるかと思います。ここに足りないのは、きっとほんの少しの勇気なのではないでしょうか。佼成女子のみなさん一人ひとりがほんの少しの勇気を出し、人の役に立つことを行い、酒井理事長の講義の時間や、始業式、終業式といった場面で山内校長が、みなさんの行動でやさしい気持ちになった人たちがいることを全体に知らせる。みんながみんな、段々と体を動かせるようになっていく。そして、お互いがお互いを思いやることのできるようになるのではないでしょうか。そうした生徒たちへ少しずつ成長していくことが、生徒のみなさんはもちろん地域の方々や教職員も過ごしやすい学校をつくっていく第一歩であると、私たちは強く感じています。

本校の校訓は「行学の二道を励み候べし」です。「学」は学業ですが、「行」とは何か。これこそ、「日ごろの行い」であります。「学業優秀であるのもさることながら、人として立派な行いができる人間になって欲しい。これは、佼成学園創立者の庭野日敬先生が願ったことです。「心を鍛えて成長させて思いやりの心を持つ」ことを佼成女子のみなさんには忘れないでいただきたいのです。ただ、みなさん生徒たちが他者に対する心遣いを持つ人間性を身に付けているからこそ、日ごろの学校の外での行いをほめていただく機会が多いのではないかと思っています。学校にわかるのはこうしてお知らせいただいた場合だけです。反対にご迷惑をおかけしている生徒もいるかもしれません。

佼成女子は今年創立60周年を迎えました。創立者である庭野日敬先生は、昭和30年当時、以下のように書いておられます。
「佼成学園の生徒は信仰に入っていてもいなくても佼成学園の教育方針に誇りを持って頂きたいと申し上げたいのであります。それは、佼成会の教えは単なる徳目の羅列ではなくして、生活規範としての道徳的実践力を養うことに重点力を置いているからであります」
こうした創立者の心は、「建学の精神」という小冊子にまとめられています。

最近では、英検合格やスーパーグローバルハイスクール指定校となったことなど、学のほうで注目をいただいている佼成女子ですが、学校の心は「建学の精神」に書かれている「行学二道」。行の道と学の道の両方あってこその佼成女子です。遠くから通う生徒もおり、千歳烏山は駅から学校まで歩くだけの街、という意識の生徒も多いとは思いますが、こうしてた「良いことも、時には悪いことも、地域の方々はちゃんと見ている」ということも忘れてはならないことであると感じています。
生徒1人1人が誇りを持てる学校であること、また地域の方々に佼成女子が地域にあることを喜んで下さる学校であることが、私たちの願いです。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)