事前研修佼成女子では、昨年に引き続き「日本スリランカ青少年交流」プログラムに参加します。これは、スリランカで日本と現地の青少年が交流することで国際理解を深めることを目的とするもので、佼成女子からは中3と高1の応募者から15名が選抜されました。生徒たちは現地に赴く前に8回の事前研修を受け、スリランカの文化や宗教に関して勉強し、また日本や自分たちのことを英語で説明できるようにしておくなど、このスリランカ行きを実りあるものとすべくがんばっています。

スーパーグローバルハイスクールの指定を受け、佼成女子には来年度からグローバルクラスが新設されます。そのプログラムの中には、タイやイギリスでの滞在学習を通じての「フィールドワーク」や「プレゼンテーション」への取組みが含まれ、生徒たちはそれを通じて『異文化を理解する能力』と『異文化とコミュニケーションし、影響力を及ぼす能力』を身に付けてゆきます。佼成女子が10年間積み重ねてきたニュージーランド1年留学クラス、そして今年で2回目となるこの「日本スリランカ青少年交流」の経験も、グローバルクラスの充実へと展開していける手ごたえを感じています。

さて、今年の「日本スリランカ青少年交流」は、中3と高1の中から参加希望者を募り、提出されたエントリーシートにて選考が行われました。参加者には、7月9日~31日まで、全部で8回、各2時間の事前研修の参加が義務付けられています。30日と最終日の31日の研修を見学しましたが、参加生徒たちは熱心にメモを取ったり、講師の先生に質問するなどして、スリランカ行きに向けて準備を進めていました。

日本にいるとなかなか気付きにくいこととして、人種や宗教の問題があります。例えばスリランカの民族は、75%近くを占めるシンハラ人のほか、タミル人、ムーア人などがいます。言葉もシンハラ語、タミル語、英語、宗教についても、仏教、ヒンズー教、イスラム教、キリスト教の教徒がいます。そして何よりも大きな政治的な問題として、1970年代の民族紛争から始まって、1983年から2009年の終結まで26年ものあいだ続いたスリランカ内戦があります。
今回、スリランカでお会いする同年代の人たちのために、参加者がそれぞれプレゼントを用意することになっていますが、プレゼント1つ選ぶにしても、例えば戦争をイメージさせるものや、宗教的にタブーなもの、例えばどんなにかわいくてもイスラム教徒の方に豚のぬいぐるみは差し上げることはできません。
海外で現地の人たちとお会いする時は、相手のバックボーンをあらかじめ知っておき、また自分を伝えるための準備をしておくと、短期間でもより親密な交流ができるはずです。今回の研修は、そのために行われています。

事前研修ではシンハラ人や在日スリランカ人を含む講師の方々においでいただき、スリランカのマナーや挨拶、仏教とやヒンズー教、イスラム教のこと、またその教徒の生活文化といった講演をしていただきました。また、英語で自己紹介をしたり、また班に分かれてスリランカについて調べて発表したり、東京音頭の練習をしたりしました。ちなみにスリランカでは、浴衣姿のお披露目もする予定です。

園児の絵
佼成幼稚園の園児たちが描いてくれた、「スイカ割」や「お盆」、「カレーパーティ」等の絵。スリランカの幼稚園で、これらを英語で説明します。
Peace Note
これは制作中のPeace Note。自己紹介に使えるよう、おうちのことや、家族の紹介など、写真やイラストを駆使しています。この日の講師の安藤先生も感心してくださった出来栄えでした。
河田尚子先生
30日の講師は世界宗教者平和会議日本委員会の河田尚子先生。17年前に入信されたイスラム教徒でいらっしゃいます。日本ではなじみの薄いイスラム教ですが、世界では大変に信者が多く、例外的に日本に少ないだけなのです。例えば海外のどこかに留学すれば、必ずイスラム教徒の方と出会います。河田先生には、挨拶とその言葉の意味、礼拝着のこと、イスラム教徒(ムスリム)のタブー、考え方などを教えていただきました。
日本人はなじみのない宗教はなんとなく敬遠しがちな傾向がありますが、河田先生のような日本人女性が「イスラム教は日本と倫理観は似ています。社会の在り方が違うだけなんですよ」などと教えて下さったことで、イスラム教に親しみがわいたように思います。
ムスリムの衣装
ムスリムの衣服も見せていただきました。
安藤まどか先生
31日の講師は、公益財団法人国際文化フォーラム、プログラム・オフィサーの安藤まどか先生。中高一貫校出身で、15歳の時に1年間のアメリカ留学をされたという安藤先生は、その頃から国際交流の仕事を志されました。26歳のときにスリランカで障害者の働くクッキー工場「ぱれっと」の責任者として2年半滞在したのを皮切りに、大学院でのスリランカ、ムスリムの研究をはさんで、ずっと国際交流に関わる仕事をされています。
安藤先生がスリランカに滞在した12年前は、まだスリランカは内戦状態でした。しかし爆弾が飛んでいる中でも、青少年が大学に入るための勉強を続けているのを目撃したり、図書館が大好きなのだという女の子に出会ったりされたそうです。日本では考えられない緊張状態の中で、先を信じて必死で生活し、勉強をしている同年代の子供たちの話に、生徒たちはとても心を打たれたようでした。

文化の違いについても、例えばなぜ料理を手で食べるのかということについては、「スプーンやフォークは石であり、それを口に入れるのは汚い。だから手で食べる。同様にペットボトルも口をつけない」という理由があります。他にも現地に行けば、いろんな「なぜ?」が浮かんでくると思いますが、「体験して、そして考えてみて下さいね」(安藤先生)。

このプログラムに参加する生徒たちは、海外滞在経験者であったり、逆に飛行機に乗るのも初めてだったりと、海外体験は様々。「いろんな国に興味があるのでちょうどいい機会だと思って」「他の国の同世代の子たちと会ってみたかった」「いろんな宗教の人が仲良く暮らすというのはどういうことだろうと思って」等、志望動機を語ってくれました。
今回の研修を全部受けてみて、「日本人の方が感じた異文化の話を聞けて良かったなと思いました」「イスラム教は怖いんだと思ってましたが、話を聞いたら考えが変わりました」「他の民族の衣装を見るのが楽しみだし、料理もチャレンジしたい」「世界に目を向けている人たちの話を聞くにつけて、見えるものはすべて自分がどう考えるかによって、見え方が変わってくるんだなあと思いました」との感想も。
一つの国のことについて、かかわりのある方々から直接お話を聞き、勉強してからその国に行く。これは大人になってもなかなかできないことですし、特に海外が初めての生徒にとってはとても印象深い体験となったでしょう。生徒たちの帰国後の感想が、とても楽しみです。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)