コスモスNHKの朝ドラ「花子とアン」では、9月の3週目に終戦を迎え、花子が戦火の中でコツコツと続けていた「赤毛のアン」の翻訳も完了しました。花子の影響を受け、兄としての面目から志を立て田舎を捨て、東京で憲兵になった兄やんの吉太郎も、「終戦」という衝撃を受け傷ついています。軍人としての目標を失った彼が彷徨った挙句に行き着いた所は、やはり甲府の実家だったのです。

その週末に本校では文化祭である「乙女祭」を迎えました。多才な女子が個性的なアイデアを出し合い、文化祭の各クラスのコーナーはまさに女子文化の競演と化して、とても華やかでした。準備の最中でも、みんな本当に楽しそうに独創性を発揮し合っていました。そして完成したコーナーや舞台発表はまるで女子力の結晶のようでした。
共学校では男子生徒に気遣い、恐らく「女子力」全開とは行かないでしょうが、ここは女子の女子による女子のための学校です。思う存分に自分を出せる環境に嬉々としている生徒の表情は、とてもキラキラしていました。

さて、乙女祭には多数の卒業生が集います。昨今のOGだけでなく、生徒の保護者が卒業生というケースも本校ではめずらしくなくなりました。創立60周年を迎えた本校の1期生は、今や76歳くらいのお年のはずで、実際におばあさまの代から3世代本校のセーラー服を着用しているという在校生もいます。今年度の乙女祭では、先日勤続40年の表彰を受けたばかりの井上教頭のところに、20年ぶりに会いに来てくれたという卒業生や、小さなお子さんを見せに来てくれた卒業生も。他にもそこかしこで、卒業生たちと先生方の近況を報告し合う楽しげな会話が弾んでいました。

さて、「花子とアン」の兄やんが実家に帰った時の第一声は、「うちはちっとも変わってねー」でした。彼が東京へ出たのは人生に変化を求めてのことでしたが、このセリフは、不変なるものの尊さを実感したかのように感じました。人生は進化発展すべきものですが、目標に向かって最短距離で到達できるものではありません。その過程において幾多のハードル、壁、試練を乗り越えなければならず、遠回りは必至です。力んだ分だけ休養、特に心の休養は不可欠でしょう。山中で道に迷ったら、元の道に戻るのは鉄則ですが、人生の道で迷った時には、迷わず母校に足を向けて欲しいと思います。

佼成学園女子公立高校のような異動はありませんが、すでに恩師は定年になっているかもしれません。それでも、京王線の千歳烏山を下り、南口から西方へ歩み本校の名前が見え出す通学路辺りから、気分はあの頃に戻っているはずです。それと同時にすっかり忘れていたあの頃の夢や目標をも思い出すことでしょう。楽しい思い出ばかりではありません。辛いことや悲しい思い出も同時に蘇ってくるはずです。しかし、それらを乗り越え成長した自分にもきっと気づくはずです。自身の土台を築いた原点に戻る行為は癒しでもあり励ましでもありますが、それらはすべて自分の心の中でうごめいているものです。花子の兄同様、母校こそ再スタートに相応しい聖地と言えるでしょう。
相変わらず日本経済は不安定と言わざるを得ませんが、私立学校を選択するということには意義があり、それだけの価値があります。お金では買えないものはたくさんありますが、「腹心の友」に巡り会える女子校は、その筆頭に上がるのではないでしょうか。
文化祭が終わるといよいよ学校説明会のシーズンです。素敵な出会いを心待ちにしております。

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(佼成学園女子中学高等学校 広報室)