大変光栄なことに、これまで本校が取り組んできた国際理解教育が評価され、本年度、文部科学省よりスーパー・グローバル・ハイスクール(以降SGH)に指定されました。これにあわせて来年度よりスーパー・グローバル・クラス(以降SGクラス)が特進文理コース内に新設されます。
SGクラスの細かい特色について今は割愛させていただきますが、大きくは2年次のタイ、3年次でのイギリスでの異文化研究を通じ、グローバルリーダーの育成を目指します。その準備のため、平成26年6月22日(日)~29日(日)にかけ、校長の山内、国際交流部部長の宍戸が研修地であるタイを訪問し、視察を行いました。

初日、バンコクで寺院や王宮などを見学し、2日目はカンチャナブリーで「JEATH戦争博物館」(※1)などを訪れ、第二次世界大戦中の日本と海外との不幸な関わりについて、国際的な視点から学ぶための示唆を得ました。

バンコク市内の仏教寺院にて
バンコク市内の仏教寺院にて
JEATH戦争博物館 内部
JEATH戦争博物館 内部
3日目以降が一番のメインであるチェンマイの視察です。タイでのフィールドワークを実践しておられる、恵泉女学園大学の押山正紀先生と合流し、本校が現地での活動を行う際に協力していただく予定の施設やNGO団体などを訪問しました。
タイのNGO「New Life Center」(※2)や、「アーサー・パタナー・デック財団」(※3)を訪問した際には、少数民族の教育やストリートチルドレンなど、タイが現在抱えている問題の解決に尽力している様子を拝見しました。日本で何不自由なく暮らしている生徒たちが研究テーマを設定したり、実際に交流するためには、十分な事前指導の必要があることを実感しました。

New Life Center内の様子
New Life Center内の様子
New Life Centerの子こども達の作品
New Life Centerの子こども達の作品
ドーデックギャラリーの外観
ドーデックギャラリー(※4)の外観
アーサー・パタナー・デック財団で支援を受けている少女
アーサー・パタナー・デック財団で支援を受けている少女
また、先の二つの団体と同じように、性犯罪や人身売買の被害にあいそうな少年少女たちの自立支援などを行っているNGO「Development and Education Programme for Daughters and Communities(DEPDC)」は施設が充実しており、スポーツ交流も模索できそうでした。その他うかがった中では、恵泉女学園大学の卒業生がスタッフとして勤め、数多くのプロジェクトを行っていて世界中からのボランティアの受け入れ実績があるNGO「ミラー財団」(※5)には、SGクラスと現地とのよい仲介役をお願いできるものと期待をしています。

DEPDC内部
DEPDC内部
ミラー財団にて
ミラー財団にて
そして、今回の視察で一番印象的だったのが、少数民族のカレン族の村を訪問したことでした。彼らは、電気もない小さな村で、ほぼ自給自足の生活をし、自然とともに暮らしています。その小さな村に日本の大学生が滞在するため、村人が簡易トイレやシャワーを作ってくれたのだと聞いて大変感銘を受けました。SGクラスの生徒たちもカレン族の人々と交流させていただくことができれば、それだけで日本人が忘れてしまいがちな大切な何かを取り戻してくれるのではないか、とさえ感じました。

カレン族の村
カレン族の村
村人が作ってくれた簡易トイレ
村人が作ってくれた簡易トイレ
今回はその他にミャンマーとタイとの国境、麻薬の取引が行われることでも知られている「ゴールデントライアングル」なども視察しました。

グローバルリーダーとなるためには、世界の現状を理解し、その上で何ができるかを考え、実行する能力が求められます。タイは世界195カ国の一つに過ぎませんが、この国を手がかりに世界とは何かを考える、その材料は十分備わっているというのが、今回一番強く感じたことです。
SGクラスは平成27年度よりスタートします。それまでにクリアしなければいけない課題は山積ですが、この視察で得たものを土台として、充実したプログラムを構築していきたいと思っています。

(付記)なお、カレン族は自分たちが栽培しているコーヒーなどを売ることで生計を立てています。先日の本校の文化祭(9月20日(土)・21日(日)実施)ではカレン族の生活支援に少しでも貢献できれば、と彼らのコーヒーを販売させていただきました。
[VIDEO] Master Coffee ver japan

カレン族が育てているコーヒー
カレン族が育てているコーヒーの木
カレン族のコーヒーを販売しました
カレン族のコーヒーを販売しました
※1 大戦中、日本軍の指示により泰緬鉄道建設のために強制労働に従事させられた連合国の戦争捕虜に関する展示を行っている。
※2 家庭の貧しさのために町へ仕事を捜しに出てきたタイ北部の山岳民族の少女たちや、親や村の長に売られて売春させられたりしている子供たちを保護し、学校へ通わせるかたわら、職業訓練を行って将来自活できるよう支援する活動を行っている。
※3 ストリートチルドレンの支援を目的として設立され、子どもの緊急避難場所の提供を目的とした「ドロップインセンター」、ストリートの生活から抜け出すことを希望した子ども達が共同生活をする「子どもの家」の2種類の施設を運営。子ども達の里親制度なども行っている。
※4 アーサー・パタナー・デック財団が運営する、ストリートチルドレンの青少年の作品を展示販売するショップ。青少年の収入を援助し、アートセラピーを通して精神的な癒しを受けて自尊心を回復することで、自分自身の価値を見直すことを目的としている。(参照:HP http://vcdf.moo.jp/
※5 タイ北部山岳少数民族の国籍、薬物、文化保護、人身取引にかかわる問題に取り組むNGO団体。

(文責:国際交流部部長 宍戸崇哲)