理事長講話1月8日(木)、3学期の始業式後に、高2対象の理事長講話が行われました。先月留学から戻ってきたKGGS特進留学コース10期生のF組も加わりました。

昨日の朝、NHKニュースに佼成学園男子校の卒業生が出演しました。蛯名健一さんといって、ダンスパフォーマーとして世界的に有名になった方で、現在の活躍ぶりをテレビでお話されていました。ダンスはアメリカの大学に入ってから独学で始めたとのことで、フリースタイルのヒップホップ、マイム、ジャズ、エスニックダンスなど様々なダンスを身に付け、彼独自の新しいスタイルを創りあげたのでした。2013年にはアメリカの有名なオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で、日本人としては初めてチャンピオンとなり、賞金100万ドル(約1億円)を得て、一躍有名になりました。私は佼成学園の先輩の活躍をたいへん嬉しく、誇りに思ったのであります。

年末、私は実家で紅白歌合戦を見ておりました。SMAPが私の大好きな「世界で一つだけの花」を歌ってくれました。この歌詞は、私たち一人一人が生きていくときの大切な教訓を含んだ歌だと思います。有名な歌なので皆さんご存知でしょう。花の好みは違ってもみんな美しく咲いている。この中で誰が一番だなんて争うこともしないで、バケツの中で誇らしげにしゃんと胸を張っている。私たち人間も、みんなお互いに性格も体格も頭脳も違います。みんな違いがあるけれども、人と争うことはない。私なりのオンリーワンの美しい花を咲かせることができるかどうか。
私には、「世界に一つだけの花」が法華経の中の「草木のたとえ」にダブって浮かんできたのでした。
「草木のたとえ」は、こんなお話です。
「大自然の山や川や谷間や土地に生えている、小さな木や大きな木や藪や林やいろいろな草木などは、種類が様々で名前も形もそれぞれに違っています。こうして草木が生い茂っている上空に、雨雲がいっぱい広がって、そしてどこも同じように雨を降らせました。すると、どの草どの木、藪や林には、平等に雨が降り注ぎます。小さな草や木、中くらいの草や木、大きな草や木は、それぞれ平等に雨のうるおいを受けて、生き生きとして成長していくのです。
ところがよく考えてみると、雨は平等に降り注いていても、それを受ける方は、草木の大小や種類によって受け取り方が違います。量も違えば質も違います。大きい木は大きい木らしく、たくさん降った雨の水を吸収するかもしれない。小さな草や小さな木は少ししか降った雨を吸収しないかもしれない。しかし、結局はそれぞれの草木の性質に応じて、それにふさわしい成長を遂げることができ、それぞれの美しい花が開き、実を結ぶのです。一つの木から生えたものでも、1つの雲から降った雨の恵みを受けたものでも、草木にはこんな相違がある事を知らねばなりません」
この学校を創立された庭野日敬先生は、このたとえ話の中から、人間の生きるべき一つの教訓として、これを解説して下さっています。
「もろもろの草木には、大小上中下の相違があるというのは、むろん人間には様々の素質の違いがある事を示してあるのです。色々な草木がみな違いがあるように、人間一人一人もみんな違いがある。しかしここではっきりしなければならないことは、大きい木が必ずしも小さい木よりも上等だとは言えないし、小さな草は必ずしも大きい草に劣るとは言えないということです。杉には杉の役目があり、柘植には柘植の役目があります。小さな杉も美しければ、大きなススキもまた風情があります。それと同じように、人間の表面にあらわれた頭脳や才能や性格や体力にはいろいろな差があるようでも、それぞれの性分に応じ、才能に応じて、自分の持っている力を精一杯発揮すれば、すべてが美しく、すべてが尊いのです。たんぽぽはたんぽぽの美しさがあり、すみれはすみれの美しさがある。杉には杉の役目があり、松には松の役目がある。それぞれがみんな素晴らしいんだ。小さいからダメだとか大きいからダメだということではない
ある木は1年で成長するが、ある木は何年もかかる。ある木は1年で実を結ぶが、ある木は7、8年たたなければ実を結ばない。ところが7、8年たたなければ実を結ばない木が、1年で実を結ぶ木を見て、『ああ俺はダメだ、俺には実が結べそうもない』などと考えるのは誠におかしいことではありませんか。あるいは、『あの木は1年で実を結んだ。俺は1年でやっと枝葉が出たばかりだ。だが、受けた雨は同じ雨なんだから、これでいいのだ。これがおれの精一杯のところなんだ』と満足してしまうのも、おかしいことではありませんか。7、8年かかる木は、焦らずあきらめず他を敬い、コツコツと学び、努力していけばいいのです。そうしていくうちに、必ず花が咲き、実を結ぶことができるのです。1年で結んだ実もおいしいのなら、8年かかった実もおいしいのです。桃栗3年柿8年、桃や栗は3年で実がなるけれども、柿は8年かかる。だけども、早くなったからおいしい、実るのに時間がかかったからおいしくないとか、そういうことではない。桃栗にも、柿にも、それぞれのおいしさがある」
日敬先生は、このように教えて下さったのでありました。

お正月には、皆さんの先輩から嬉しい年賀状をもらいました。学校の教師になりましたという先輩、大学で看護師の勉強をしていてあと1年で卒業という先輩、それぞれが自分らしい花を咲かせているのだなと、私は改めて思わせていただきました。蛯名健一さんも、高校時代はそんな目立った生徒ではなかったそうです。でも、アメリカで自分なりの努力をされて、世界的なダンスパフォーマーとして脚光を浴びた。どこでどう花が咲くかわからない。時間のかかる花もあるのかもしれない。でも花が咲いたときには、それぞれ美しい花が咲くことができる。
皆さんは4月から最終学年になります。自分の花を咲かせるために、他と競争するのではなくて、私なりの努力をして、将来、人のためや世のために役立つような生き方ができるような人間になるために努力をしていってもらいたい、オンリーワンの花を咲かせてもらいたいと思った次第です。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)