すいかと水風船皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。
毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。
第52回目の今回は、「地方紙」と題してお伝えします。

県紙といったものがあります。その県を代表する新聞です。
郷里福島県では、「福島民報新聞」と「福島民友新聞」の2紙が発行されています。
郷里を離れて結構な時間が経ちましたが、それでも関心は絶ちがたく、日々電子媒体でざっと目を通しています。

目を通したその日、一面で報道されていたのは、東日本大震災復興事業に対して地方負担軽減措置のニュースでした。震災地域でのニュースは、震災関連のものが、紙面トップを飾ることはまだまだ多いのです。
そのトップ記事が掲載される一面には、必ずといって良いほど「コラム」欄が、どの新聞にも設けられています。
それだけ社説同様に「コラム」も新聞社の「顔」と言えるものなのでしょう。
有名どころでは、全国紙である朝日新聞の「天声人語」、読売新聞の「編集手帳」、毎日新聞の「余禄」、日経新聞の「春秋」等があります。

ホームその日、目にした地方紙の「コラム」、「あぶくま抄」と名付けられた欄には、「出張で上京した福島市の会社員が、深夜の電車の座席に財布を置き忘れてしまった一夜の騒動」が描かれています。

その騒動は、「財布を失くした会社員が、ホテルに泊まることもできず、東京で大学生活をしている息子のアパートに泊まり、息子がアルバイトで稼いだ中から1万円を差し出してくれたことに『成長したな』と慰められ、また翌朝には、駅から財布が届いているとの連絡があり、急いで駆けつけて確認すると、自分の財布で、中身も全て無事で、届けて下さった人の『善意』と『正直さ』に目頭が厚くなったこと」がコラムにされています。

これを読んだ時、しみじみとうれしくなったのです。
ひとつには、同郷人である福島の人が、大都会で生きる東京の人を「今も生きる正直さ」と評してくれたことに対してです。
もうひとつは、同じく東京で生活する人が、無事に財布を届けた「行為」に対してです。
大都会暮らしをする人には、本籍と現住所のように、時と共に遠く故郷を離れ、今では大都会も故郷と呼べるようになっている人が多いかも知れません。
それは、心に創り上げた「土地柄」の二重性でしょう。
新聞のコラムは、福島(会津)と東京という私の心に在る「土地柄」の二重性を一度に揺さぶり、感激させてくれました。

本校の創立者である庭野日敬先生は、生徒たちに対して、「『他の人の存在を大切にする』という心がけが進展し、拡大しますと必ず『他の人の苦しみを軽減してあげたい』、『他の人の幸せを助長してあげたい』という積極的な気持ちへと成長してゆきます。
この積極的な気持ちが親切心であり、それを行動に表したのが親切行です」と示し、残されています。

会社員が置き忘れた財布を無事に届けた人は、忘れた本人を通し多くの人たちに尽くしています。
この様なことが、自然と行えるように成る。佼成女子の在り様です。

(佼成学園女子中学高等学校校長 山内日出夫)