winter皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。
毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。
第57回目の今回は、「烏山冬天」と題してお伝えします。

テレビのニュースが、隣国の首都北京の姿を、大きく取り上げていました。
クローズアップされた12月8日のその風景は、真昼間なのに、夕暮れ時のように薄暗く、太陽の光は途中でスモッグに跳ね返され、地上に届かず、人々は誰もがマスクを付け、公園で賑やかに遊ぶ子どもたちの姿もありません。
原因は微小粒子状物質(PM2.5)により、深刻な大気汚染がもたらされているからです。

ニュースは、その様子を詳細に伝えていました。
平均濃度が1立方メートルあたり300マイクロ・グラムを超え、日本の環境基準の約9倍となったこと。
またこの日、北京では4段階ある大気汚染警報のうち、最高レベルの「赤色警報」が発令され、日本人学校を含む学校が休校となり、工場等も稼動停止の緊急措置がとられ、車両の半分が通行禁止された等々です。
おおよそ3億人に影響が出ているとされています。

悪名高い微小粒子状物質(PM2.5)は、普通の呼吸で目や鼻・喉・気管支・肺等の呼吸器や循環器系粘膜に沈着して、一部は、肺の奥深く肺胞までも届くとされています。
その結果、アレルギー性鼻炎・アレルギー性眼炎、喘息、気管支炎等を悪化させ、
肺腫瘍に作用、不整脈や心機能にもダメージを与えるとされています。
それだけ、日々の生活にとってリスク負担が高い物質であるといえます。

以前、北京を訪ねたことのある人なら、これらのことは予想だにしない出来事であり、考えも及ばない事柄です。
なぜなら、「北京秋天」という美しい言葉で、北京は表現されているからです。
私も幾度となく訪れていますが、生い茂った堂々とした街路樹の通りが幾本もあり、それも延々と続いている「様」は、実に見応えがあります。
国慶節の季節に訪れると、空の青さは透明感があり、中国の国土と同様に果てしなさに感動します。

「北京秋天」は、日本の辞書等を引くと「天」は、空を表しているのではなく、昨日を昨天、今日を今天と言うように、「秋天」は「北京の秋」を意味していると出てきます。
しかし、中国の方等からは、「北京は晴れる日が秋に多く、雲一つ無く晴れ渡る空の様子は実に美しい」という解釈の説明を頂いたことがあります。
自慢気に話された方の意味合いのほうが、より一般的な思いがしてなりません。
それだけ、北京の人々にとっては、「今日の状況を憂いている人々が多いのでは」と推測できます。

富士山佼成学園女子校のある千歳烏山は、中国的に表現すれば「烏山冬天」です。
冬晴れした、澄んだ空気に包まれ、遠方に雪に抱かれた富士山が美しく輝いて見えます。
このような環境を、世代を超えて自慢気に話せるよう残していく、そのような強い意志を醸成するのも、教育の役割のひとつであると考えています。

皆様にとって、2016年が、幸福をわかち合う日々となりますようお祈り申し上げます。

(佼成学園女子中学高等学校校長 山内日出夫)