酒井先生講話6月29日(水)、中学2年生、3年生を対象とした本校顧問・酒井教雄先生の講話授業が行われました。宗教を精神的な柱としている私立校は数多くありますが、佼成学園はその中でも仏教系の学校です。この日は、酒井先生がお釈迦様の大事な教えを、中学生たちにかみ砕いて教えてくださいました。

今日は、「仏教の教えに学ぶ私たちの生き方」というテーマで、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
皆さんご存知の通り、佼成学園女子中学高等学校を創ってくれたのは、世界的な宗教家である庭野日敬先生です。日敬先生は絵もたくさん残して下さっていまして、今日はその中の1枚をお見せしましょう。
これは、中国の有名な白楽天という詩人がまだ若いころ、樹の上に座っている鳥窠(ちょうか)禅師というお坊さんと問答をしている絵です。
仏教の教えに学ぶ「あなたはこの木の上で何をしているのですか?」と、白楽天が聞いた。すると木の上で座禅を組んでいるそのお坊さんは、「私は仏教の修業をしている」と答えた。「では、その仏教の教えとは?」と白楽天が尋ねると、お坊さんはこう答えました。それがここに書いてある「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」です。これは、「悪いことはしてはいけない。いいことをやりなさい。それで自分の心もきれいな心になりなさい。それが仏教の教えです」という意味です。
白楽天は言いました。「そんなことは3歳の子どもでも分かることだ」。するとお坊さんは言ったそうです。「3歳の子どもでも分かっているけど、80になる年寄りでも実践できない」。
白楽天はこの言葉に返す言葉を失って立ち去った。そういう有名なシーンを描いた絵です。

「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」、これが仏教の教えです。
まず、「諸悪莫作(しょあくまくさ)」とは、「もろもろの悪をなすことなかれ」。例えば、人を傷つけたり、人を悩ませたりといった、人が嫌がるようなことをしちゃ駄目だよということです。
「衆善奉行(しゅうぜんぶぎょう)」とは、「もろもろの善い行いをしなさい」。例えば、授業をするときは先生が困らないようにしっかり聞く。お掃除はしっかりやる。人に助けてもらったら「ありがとう」と言う。そういう善いことをいっぱいやりなさい。
「自浄其意(じじょうごい)」とは、「自らその心を浄める」。いつもちょっとしたことで腹が立つという人は、少しでも腹が立たないように努力する。勉強しないで夜寝てしまうような怠け心の強い人は、一生懸命で勉強するように努力をする。そういう自分の心の中のよくない心を少しでも善くしなさい。
最後の「是諸仏教(ぜしょぶつきょう)は、「これが仏教の教えです」という意味です。こういって、樹の上の鳥窠禅師は教えてくれたのでありました。

この「諸悪莫作」(しょあくまくさ)」において、特に人間が心しなければならない10の悪いことを、仏教は教えてくれています。身体で間違いを起こす悪。口で間違いを起こす悪、それから人間の中にあるよくない心の悪です。
まず身の3悪。殺生(せっしょう)、偸盗(ちゅうとう)、邪淫(じゃいん)です。
殺生(せっしょう)とは、意味なく人間、動植物の命を絶つことです。原爆はあらゆる命を奪いましたから、庭野日敬先生は核兵器をやめましょうという運動を一生懸命されていました。このように仏教では、人の命を奪わない、生き物の命を奪わないと教えています。だけど私たちは、生き物の命を奪わなくては生きていけません。植物、家畜、お魚の命を頂くのですから、食べる時には感謝して「いただきます」というのです。命を頂いて生きている私たちなのですから、人を傷つけるのでなく、人を助けるような人になりましょう。
2つ目の偸盗は、盗みをすること、3つ目邪淫は、ふしだらな異性関係です。これは説明しなくとも悪いことだとわかりますね。3つとも、我々が生きてく上で、とても大事なことを仏教は教えてくれています。

次は、口の4悪、妄語(もうご)、両舌(りょうぜつ)、綺語(きご)、悪口(あっく)、です。
妄語とは、うそを言うことです。1回でも嘘をつくと、つじつまを合わせるために次々にうそを重ねてしまいますし、信頼もなくします。
両舌は、二枚舌のことです。例えば、友だちのA子さんに言うことと、B子さんに言うことが違う。こういうことを二枚舌といいます。それは正直ではありません。
悪口は漢字の通り、人の悪口を言うことです。人の悪口を言うと、今度は自分が悪口を言われます。人の悪口を絶対に言わないことが、人から信頼されることです。人の悪口をいうことは、自分の人格を傷つけることです。
綺語とは、口から出まかせを言うことです。腹にもないことをベラベラしゃべる。これも口で犯す4つ目の大きな悪です。

最期は、心の3つの悪いこと、これを貪・瞋・癡(とん・じん・ち)と言います。
貪欲(どんよく)の貪、瞋恚(しんに)の瞋、邪心が癡です。
貪欲とは、自分だけが得をしたい、自己中心的な欲の深い人です。こういう人は、みんなから嫌われますし、いくら頭が良くても「頭はいいけど心の良くない人」と見抜かれて就職試験に合格しにくい。今のうちから少しでも周りの人の為に、という心を持ってもらいたいと思います。
瞋恚は、自分の意に満たないと怒る人、短気な人です。いつもお母さんやお父さんに怒っている人はいませんか? 短気は損気です。だから、皆さんは、心の穏やかな、何を言われても腹を立てない。そういう人間になっていってほしいと思います。
邪心。なんでも自分の思う通りにしたい。友達が言ってもきかない。それが邪心の強い人です。
皆さん、自分の胸に手を当ててみてください。私はこ欲深かな? 私は短気じゃないかな? 自分の我を通す気持ちが強くないかな? それに気が付いたら、少しでもそういう心を切り替えることが大事です。
この、身体の三悪、口の四悪、心の三悪を少しでも改めていこうということを教えてくれているのが、仏教であります。

自分の中の悪いところに気が付いたら、次は「衆善奉行」です。これは衆(もろもろ)の善いことをしなさいという布施のすすめです。皆さんで言えば、お友達が勉強で分からないところがあったら教えてあげる。困った人がいたら助ける。そういうことがたくさんできる人になりましょうということです。
佼成学園の生徒たちは、男子校でも女子校でも自然に良い行いをしてくれていて、学校にお礼のお手紙をもらうこともよくあります。先日は、学校のご近所の方からお手紙をいただきました。それは、毎朝ハンドボール部の部員たちがいきいきとした表情で学校のまわりの清掃をしてくれているということに敬意を表するという内容でした。こういうお手紙を頂くと、ああ佼成女子の子たちはいい子ばかりだなあと、私も嬉しくなります。
今日お話ししたように、悪いことはせず、人のため世のために少しでも役立つような生き方をして、「自浄其意」すなわち、きれいな心になりなさい。これが「是諸仏教」つまり仏教の教えです。
今日は仏教が教えてくれる私たちの生き方ということで、庭野日敬先生が描かれた鳥巣禅師と白楽天の絵からお話させていただきました。皆さん、一生懸命聞いてくれたことを感謝します。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)