flowers皆さんこんにちは。校長の山内日出夫です。
毎月1回、校長としての私の感想や考えを「山内校長の【和顔愛語】(わげんあいご)」として、当ホームページで発信しています。学校のこと、生徒たちのこと、世の中のことなどを織り交ぜながら、皆さんと何かを共有できればと思います。どうかよろしくお願いします。

第72回目の今回は、「共感」と題してお伝えします。

かつての入学式で新入生たちにこのような呼び掛けをしたことがあります。
「目をつぶって、学校と話をして欲しい」そして「貴方にとって学校って何ですか、どういう場所ですか」と。
壇上から見ると、真剣にじっと目を閉じ、このふたつの命題に答えを出そうとしていた新入生たちの姿が、そこにはありました。

この時のことを、今年の卒業式で高校生と中学生の代表生徒の答辞から思い出すことになったのです。
高校生の答辞は、この様なものでした。
「楽しい気持ち、苦しい気持ち、色々な感情を共有してきた仲間たち。自分の身近な存在である皆が、部活動や委員会活動で活躍している姿は、とてもいい刺激となり、私を奮い立たせてくれるエネルギーとなりました。
悩んでいるとき、うまくいかないとき、すぐに手を差し伸べてくれたのも仲間でした。あたり前の景色にはいつも皆がいました。
机を合わせてお弁当を食べた昼休み。バレンタインには皆でチョコを交換したね。たとえ小さなことでも、私は忘れません」(一部抜粋)

そして中学生の答辞は、次のようなものでした。
「6年前の東日本大震災。
小学校3年生だった私は東京にいてさえ余震におびえていました。
復旧作業は今なお終わりが見えません。
被災地の作物を避けてしまう、避難者をいじめる等の問題もまだ続いています。
私たちは正しい情報を自分で選び、自分で考え、自分で判断していかなくてはいけません。また自分の知らないことを無視したり拒絶したりするのではなく、臨機応変に受け入れる柔軟さが必要だと思います」(一部抜粋)

この二人の卒業生代表答辞から読み取れるもの、共通して流れているもの、それは、「共感」という精神性です。
仲間たちの間に、社会という人々の間に、シンパシー(sympathy)すなわち相手の気持ちを、相手の体験を自分のことのように感じてあげられる心の深さです。
「貴方にとって学校って何ですか、どういう場所ですか」といった私の問いかけに、卒業生たちは見事に答えを出してくれていたのです。

廊下学校へは誰しもが多くの思い入れや、学校から得たものを持っています。
その多くの経験は勉強や部活動、得た友人との交わり等々、先輩から後輩へと渡され掴み取ってきたものです。
それがあるからこそ、卒業してから何年経っても「学校」と話ができ、「学校」という場所の意味することが愛おしさと共に分かるのです。

駅伝といった種目があります。
マラソンの様にひとりで走りきる「自己完結型」の競技ではなく、選手交代しながら走る「自他継続型」と言ってもよいでしょう。
入学式から卒業式まで、生徒たちは駅伝種目のごとく先輩から後輩へと「佼成学園女子校」という区間で自身を高め、それぞれの走者によって思いが込められた「たすき」を手渡し、手渡され、身につけて走るのです。
次に待っている後輩のために!

(佼成学園女子中学高等学校校長 山内日出夫)