酒井先生講話6月14日(水)、中1を対象とした本校顧問、酒井教雄先生の講話授業が行われました。中1生が佼成女子に入学して最初の講話ということで、学園創立者の庭野日敬先生のこと、そして校訓である「行学の二道」についてお話していただき、生徒たちには自分たちの学校について理解を深めるきっかけとなりました。

今日は皆さんに、この学校を作ってくれた庭野日敬先生のお話をします。日敬先生は、皆さんがまだ生まれる前ですね、18年前の平成11年に亡くなられました。先生はあなたがたのような中学生や高校生たちが大好きでした。生前は、佼成学園男子校の近くの大聖堂の窓から生徒たちの通学路や学校のグラウンドなどをご覧になって、目を細めておられました。
日敬先生が亡くなられた平成11年10月4日、最初に流れたインターネットのニュースでは「わが国最大の宗教団体の一つである立正佼成会を一代で築き上げ、1980年代から90年代にかけて、しばしばノーベル平和賞の声が聞こえていた庭野日敬先生が、10月4日92歳でお亡くなりになった」というふうに報道されました。
日敬先生は、国内の仏教やキリスト教や神道や教派神道など、違った宗教の人たちが手を取り合って、人の幸せのために行動を起こさなければならないと考え、国際的にもそれを広げて、1970年には第1回の世界宗教者平和会議が開かれました。その後も平和のために汗を流して世界を駆け巡られました。
今日は、皆さんにお見せしようとこの本を持ってきました。これは、私がスイスのジュネーブの国連ヨーロッパ本部で開かれた平和会議に参加した時、私の前に講演されたドイツのギュンターさんが配った本です。英語で「World Religion」、国際的な倫理、道徳というテーマについて書かれた本で、いろいろな宗教の考え方を持って世界平和のために活躍をした歴史的な人たちが載っています。マハトマ・ガンジー、マザー・テレサ、南アフリカのマンデラ元大統領、アウン・サン・スーチー、ダライ・ラマ、アルベルト・シュバイツァー、マーティン・ルーサー・キング牧師といった名前の中に、庭野日敬先生のお名前もあります。
マハトマ・ガンジーは、非暴力を貫いてインドの平和を勝ち取ったインド独立の父で、ヒンズー教の代表として載っています。お孫さんのエラ・ガンジーさんは今南アフリカに住んでいますが、何年か前には佼成学園に来て、みんなの前でお話をしてくれました。この8月にはまた日本の宝塚に来て、講演をしてくださるそうです。私も久しぶりにお会いします。
マザー・テレサは、キリスト教の代表的な方で、カルカッタで貧しい人を一生懸命助けてあげた人です。日敬先生とはたいへん親しく、よくお2人でニコニコしながら平和のためにどうしたらいいか語っておられました。
仏教では3人載っています。ダライ・ラマは、中国から弾圧されて、インドに亡命されています。チベット人を救うために努力されており、ノーベル平和賞を受賞されました。
次に、ミャンマーの政治指導者となったアウン・サン・スー・チー女史。15年間、ミャンマー政府によって自宅に軟禁されていました。この方もノーベル平和賞を受賞されています。世界的に有名な宗教人を集めたこの本の中にただ一人掲載された日本人です。
私も日敬先生のおかげで、こうした方々とお会いできました。そのたびに佼成学園の話をしていますから、佼成学園も知る人ぞ知る学校となっています。
学校のロビーにも、日敬先生がニューヨークの国連での軍縮会議で、世界の宗教者を代表してスピーチされているときの、白いタスキ姿の写真が飾られています。当時のアメリカのカーター大統領やソビエトのブレジネフ書記長やといった世界の政治家や大統領に向かって、「核兵器を早くやめて、みんなで話し合いをして平和をつくりましょう」と語ったときの姿です。
このように世界の平和リーダーだった日敬先生は、世界の宗教界のトップリーダーでもありました。これは、バチカンのローマ法王、ヨハネス・パウロ2世と一緒にひな壇に座っている日敬先生の写真です。その周囲に座っている方々は、いろんな宗教界の方々です。
そして日敬先生は、世界で世の中のために活躍してくれる子供を育てたいと考え、この佼成学園を創ったのです。
ちなみに日敬先生は、ノーベル平和賞と同じくらい有名で、宗教界のノーベル賞と言われるテンプルトン賞を受賞されています。これは、イギリスのウィンザー城で、エリザベス女王のご主人のエジンバラ公から賞を授かったときの写真です。これは世界で大きな注目を集めたできごとでありました。

さて、庭野日敬先生は、この佼成学園で学ぶ生徒たちに、「こういう心構えを持って学校生活を送ってください」と、校訓を定めてくれました。もう皆さんご存知ですね。「行学の二道を励み候べし、行学絶えなば仏法あるべからず」です。この学校で学ぶ生徒は、行学の二つの道をしっかりと修めてください。それが、この学校の校訓です。「行」のほうは行いの道。「学」のほうは、学業の道です。
皆さんの先輩たちは一生懸命勉強して、今年卒業した先輩たちも、たくさんの先輩が大学に合格しました。部活動でも留学でも成果を出して、受験でも現役で第一志望に合格した人たちもいます。大事なのはまず、学業の道に励むことです。
もう一つ大事なこと。それは行いの道です。勉強と同時に、毎日の生活の行いもちゃんと正していく。それを日敬先生は「行学の二道」とおっしゃったのであります。
行いの道において、皆さんにこれから3年間、高校も入れて6年間の間、心がけてほしい5つの実践があります。
1つ目、「挨拶の実践」。朝、目を覚ましたら、ご両親に「おはよう」、家を出るとき「行ってまいります」、学校に来てお友達に会ったら「おはよう」、先生に会ったら「おはようございます」、また昼間だったら「こんにちは」、帰るときは「さようなら」、家に帰ったら「ただいま」、先生に呼ばれたら「はい」。もし、お友達に迷惑をかけちゃったら「ごめんね」とお詫びができること、何か助けてもらったら「ありがとう」と言えること。こうやって挨拶の実践を心がけてください。皆さんは、先輩たちが実際にそうやって、挨拶の実践をしているのを見ていると思います。これは佼成女子の特色です。私も佼成学園を訪ねてこられたお客様に、「酒井さん、あなたの学校の生徒は、みんな挨拶きちんとするね。こういう子が私の会社にほしい」と、よくほめていただきます。
2つ目、「食前食後の感謝の実践」。私たちは生き物の命によって、我々の身体を養ってもらっています。皆さんがお昼を食べるカフェテリアにも書いてありますように、食前食後に「いただきます」「ごちそうさま」の言葉を感謝をもって言える、そういうことができる生徒になってもらいたい。
3つ目、「校門出入り一礼の実践」。学校はゲームセンターでも、みんなで遊ぶところでもありません。先生から勉強を教えてもらい、友達と友情を深め、そして、身体を鍛えていくところです。言ってみれば神聖な場です。学校に入るときはちゃんとけじめをつけて、「今日は一日お願いします」「今日は一日ありがとう」と一礼をしながら、校門を出入りできるような子であってほしい。教室に入るときも一礼ができるようになったらいいと思います。
次に「身だしなみ、整理整頓の実践」。心が乱れると服装が乱れます。きちっと自分の身だしなみを整えて、脱いだ靴は揃え、使った椅子は元へ戻す。こういうことができる中学生になっていってもらいたい。
最後に「親切、思いやりの実践」。友達をいじめること、これが一番人間として恥ずかしいことです。もし誰かが仲間はずれにされたりするようなことがあったら、すぐ助けてあげる。みんなが仲よく佼成女子の中学に入学したのだから、高3で卒業するときに、一番いい友達はやっぱり中学の友達だったと言ってもらえるように、人をいじめず、困った人は助けてあげてください。
行学の二道、勉強もしっかりやって世の中の役に立つ人間になること、そして身近な行いがきちんとできる人間になること。これが、佼成学園の伝統です。
卒業式の時、保護者の方々から「佼成に入れたおかげさまで、うちの子はいい子になりました」とよく言っていただきます。しかしこれは、やっぱり中学校1年のときからの心がけ次第なんですね。

今日は、皆さんの初めてのお勉強の会でした。この学校を作られた庭野日敬先生がどんな方だったのか、そしてこの学校の生徒であるあなた方に期待したこと、そのために「行学の二道」という校訓を残されたことをお話ししました。それに基づいて、皆さんがこれからの6年間をがんばってくれることを期待して、私のお話を終わらせていただきます。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)