英国修学旅行皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第3回は、「世界平和を考える」と題してお届けいたします。

悲しく、許しがたいニュースが連続して世界を駆け巡りました。

  • 2017年3月22日、ロンドンの国会議事堂付近でテロ事件が発生し、4人が死亡、約50人が負傷。
  • 5月22日、英国マンチェスター、アリアナ・グランデのライブ会場で自爆テロ事件が発生、22名が死亡、120人が負傷。
  • 6月3日、ロンドン橋で自動車によるテロ事件が発生、またレストランやパブで客を襲撃し、8人が死亡、約50人が負傷。

6月5日、本校は子供たちの安全を守ることを最優先と捉えて、7月5日から1週間予定されていた、高2英国修学旅行の中止を決定しました。知らせた時の子供たちの落胆する顔が浮かび、何とも言えない複雑な気持ちになりました。学校として、まさに苦渋の決断でありました。

私は1994年から1年間、英国Nottingham大学ELT修士課程で学び、英語を学ぶことに加えて、その文化・歴史の奥深さ、素晴らしさに魅了されました。これを日本の子供たちに伝えることはできないか。こんな思いから、当時、勤務していた佼成学園男子校で、1999年から英国オックスフォードでの1ヶ月間の語学研修プログラムを立ち上げました。初回は50名の生徒が参加する大規模なものでした。その後、女子校に異動し、オーストラリア・ケアンズでの修学旅行を導入しました。そんな中でも、より多くの子供たちに、英国を体験させてあげたいという思いは強まるばかりでした。私の英国の友人・知人の協力も得て、2012年に高2英国修学旅行を実施することとなったのです。

コッツウォルズ地方本校は中学でニュージーランド北島、高校で英国コッツウォルズ地方の修学旅行を実施しており、それぞれ英語・異文化理解学習の集大成と位置づけております。特徴的なのは、どちらもホテル滞在はほとんどなく、現地でのホームステイ形式が中心だということです。ホスト宅でその国の文化・慣習を体験しながら、家庭を基地としてそれぞれの見学場所へ移動していきます。また、日本で学んできた英語を実際に現地の家庭で使い、生活するのです。多感な時期の子供たちにとって、これはまさに稀有で貴重な体験なのです。それゆえ、今回の中止はほんとうに残念なことでした。

私たちが生きている現在(いま)、テロの脅威は世界のどこでも避けられない状況です。グローバル化が進めば、メリットだけでなく、ともに抱える苦労や困難・危険も増えていきます。まさに正解のない課題に立ち向かう時代です。子供たちにとって平和を考えることが、ふたたび身近なことになってきているように思えるのです。
現高2は大変残念なことに英国に行くことはできませんでした。しかし今回の経験を通して、
「なぜテロが起きるのか、テロの問題を深く考える機会にしたい。平和構築について考える機会にしたい。また、佼成女子の子供たちが、その考えた結果を世界へ向けて発信してほしい」 
こんな思いから、修学旅行実施地を広島方面と定めました。全校生徒が今回のことを共有して、世界の平和について考える機会にしたいと強く思っています。

今、私がこの文章を書いている部屋の外では、Young Americansのキャストとともに歌やダンスの練習に励む、元気のよい高校1年生200名の大きな声が校内に響いています。本番の子供たちのショーは、必ずや人間的に成長した新たな姿を見せてくれることだろうと思います、
本校では、「心を鍛えて」、正解のない課題に立ち向かえる「深い人間力」が育つ場を大切にしています。

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)