原爆ドーム皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第7回は、「ヒロシマの絵」と題してお届けいたします。

本校は、相次ぐ悲惨なテロのために、7月に予定されていた高2英国修学旅行をキャンセルし、来年3月に広島を訪問することになりました。現在子供たちや担当教員を中心に、世界平和を考える事前学習を行っています。現地では、子供たちが異文化や宗教の壁を越えて、いかにして平和な世界を構築していくか。地球社会に生きる市民としてどのような役割が果たせるか。自らの考えや願いをメッセージにして世界に向けて発信していきます。

これに先立ち、学園理事長と私は先週広島を訪れ、現地平和活動を行っておられるNPO法人や原爆ドームの向かいにある本川小学校を訪問して、子どもたちの学びがより深くなることを願い、協力の要請をしてきました。本川小学校では、当時の被爆の様子がそのまま残された校舎の一部が被爆の「証」として保存されています。崩れ落ちた階段、焼け焦げた配電盤、被爆により黒い影の残った壁を見て、多くの児童の苦しみや悲しみが姿を現し、湧き上がってくるようでした。展示された資料のなかに、他のものとは全く異質の、一際美しい色で描かれた数枚の絵の写真がありました。 戦後まもなく、生存者の児童たちが描いたものです。

ヒロシマの校庭から届いた絵原爆を投下したアメリカ国民のなかで、被爆した小学生がいることを知ったある牧師さんが、アメリカから広島の小学生に向けて文房具やクレヨンを贈ったそうです。本川小学校の児童たちは御礼の気持ちを込めて、絵を描いて、その牧師さんのいる教会に送りました。絵はどれも色彩豊かで、暗いトーンのものはなく、満開の桜の様子や楽しそうに遠足をする様子などが描かれていました。絶望や悲しみのどん底にいるはずの子供たちが相手の想像とは全く違ったものであったため、さらにアメリカの方々の心を貫いたことでしょう。その牧師さんのいる団体では、日本の子どもたちの絵を大切に保存して、戦争の悲惨さを後世に伝えるために役立てています。このストーリーはマナーレ静美さんという方の手で「ヒロシマの校庭から届いた絵」という映画になりました。3年前、マナーレさんが本校を訪れ、子供たちに映画の上映とご講演をいただいたことがあります。本川小学校で実際に絵を見たとき、その時のことが思い出され胸がいっぱいになりました。

映画「ヒロシマの校庭から届いた絵」鑑賞会のご報告

「安らかに眠ってください 過ちは 繰り返しませぬから」 原爆死没者慰霊碑 碑文

「私たちは戦争の苦しみを体験しました。共に、平和を広め核兵器のない世界を追求する勇気をもちましょう」
We have known the agony of war. Let us now find the courage, together to spread peace and pursue a world without nuclear weapon.

オバマ前大統領が広島を訪問された際に残された言葉です。

オバマ前大統領が広島を訪問された際に残された言葉
高校2年生には、現在進めているグループによる事前学習、マナーレさんの映画鑑賞、さらに今年ノーベル平和賞を受賞された団体ICANの川崎先生のご講演も予定しております。このような質の高い事前学習を終えて、高校2年生たちが、絵や碑文やオバマ前大統領の言葉を心から受け止めて、本校の、また唯一の被爆国の若い世代の代表者として、心を込めた発信ができることを願っています。私たち教員も子ども達の学びを支えていくため、本校の設立理念「国際社会で平和に貢献できる人材を育成する」を胸に、決意を新たにした訪問でした。 

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)