佼成女子には、自らの思いを多くの人々に伝えようと活動する勇敢な生徒たちがいます。今回は、障害を持つ人々との共生について、社会に向けて意見を発信した2人の高校生をご紹介します。

高3進学コース 加藤実優さん

日本国際連合協会東京都本部主催「第64回 国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール」に出場し、入賞を果たしました。加藤さんは3年連続で書類審査を見事に通過し、9月23日にJICA地球ひろばで開催された都大会でスピーチをしました。

高2特進文理コース 木枝萌さん

朝日新聞8月4日朝刊の投書欄に、「障害者から幸せの力もらえる」と題した文章が掲載されました。木枝さんは昨年夏から1年間休学して、アメリカのヴァージニア州に単身で留学しました。今年7月帰国してすぐ新聞社に文章を送り、見事に採用されました。

Q. 加藤さんは、国連協会主催の「高校生の主張コンクール」都大会に3年連続で出場しました。どんな思いでこの大会に臨みましたか。

高校生の主張コンクール加藤さん
中学生のころから人前でスピーチをすることが好きで、多くの大会に出場してきました。スピーチをすることは、自分の個性の一つだと思って続けています。今年も、国連のSDGs*1を身近に感じてもらいたいという大会の趣旨に賛同して応募しました。

Q. 今回の演題は「持続可能な開発のために、日本において取り組むべきこと ~障害者と共生する持続可能な社会を目指して~」でしたね。このテーマにしたのはなぜですか。

加藤さん
昨年の相模原での事件*2が一つのきっかけです。私自身も障害者福祉に関しては当事者意識があり、いろいろ考えることがありました。しかし、SDGsが2030までに達成すべきとした17のゴールには、障害者との共生に関する直接的な記述がありません。世界中の障害者が安心して生活できる持続可能な社会は本当に実現するのか、問いかけたいと思いました。

Q. 木枝さんは、どうして新聞に文章を投稿しようと思いましたか。

新聞ノート木枝さん
私も相模原事件がきっかけです。1年前にこの事件が起きた時、悲しさや憤りなど様々な思いがあふれて、言葉にならないぐらいの衝撃を受けました。事件から1年が経ち、友人や家族ともこの事件について話す機会があり、自分の思いを整理して言葉にする時だと考え、思い切って応募しました。
また、私は中学の頃まではほとんど新聞を読みませんでしたが、高校では現代文の授業で新聞ノートを作っています。日常的に新聞に触れるようになったことも大きかったと思います。

Q. 事件について友人や家族と話すことで、どんな気づきを得ましたか。

木枝さん
一言でいえば、世の中には様々な社会貢献のしかたがあるということです。事件の容疑者は「重度障害者は社会の役に立たない」という考えを持っていた、と伝えられています。しかし、障害を持つ人々がたとえ社会で働けなくても、懸命に生きる姿やその笑顔から、本当の幸せについて私たちに気づかせてくれます。9月に放映されたNHKスペシャル『亜由未が教えてくれたこと~障害者の妹を撮る~』を見た時にも、その思いを強くしました。

Q. 2人とも、海外と比較してこの事件をとらえていますね。

留学したアメリカの高校木枝さん
私が留学したアメリカの高校には、知的障害を持った学生が何人もいました。印象的だったのが、全校挙げてスペシャル・オリンピックス*3に参加する学生のために開かれた壮行会です。「障害者にも一人ひとり希望や夢があり、人生を楽しんでいる」と先生がおっしゃっていましたが、全校生徒がその思いを共有し、プラカードを掲げて熱烈に応援していました。日本の学校でもこうした光景が見られると良いのですが。

加藤さん
私も、今回のスピーチ原稿を書くために障害者に関する各国の状況などを調べましたが、欧米のほうが日本より進んでいると感じる点が多くありました。しかし日本でも、障害者差別解消法が昨年施行されましたし、あまり知られていませんが、ヤマハが開発した片手リコーダーを貸し出す制度など、地方自治体ごとに独自の取り組みも見られます。日本と海外のどちらが良いかは一概に言えないと思います。

Q. いろいろ勉強になりますね。では最後に、2人はこれからの進路についてはどう考えていますか。

中国国際青少年交流サマーキャンプ加藤さん
私は指定校推薦制度での大学進学を予定しています。大学では日本文学と中国文学を学びたいです。高2の夏に参加した中国国際青少年交流サマーキャンプで、中国の人々や街のダイナミズムを肌で感じました。あのエネルギーが忘れられず、将来は中国で働きたいという思いがあります。と同時に、国語の教員となって、母語を学ぶ面白さを中学生や高校生に伝えたいという望みもあります。どちらの夢も追い求めます。

木枝さん
私は高2なので来年受験です。大学では、家族・ジェンダー・宗教など、幅広い視点から学べる社会学を学びたいと今は考えています。正直なところ、高1までは物事を深く考えるタイプではありませんでした。しかし、家族や先生方にアメリカ留学を後押ししていただき、思い切って1年間休学して単身で長期留学に挑戦したことが、自分を変えた気がします。ただ英語力を伸ばしたとか、アメリカ人の友達ができたということだけでありません。自分と向き合い、将来のことや社会のことなどをたくさん考え、それを言葉にして記録し、友人と対話することで、更に考えを深めるようになりました。大学受験についても、自らの意志で受験校を決めていきたいと考えています。

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佼成女子の魅力は、どの学年、どのコースにも、しっかりとした考えを持つ生徒がたくさんいることです。本校には、確かな学びの力をつける授業、本気で取り組める部活動、多彩な国際交流プログラムなど、様々な教育活動があります。しかし、学校が提供する活動だけが高校生活の全てではありません。自らの意志でアクティブに学ぶ生徒たちが増え、その影響が周りに伝わっていくことで、学校全体がさらに活気づいていきます。生徒たち一人ひとりが、確かな力を身につけて成長していく姿を、これからも見守ってまいります。

(文責:国語科 秋田)

*1 国連が2015年に定めた持続可能な開発目標。Sustainable Development Goalsの略。
*2 2016年7月に相模原市の知的障害者福祉施設で起きた殺傷事件。19名が犠牲になった。
*3 知的障害のある人たちに、様々なスポーツトレーニングを提供して競技会を開催している国際的なスポーツ組織。