皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第10回は、「厳しさが育むもの」と題してお届けいたします。

厳しい寒さが続く2月。東京も48年ぶりの歴史的寒波の影響を受け、連日最低気温が氷点下となる凍える日が続いています。この時期は子どもたちにとって、寒さ以外に別の厳しさも存在します。 
受験という人生の中での大きな試練です。

本校でも高校3年生は、昨年秋から各大学の多様化した推薦入試に向けて努力を重ねて参りました。多くの子どもたちが高校時代に取り組んだ成果や研究内容を大学側にアピールして、合格へと繋げました。
その中でも特に、今年度初めて卒業生を送り出すSuper Global(SG)クラスは特筆すべき結果を出しました。筑波大学医学群への合格をはじめ、最難関レベルへの多数の合格です。この推薦入試の合格は今後の大学入試の新しい形を示すものと言えます。単に国際的、グローバル志向の生徒たちだけが関わっていると判断してはならない傾向です。SGクラスの生徒はタイでのフィールドワークを通じた研究をもとに、テーマ設定から仮説を立て、検証を行い、結論を導き出す。最終的にロンドン大学での研修の中でそれを英語論文として、研究成果の完成を図りました。受験生の能力や成果を表すものとして、このようなプロセスを大学側が評価するのです。この流れが全分野で行われていきます。10年前までは大学生が行っていた研究をすでに高校時代に行っているとも言えます。大学側は課題解決力、思考力、表現力などの成長を多様性のある入試で選抜しているのです。

一方、一般受験組は1月に従来型のセンター試験、2月に私立大学、国公立大学入試、また、国公立大2次試験は3月中旬まで続きます。この過酷な長い戦いは子どもたちにとって、いわば人生の大きな試練となります。本校では早い生徒は高校1年時より、平常授業に加えて学内講習、学内予備校講習、男女両校トップレベル講習を受講、学習合宿への参加も加えて、本番で最大限の力が出せるように地道に学習を重ねています。こんな努力が実を結び、現在、続々と難関大学突破の知らせが届いています。
そんな中、先日2人の生徒が私のところに、結果報告に来てくれました。ひとりは志望校に合格し、もうひとりは残念ながら第一志望校を逃してしまった生徒です。結果は対照的でしたが、苦労を乗り越えた、涙に濡れた顔は等しく、力溢れる清清しいものでした。
この期間の苦労は単に志望校合格という目標を達成するだけでなく、人間力形成に計り知れない影響を及ぼすと思います。志望校に合格できることも大切ですが、そうでない場合でも、努力の過程で得たものは社会で生きる力になると考えます。

2020年の教育改革に伴い、大学入試が変わりつつあります。知識や解法プロセスを覚えて使用するだけでなく、ひとり一人の深い学びや中高時代の経験、研究内容が問われることとなります。前述の受験を迎えるまでの辛く厳しい状況が、まさに21世紀型教育、大学入試改革で求められる力を養っているのではないでしょうか。

本校では、子供たちが模範解答に沿い正しく答えるだけでなく、何が正解かわからないような課題に取り組み、多くの人と協力しながら、解決への方策を導きだせるような教育を実践していきたいと思います。

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)