川崎哲先生講演会2月21日(水)、本校講堂にて、ノーベル平和賞を受賞された核兵器隔絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員、川崎哲(あきら)先生の講演会が行われました。テーマは「核問題・平和について」。この日は、高3を除く全校生徒及び希望された保護者の方々が集まり、お話を伺いました。

川崎哲先生は、ピースボート共同代表、NGOネットワーク核兵器隔絶国際キャンペーン(ICAN)の10人の国際運営委員の中で唯一の日本人であり、2008年からは広島・長崎の被爆者と世界を回る「ヒバクシャ地球1周 証言の航海」プロジェクトを実施。その他にも様々な活動や執筆などで平和のための活動をされ、著書「核拡散」(岩波新書)では、日本平和学会第1回平和研究奨励賞を受賞されています。
ICANが昨年7月に国連本部にて採決された、核兵器を全面的に禁止してゼロにしようという国際条約「核兵器禁止条約」に貢献し、ノーベル平和賞を受賞したことは、まだ記憶に新しいところです。

今回の講演では、本校の中高生向けに、ご自身がなぜNGO(非政府組織)で平和活動にかかわるようになったのか、また世界にはどのくらい核があり、どの国がどのくらい持っているのか、そしてICANが「核兵器禁止条約」のために、どのような活動してきたのか、また国ではなく市民団体だからできること、などを中心にお話いただきました。ちなみにICANは世界にある約500団体の連合体で、ピースボートはその中のひとつです。
「ピースボートの団体では、船で世界を回っての国際交流を30年以上やっています。その中で、長崎や広島の被爆者の話をちゃんと世界に伝えることが重要だと、被爆者の方と共に世界を回っています。皆さんは、原爆の話を聞こうと思えばいつでも聞けますが、海外の方はそんな機会は作れない。だから私たちはピースボートでその機会を作っているのです。世界中の若い方々が、すごく関心を持って話を聞いてくれます。原爆が落ちたのが1945年ですから、今年で73年たちました。現在被爆者の平均年齢は82歳、あと何年話を聞けるかわからない。時間は待ったなし。そういうことを私たちはやっています」。
現在、世界に核は1万5000あるといわれています。広島や長崎に落ちた原爆だけではなく、核実験は世界で2000回以上も行われています。その中で、ICANは、あらゆる国がどんな場合でも核兵器を持ってはいけないし使ってはいけないという条約を作ることをすすめてきました。

川崎哲先生「条約は国と国との取り決めですから、市民団体には何の権限もない。どうするかというと、国連と提携して、話し合いの場に参加させてもらうんです。核兵器禁止条約のときも、議長をつとめたコスタリカの方に交渉して7分もらい、被爆者の方の話を聞いていただきました。私たちが伝えたかったのは、核が使われた結果、人間に対する結果、環境に対する結果、このことからちゃんと考えましょうということです。みんな被害者になるのだから、全員でやめなきゃいけないという単純な話ができるのは、国と国との力関係に影響される国家代表ではなく、市民代表なんですね」。
その結果、ついに「核兵器禁止条約」が採決されましたが、その一方でこの条約ができたからといって、すぐに1万5000の核がなくなるわけではありません。
「しかし、全面禁止の条約ができたことで、核兵器は絶対に悪いものというルールができました。これまでは、核兵器は強い国は持っていていいものだった。でも絶対だめだというルールができると、悪いものになる。そういう変化をこの条約はもたらしました。例えば、昔は煙草は大人が吸っているために、子供にとってはかっこいいと思うものでした。しかし今では、喫煙者は減り、喫煙が体に悪いことも浸透し、かっこいいというイメージはなくなってきている。このように、皆さんが私くらいの年齢になるころには、核兵器は悪いものだから無くすんだという意識がもっと確実になっていく。そんな長いスパンで考えることだと思っています」。

川崎先生のお話は生徒との対話も交えてたいへん興味深く、もっと深く調べてみようという気持ちになった生徒も多かったと思います。
生徒会長住沢さんから、「私たち高校2年生は、3月に広島に平和学習をしに行きます。その際には表面上のデータだけでなく、現代を生きる広島の人たちはどのようなことを考え、次の世代がどのような思いを抱いて日本を生きているのか、そういった内部のことについて情報を知り、理解を深めていきたいと思います」とお礼の言葉がありました。

川崎先生、貴重な話をいただき、誠にありがとうございました。

(佼成学園女子中学高等学校 広報室)