cherry-blossom皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第11回は、卒業式校長式辞をご紹介します。

48年ぶりの歴史的寒波で厳しい寒さに見舞われたこの世田谷の地にも、穏やかな陽光が差し込み、暖かい春の訪れを感じられるようになりました。この佳き日に多数のご来賓ならびに保護者の皆様に本校卒業式にご参列いただきましたこと深く感謝申し上げます。ここにいらっしゃるご来賓の方々には、さまざまな場面で、子どもたちを本当に親身になって支えていただきました。ありがとうございました。

卒業証書を手にした192名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。皆さんの旅立ちを心からお祝い申し上げます。3年間あるいは6年間本校で過ごした日々、今、皆さんの脳裏に何が蘇ってきますか。この学校には授業以外でも多くの教育活動があります。修学旅行や行事、部活、海外研修や合宿など、挙げればきりのないほどの活動の数々。そのような中で、自らの限界を超えて努力したこと、友達や先生方とともに過ごして楽しかったこと、素晴らしい成果を目の前にしてうれしかったこと、他者との人間関係で思い悩んだこと、思い通りにいかず、辛く悲しかったこと。これらすべてが皆さんの成長の糧となったのです。

さて、私には人生の節目に自問自答する問いがあります。それは「人はなぜ生きるのか」。というものです。とても難解で哲学的な問いです。人それぞれに解答らしきものがある程度で、万人にあう適切な解答はあってないようなものだと思います。皆さんもこれから永い人生のなかで様々な経験を通して、自分の答えらしきものを手にするのかもしれません。

「人はなぜ生きるのか」という問いの答えを考えるとき、まずは、私たちの生きる宇宙や地球の成り立ち、生物学的ヒトの特徴、動物と人類の相違、歴史上の人物の生きざまや民族の文化・習慣・規律などを学ばなければならないでしょう。人は言葉を通して概念を理解するので、日本語や場合によって外国語を学ばねばなりません。ある考えを裏付けるデータ分析や論理的思考力も必要となってきます。皆さん、お気づきだと思いますが、これらはすべて学校で学ぶものです。どの科目も教育活動も分離しているようにみえますが、根本的に「人はなぜ生きるのか」「自らがなぜ存在するのか」という問いに向かっているように思います。学校は人間の「気づき」の場であるのです。本校での学びの中で、この問いかけに対するたくさんのヒントあったと思いますが、そんな中で皆さんに何かの「気づき」があったとすれば、それは宝物と言えるでしょう。

また、別の視点から考えてみると、人は人の存在があるからこそ生きているとも思えます。1月に娘が子を産み、私にも孫ができました。胎児の生育が芳しくなく、緊急手術による出産で、生まれるまでに様々な苦労や心配がありました。しかし、この小さな赤ちゃんの存在が家族の気持ちをつなぎ、「この小さな命を守ろう、支えていこう」という、周囲にいる私たちの生きるエネルギーとなったのです。取り上げて下さった医師や看護師の方々もきっと同じ気持ちで支えてくださったと思います。
気づいていますか。皆さんのご家族も同じです。皆さんがここに存在することが、ご家族に生きる力を与えているのです。逆に家族の存在が皆さんに生きる力を与えているのです。友達や先生方の人生にも大きな影響を与え、また与えられているのだと思います。それぞれの存在が人として生きていくことに作用しあっているのです。皆さんには、そんな喜びや悲しみを共有して、支えてくれる周りの方々の気持ちを理解し、その気持ちや行いに深い感謝ができる人になってほしいのです。
この作用は、小さな家庭から始まり、学校や職場、社会、最終的には地球規模の関係に発展していくはずです。「人はなぜ生きるのか」。人は人に生きる力を与えるために、生きるのかもしれません。その力が互いに作用し、人間同士が協力しあってより良い社会を形成しているのです。
 
佼成学園の設立理念は「国際社会で平和のために貢献できる人材を育成する」というものです。これを実現するため、校訓の行学二道や「5つの実践」という実践項目があり、独自の教育活動が存在します。皆さんはそのような学びの環境のなかで、人の喜びや悲しみに共感しながら、高い共通目標の実現のために協力、協働することを見事に身につけられました。佼成女子の子供たちには人にやさしくできる思いやりの心と人を笑顔にする明るさがあると言われます。このKOSEI MINDを身につけた自分の存在に自信を持ち、人の生きる力に光を与え、どんなに辛い困難に直面しても挫けず、自分の夢へと進む道を切り開いていってください。その姿が、皆さんの存在が、これからの日本や国際社会の未来を切り開くことになると信じています。
 
最後になりましたが、保護者の皆様へお慶びを申し上げます。お嬢様のご卒業誠におめでとうございます。お嬢様は人生において最も多感な時期を迎えています。それを見守る時には楽しみや喜びが多い反面、語りつくせぬ心配やご苦労もあったことだろうと思います。またこれからもそうであろうと思います。しかし、どんな時でも私たち大人の前向きに生きる姿が子供たちを励まし、夢に向かい生きる勇気を与えるのではないか。また、私たちは日本や国際社会を支える大人として、いつまでも子供たちの進む道に温かい灯を灯す存在でありたいと思います。これまで本校の教育活動に対してご理解ご協力をいただきましたこと深く感謝申し上げます。

それでは、卒業生の皆さん、いよいよ旅立ちの時です。胸を張り、笑顔で美しく飛び立ってください。皆さんが社会で人の生きる力となれる素敵な女性になることを祈り、私の言葉といたします。

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)