皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第13回は、「現在(いま)を生きる大切さ」と題してお届けいたします。

このところ馴染み深い著名人の訃報が相次いでいます。他人がうらやむような輝く人生を歩んできた人でも「生」あるものには「死」があるのだということをあらためて思い知らせられます。若い時は「死」を客観視して「生」だけに意識が向く傾向があると言われます。
ある意味当然のことだと思いますが、人生には終わりがあること、時間には限りがあることを若いうちに認識しておくことは大事なことだと思います。
私の場合、若いときに身体が弱かったため、自身の健康への不安を始終感じておりました。「死」を意識しなければならない病気になったこともあります。中学生の時でした。
その際に人の「生」「死」「時間の有限性」を深く考えるようになりました。また、そのことから「人はなぜ生きるのか」「どう生きるか」を考えるようになったのもそれからです。

「生」を受けたら、時間は永遠でないということです。限られた時間のなかで、生きる意味を考えながら自分の役割を果たす。その中で何事かを成し遂げる。愛する人たちや友人と温かな時間を過ごす。そう考えると、いかに自分に与えられた時間が大切であるか、どうやって現在(いま)を過ごすことが最善なのかを自問自答しなければならないと思います。

誰にでも永い人生のなかで挫折や躓き(つまづき)はあります。或るとき、私が思い悩んでいると、ある方が「宍戸先生、過去に自分がしてしまったことをどんなに悔やんでも元には戻らない。逆にこれから起こるかもしれない出来事をいくら心配してもどうにもならない。私たちの力が及ぶのは現在(いま)しかない」と話してくれたことがあります。
この言葉は当時の私に前へ進む勇気を与えてくれました。

過去にとらわれず、失敗するかどうかなど心配せず、現在(いま)という時間にありのままの自分の全てを注ぐこと。次の瞬間、そのことが過去なり、現在という時に努力した結果が将来の輝く自分につながる。こう考えると、様々な種類の恐怖や不安の束縛から解き放たれ、貴重な時間のなかでやるべきことに専念できる気がします。

5月12日に本校の恒例行事スポーツフェスタでは、いつものように元気に明るく活躍する子供たちの姿がありました。また28日には、ロンドン大学で40日間の研修を終えたSGクラスの高3生も晴れ晴れとした顔で元気な姿を見せてくれました。一人ひとりには、他人には分からない悩みや思いがあることでしょう。それでもやるべきことに集中して、現在(いま)を美しく懸命に生きているのだなと感じました。彼女たちは眩いばかりの生命力に満ち溢れ、ポジティブなエネルギーを与えてくれます。

子どもたちには、限りある時間をいかに有意義に過ごすか、現在(いま)を生きる素晴らしさ、さらには、健康で何かに打ち込んで生きられる自分の境遇に感謝することを伝えていけたらと思います。

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)