慶應義塾大学S.A.Lによる高大連携授業6月16日(土)、高3スーパーグローバルクラス(SGクラス)を対象に、慶應義塾大学公認学生団体S.A.Lによる出張授業が行われました。


S.A.L.S.A.L.は、国際問題に関して理解を深め、啓発していくことを目的として2008年に立ち上げられた、慶應義塾大学公認の学生団体です。S.A.L.という名前には、
Send out – 国際問題を伝える
Aid – 助けを求めている人を救う
Learn – 世界の現実を知る、学ぶ、理解する
という3つの意味が込められているそうです。
このコンセプトを形にするため、世界各地へとスタディーツアーを行い、写真展を開催し、中高生対象に出張授業をするなど、多彩な活動を展開しています。今回、ご縁があって初めて佼成女子で、高3SGクラスを対象に授業をして頂きました。

この日のテーマは「ペルーの女性問題」。今年の春、南米のペルーとボリビアへスタディーツアーに出かけた学生さんたちの体験をベースに、旅を通じて何をどのように学ぶか、追体験しながら一緒に考えるワークショップ型の授業です。以下の4つのポイントについて話し合いながら学びました。

高大連携授業1.問題設定
まず、問題設定をいかに絞り込むかということを学びました。「女性問題」ではあまりに漠然としています。「何」を調査しに行くのか、どんな仮説を立てて現地に行くのか、グループに分かれてアイデアを出し合いました。

2.アポイントメント
次に、「どのように」調査するかを考えました。ここでは、訪問先のアポイントメントに焦点を絞り、「誰」を訪ねてインタビューするべきか、話し合いました。現地での言語の壁も考慮しないといけません。スペイン語のできない日本人が、どうすればリアルな情報を効率的に得られるか。このような話し合いを通じて、入念にアポイントメント先を検討する重要性を理解することができました。

3.現地での体験
学生さんたちが現地で誰から何を学んできたか、たくさんの綺麗な写真とともに教えて頂きました。事前にさまざまな本や資料を読んで立てた仮説が、現地でのインタビューによって、きわめて困難なアプローチであることに気づいたそうです。正解のない問いをめぐり、相反する立場の間で葛藤し続ける知的な粘り強さが必要であることを学びました。

ペルー

ペルー


高大連携授業4.異文化理解をめぐる根源的考察
ペルーの女性問題に関する考察をふまえ、生徒たちはタイでのフィールドワークやロンドン大学での研修生活を思い返し、各国と日本との違いを列挙していきました。そのうえで、自分たちの価値観だけで異文化のことを安易に「問題」と捉えていなかったか、省察しました。将来グローバルに活躍したいと考え、世界のさまざまな問題に関心を持つ者として、そもそも「当事者以外が異文化を『問題』と定めても良いのか」という問いは、きわめて本質を突いた問いです。そうしたラディカルな問いを、自分のものとして考えるきっかけを得ることができ、生徒たちは大いに刺激を受けていました。

以下、生徒の感想の一部です。

今回の授業で一番印象に残ったことは、世界の違う地域や宗教のしきたりを批判的に見てはいけないということです。私たちは知らず知らずのうちに自分の価値観を世間一般の価値観と一致させて正義を語ることが多くなってしまっています。例えば、中国や韓国では今でも犬が食べられているということについて、犬がかわいそうであると、自分も、そして他の人からも批判的な意見が多くありました。しかし、よく考えれば日本も鯨を室町時代からずっと食べてきていますが、アメリカやイギリスなど、欧米諸国からは大きな批判を受けています。でも鯨はおいしいし、鯨肉の入った味噌汁は格別です。捕鯨もまだまだ続いています。このように、犬を食べることは、中国や韓国で根付いている食文化の一つであると思います。正しいのか間違っているのか、一概には言えませんが、その土地土地の風習はやはり尊重されるべきなのかなと思いました。
「自分の考えはどうしても主観的になる」ことと、「考えて考えまくる大切さ」に改めて気づかされました。大学生の皆さんが、自分の専攻科目以外に、サークルを通して自分たちで問題提起と仮説を設定して、フィールドワークを行い、様々な国際問題の中で自分なりに思索し、自分なりの結論を出している姿を見て、考える大切さを感じました。自分はまだ経験も思考も浅いけど、考え葛藤することが自分の思考力を高め、その考えて悩みまくるプロセスこそが最も自分の糧になるのだなと再び思い知らされました。自分が直接的に関与していない社会問題が、そこに直接かかわる人々にとっては問題だと感じられていない場合、他者である自分はどのようなサポートをし、どのように手伝いができ、そのことをどうとらえればいいのだろう、こうした新たな難問に出会うことができました。これから時間をかけて考えていきたいと思います。
S.A.L.の自分達で研究テーマ、行き先、さらにはアポイントメントまで行うところにすごく興味をひかれました。また、その行ってきたフィールドワークを私たちに紹介してくださったときのプレゼンテーションの内容、伝え方、さらにはグループワークでのフォロー力など、高校生と大学生ではこんなにも違うのかと、尊敬しました。私も先輩方のような行動力やトーク力を身に付けたい!と思いました。慶應の皆さん、本当にありがとうございました!とても楽しかったです!
春休みにS.A.L.が主催する写真展に伺いました。その時、ぜひ交流させていただきたいと思っていたので、今回の授業は私にとって学びの多いものになりました。私は去年の夏、SGクラスのプログラムを通してタイで2週間フィールドワークを行いました。それ以来、さまざまな世界の問題に触れて考えてきましたが、肝心の”私たちが考えている問題は本当に問題といっていいのか” という点には恥ずかしいことに気づきませんでした。大学では、もう一度アジアにフィールドワークをしたいと思っていますが、その時自分自身で発見したその場所の問題に対して、どういう経緯でその人々は苦しんでいるのかという問題意識を明確にしていこうと思いました。授業を通しての知的発見を、ぜひ今後大学で世界の問題に触れるなかで生かしていきたいと思います。

いかがでしたでしょうか。今回の授業では、教員はほとんど介入せず、アイスブレークから抽象度の高い考察まで、大学生の皆さんがSG生たちをうまく刺激しながら自ら知的発見を得るように導いてくれました。SG生たちも、これまでの国内外での学習経験をいかし、大学生と活発に対話していました。慶應義塾大学S.A.L.の皆さん、本当にありがとうございました。

高大連携授業

受験勉強で忙しい高3生ですが、こうした本質的で模範解答のない学びを楽しむマインドを持ち続ければ、きっとこの日出会えた大学生のようになることができるでしょう。将来が楽しみです。

(文責 SGクラス担当 秋田)