シンガポール皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第15回は、「グローバルリンク シンガポールに参加して」と題してお届けいたします。

7月22日。気温31度。時折海からの心地良い風が吹き、昨日までの東京の酷暑よりはるかに過ごしやすい、シンガポール国立大学を訪れています。昨年全国高校生フォーラムで文科大臣賞を受賞した本校生徒が招待参加しているイベント、グローバルリンク シンガポールに参加するためです。
このイベントはスーパーグローバルハイスクール(SGH)アジア大会のような位置づけで、世界大学ランキングでアジアNo.1のシンガポール国立大の教授陣や大阪大の先生方などが審査員として迎えられ、アジア8カ国300人以上の参加者が、グローバル問題、サイエンス問題に関して、ポスターセッションやプレゼンテーションを行う教育イベントです。

特にポスターセッションではおよそ100の参加があり、それぞれに新しい考えと工夫に溢れたものばかりです。当然のことですが、使用言語はすべて英語です。ほんの10年前には、大学生がゼミや卒業論文作成のために行っていた共同研究作業を、日本の高校生が世界を代表する大学の教授陣を前に発表を行い、自身の研究にコメントやアドバイスをしてもらえるのです。1980年代に学生だった私からすると、信じられないような恵まれた学びの環境です。アジアの高校生の研究の質の高さはもちろんのこと、新しい教育の形をまさに実感しております。

また、日本の高校生のプレゼンテーションと質疑応答を見て感じることは、率直に言って、その英語力のさらなる強化の必要性でした。考えや研究内容の構成がいかに秀逸であっても、それを伝える手段が英語である以上、伝達能力を高める必要があります。プレゼンテーション内容に関する英語はよく準備され、一定の水準なのですが、他国の生徒と比べて大きな課題は、質疑応答における英語運用能力でしょう。審査員から想定外の内容を訊かれると、途端に応えられなくなってしまう。また、審査ではこの質疑応答に対する審査基準も厳しいように思われました。
私は日本の中学高校で英語教育に携わってきた者として、自分たちが行ってきた英語教育にも大きな課題を感じました。本当にもったいない。内容は素晴らしいのに、それが的確に相手に伝わらない。
課題解決、PBLなど内容を高めていくことが最も大事でありますが、同時にどんな状況でも、他人やAIの力を借りずに、自分のニュアンスで、自分の言葉で、考えを伝えられる言語運用能力を高めることが必要です。私が直接携わる本校の教育のなかで、生徒が話す内容のレベルを高めることと英語運用能力養成を今よりさらに進めなければならないことを実感しました。

シンガポールリンクさて、審査結果の発表です。私の隣には本校の生徒がおります。
「ポスターセッション、グローバルイッシュー部門、準優勝は佼成学園女子高等学校です」
受賞者AIKAが登壇して、満面の笑顔で、賞状とトロフィーを受け取っています。
本当に素晴らしかったね、AIKA。

優勝は香港のインターナショナルスクールでした。サイエンス部門では、日本の立教池袋高校のチームが見事優勝です。

本校は、昨年の日本での優勝。アジア大会での準優勝。おかげさまで連続の受賞をさせていただくことができました。しかし、受賞することが真の目的ではなく、「今まで経験したことのない、正解のない課題に立ち向かう子供たち」に「主体的、自立的な教育」を提供することが、私たちの教育の目的、大人の役割だと思います。このイベントに参加して、改めて日本の子供たちの成長を支えていきたいと強く感じました。

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)