紅葉皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

第17回は、「21世紀型 保護者と学校の関係づくり」と題してお届けいたします。

「家で普段からお手伝いしたほうがよい」
「精神的に強くなる」
「旅行が楽しくない」
(小学6年生たちの考え)

「事前に学校と保護者が意義を話し合う必要がある」
「せっかくの機会だから子供に自立してほしい」
「子供が楽しめる企画にしてほしい。学校が子供の気持ちを考えるべきである」
(その保護者の考え)

10月6日、本校の中学入試説明会ワークショップ「校長とブレインストーミング体験」の中で出された意見の一部です。小学生のグループと保護者のグループに分かれて、考えを述べて発表するという形式でした。その内容は、中3生が修学旅行でニュージランドに行き、行程中の2泊3日のファームステイを体験した時に実際に起こりそうな出来事をケースとして捉え、そのケースの主人公となり、自分ならどうするか、保護者としてどう対応するか、を自由に考えるというものでした。

主人公は大きな期待と憧れをもってファームステイに臨みます。しかし、ニュージランドの農場での生活は現実的なもので、ホストの子供たちは家での役割がしっかり決められていて、赤ちゃんの世話や洗濯、農場の仕事の手伝いなどで家族に協力するのが日課で、日本人の主人公もその手伝いをさせられる。緊張と文化・言語の違いから、寂しさや悲しみを感じて、主人公は日本の母に電話します。子供の気持ちを察した母が学校にホストチェンジを願い出る。というストーリーです。

ブレインストーミング自立心の育て方、異文化理解、ニュージランドと日本の教育観の相違、家族の中の子供の役割、学校の役割、保護者の役割、そしてその両者の連携など、私たちが気づき、学ばなければならない事柄に満ちた話であると思います。ファシリテートした私の予想をはるかに超えて、受験生や保護者は活発に意見を出してくださり、ワークショップは大変盛り上がりました。子供も大人も、それぞれが自分のこととして問題に向かい、他者の考えの中に新たな気づき(学び)を見出す。まさにアクティブラーニングのひとつの形だったと思います。

本校では、海外研修実施の際には十分な事前学習を行い、ケーススタディも活用しながら研修への理解を深めております。しかし、研修だけでなく、その他学校教育活動においても、現状よりもさらに深い話し合いと連携が必要であると再認識いたしました。その話し合いの方法は、子供たちが現在取り組んでいる21世紀型教育の形が最も有効であると考えます。参加者一人ひとりが主体的に課題を考え、時にはペア・グループワークを通して、考えの違いを理解しあいながら、大きな道筋をつけて、活動を有意義なものへ進めていく。この流れこそが保護者と学校の新たなパートナーシップを促進するものであると考えます。例えば、上記の話し合いの手法に基づき、校内の教育活動に対して、クラスごとに自由な意見交換会を開催する。後援会と学校が乙女祭の運営や課題点に関して、意見を出し合う。あるいは、部活動のあり方に関して、お互いの立場を尊重しあいながらアイディアを出す。などが考えられます。

保護者の方々と学校には大きな共通の目標があります。それは「子供たちが楽しく充実した学校生活を送り、社会で役立つ人になるため、著しい成長を促す」ということです。21世紀型教育では、子供たちと学校という枠組みのなかに、家庭や地域・社会の優れた部分を取り込むことが大切であると考えます。中でも保護者の方々が俯瞰的に学校内での事象を捉え、建設的なアイディアを出していただき、協働していくことは、今後より一層必要となってくるでしょう。グローバルから始まり、世界的な視野で物事を見ながら、身の回りの課題に取り組むグローカルな活動を進めていくことが、これからの日本の子供たちには必要な資質となります。
 
大人の協働している姿が子供たちの共感・協働のこころを育むのだと思います。

(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)