皆さん、こんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
第18回は、「女子教育について考える」と題してお届けいたします。
このところ、皆さんの前で女子教育の意義についてお話しする機会が多くあります。それを語る上で男女別学のメリットにあらためて気づくことがあります。
本学園には男子校、女子校、幼稚園という設置校があり、男女両校は別学で教育活動を行っています。私は男子校で19年、女子校では12年勤務して参りました。それぞれの中で、別学だからこそ獲得できると思われる成果を感じております。また、共学校が増え続ける中、高い学力を醸成するには別学がよいとの考え方があります。
英国では別学高等学校は全体の1割程度でありますが、大学進学時の全国統一試験の平均点ベスト10の学校には6校の別学校がランキングしています。平均点の高い学校のランキングを見ると、類似した結果がアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでも報告されているそうです。日本でも2018年の東大合格者数ランキングで別学校の活躍が目を引きます。
別学におけるメリットは学力獲得だけではありません。リーダー資質の醸成やそれぞれの個性を育むことへも大きな影響があると考えます。
本校では各行事において、マネージメントから裏方の力仕事にいたるまで女子が担当します。共学の環境下では、男子が担ってくれることが多いと思われます。部活動では力強いプレーヤーも選手の世話をする心優しいマネージャーも女子が行います。子供たちは異性に気を遣うことなく、人として個性を伸ばし、それぞれのポテンシャルを成長させていくのです。
先日、ある教育関係者の方にこのお話をしたところ、「企業のなかで、ある女性管理職は仕事を男女分け隔てなく担当させていくんですよ。最初は分からなかったが、後にその人が女子校出身者だと分かった。なるほどなと納得しました」とのことでした。
アメリカのクリントン氏、英国のメイ首相、NZのアーダーン首相など世界で活躍する女性リーダーは女子高あるいは女子大出身です。全てではありませんが、別学で学んだ成果が少なからずあるのではないかと推察します。
日本では「男女共同参画社会」「差別のない社会の構築」などが進められています。グローバル社会において当然推進されなければならないものだと考えます。実社会に出て性別の分け隔てなく本当に協働していくためには、一定期間の別学の環境が有効ではないかと感じます。特に女子について「女性らしく….」という風潮が完全に払拭されていない日本では、女性だけのなかで性別に縛られず、人としての資質を存分に伸ばすことが、後の生活の中で大きく役立つこともあるのかもしれません。
本校は女子校であります。本校のグローバルリーダー像は「自国のアイデンティティを持ちながら、異文化の人と協働し、国際的社会的課題の解決に向けて柔軟に対応できる人」というものです。毎日の学校生活のなかで、将来、必ず必要になるであろうリーダー資質を女性だけの学びの環境で、大いに育んでほしいと願っております。
(佼成学園女子中学高等学校 校長 宍戸 崇哲)