宍戸校長のBack to Basics Back to Basics

「様々な融合」宍戸校長の【Back to Basics】

皆さん、こんにちは。学校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。今回は「様々な融合」と題してお届けいたします。

10月22〜23日、第68回乙女祭「Knight個性爆発」が3年ぶりに保護者の方々、受験生をお迎えして開催することができた。生徒たちはguestを入れての発表ということで、準備段階からこれまで以上に気持ちを入れて努力してきた。運営してきた乙女祭実行・執行委員や生徒会役員も2日間の日程が終わると互いを称え合い、充実感に満ち溢れた場となった。

今回の発表では、探究学習やグローバル教育、S T E A M教育やI C Tが見事に融合され、創意工夫に満ちた発表が多く見られた。子供たちのcreativeな力はかなりの速度で成長しており、エンターテイメント性、デザイン力、コンテンツの質の高さ、合理的構成力など、予想をはるかに超えるものであった。デジタルネイティブとしての強さが表れていると言えるかもしれない。このような個の力が集団として融合をされると、ビジネスや社会の課題解決にも大きな影響を与えることに違いない。融合には個性と個性を認めあうことが求められる。多様性を認め合うことには綺麗事では済まされない一定の困難が伴う。行事を行うための準備の中で、生徒も教員も真剣に質の高さを追求すると人間関係に様々な反応が出てくる。これが「行事が人をつくる」の真髄であると思う。こういった苦労をする中でほんとうの融合が生まれると思う。

 

V U C Aの時代を生きる私たちにとって日々起こる出来事を解決していくには、これまでとはまるで違った能力が必要となってくる。このことはコロナ禍3年間で身をもって知らされた感がある。現在私たちの生活の中では、あらゆることに対してアップデートが求められている。リモートによるコミュニケーションや会議、交通機関や購買の際の電子決済、給与の電子化など、社会生活、人生観、価値観といったものも含めて、日々自己変革が必要なのだと実感する。現在の中高生が社会を支える中心となる頃には、さらに変化が進み、子供たちは今よりももっと早いスパンで自らをアップデートしなければならないだろう。

「【リスキリング】就職後、社員が働きながら学び直すことを意味しています。新しいビジネスの手法や技術革新に対応できるようにする狙いがあります。(中略)進学しても、就職しても学び続ける際に大事なポイントがあります。文系・理系の壁を超えて学ぶ「文理融合」の姿勢です。(中略)予期せぬ変化を乗り越えていくには文理の壁破る知識と視点が欠かせなくなっているのです。」

ジャーナリスト 池上彰 10月28日 日本経済新聞 高校生向け特別版 記事より

池上氏の言葉は、社会人になってからも一生学びを続けていくこと、つまり自らをアップデートし続けて、これまで分けていた文系・理系という枠組みを超えて、教養としての大きな学びを進めることを教えていただいているように思う。新時代の教育は単なる知識獲得とその正確な再生だけが求められるのでなく、獲得した知識を基盤に、自ら考え、表現して、他者の考えを受容して融合させて協働する。

 

多様性を認め合う異なる個との融合、教育の中の文理融合、従来の価値観や常識と先端のものとの融合、世代間の融合など、現在の世界の困難な課題は「様々な融合」によって生まれるもので対応していく必要があるのかもしれない。

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