宍戸校長のBack to Basics Back to Basics

総合人間力

 皆さんこんにちは。校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。今回は「総合人間力」と題してお届けいたします。

「バスケットボール部関東大会Bブロック2年連続優勝」、「ハンドボール部インターハイ予選準優勝」という知らせが次々と届きました。それぞれの監督の卓越した指導の下、子供たちが心を整えて日々、血のにじむような練習を乗り越えた成果だと思います。特にバスケットボール部は近年、着実にそのレベルを上げて、東京都ベスト4入りを果たす顕著な結果を残しつつあります。これに至るまでの技術面での向上は言うまでもなく、自分たちと同等ないし格上の相手と対戦では、心の強さが勝敗を分けることも少なくありません。そこには、「強いチームになりたい。全国大会の舞台で闘いたい」という共通の目標があります。目標を目指す上で、それぞれの選手は多様な価値観があり、個性同士がぶつかり合うこともあるでしょう。選手一人ひとりの心を整え、チーム一丸となる中で、様々な苦労や葛藤があるに違いありません。

 

 海外研修や1年間の留学、大学受験に向かう子供たちにも同じようなことがあります。私は長く、留学コースの子供たちが異国の家庭や現地校で、自分たちの価値観とは異なる環境下、日本の温かい家庭を離れ、時に涙しながら、日々起こる課題の連続へ奮闘する姿を見てきました。その際、唯一、子供たちの心の支えになるのは、事前学習で共に学んできたクラスの生徒達です。ある意味、クラスというチームで励ましあいながら、留学の成功という共通の大目標を達成するのです。

 大学受験では、自己との孤独な闘いを「受験は団体戦」と銘打って、互いの姿を見ながら、勇気づけられ、励ましあって、自分の限界を超えた実績を挙げていくのを見守ってきました。

 「21世紀型教育」というと、AL、PBL、課題解決、探究、ICT、STEM教育、ポートフォリオなどが語られます。もちろん、このような取り組みは重要かつ有効であるはずです。しかし、私は突き詰めたところで「21世紀型教育」を考えれば、上記のような子供たちの苦労や葛藤の過程で得られるもの、また、他者に共感し、それぞれの価値観を理解して、共通の目標に挑む中で獲得するものこそが、新しい教育で最も大切にすべきものであるような気がします。私の子供のころを思い出すと、上記のようなことは大切にされてきましたが、それ以上に、より多くの知識を取り入れ、それを正確に再現できる能力、指定された範囲の既習事項を試験で評価することに多くの目が向けられていたと思います。

 VUCAの時代といわれる現在、どのような分野においても、どちらに進むべきか、どうすべきことが正しいのか、判断に苦しむ事柄がたくさんあります。そんなときに私たちは、学んできた知識をベースに、自らが出会ってきた体験による力を駆使して、判断ごとをしていかなければなりません。いわば、「知識力」を根底に置き、教養に発展させて、「総合人間力」を使い、課題解決に向かうということでしょうか。また、カリスマ性をもつ個人であっても、ひとりでは難題の解決はできない。優れた個性、多様な才能をあわせて、チームとして、課題に取り組むということでしょうか。

 中等教育機関は前述のような、子供たちの「総合人間力」を育てることに、より大きな比重をかけていき、その先の高等教育機関では、「総合人間力」を多面的に評価して入学させていくような仕組みが必要ではないかと感じます。この流れが社会のメインストリームに溶け込んでいくことが大切なのではないでしょうか。

学校長 宍戸 崇哲

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