宍戸校長のBack to Basics Back to Basics

2020の日本、2020のKosei Girls’

皆さんこんにちは。学校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。今回は「2020の日本、2020のKosei Girls’」と題してお届けいたします。

 

 日本にとって歴史的な年、2020年が始まった。二度目の東京オリンピック開催に向けて、首都を中心に日本国中がある種の高揚感に包まれ、それぞれの分野で着々と準備が進められている。その一方で、中国武漢で発生した新型コロナウィルスの世界的な流行、日本へのその影響、オーストラリアの未曾有の森林火災、世界中で見られる記録的な暖冬や酷暑、想定外の異常気象、環境問題の世代間・国家間格差問題など、私たちの想像を超えた地球規模の課題が発生、山積している。21世紀に入り20年が経過して、予想されていたまさに、V U C Aの時代が現実的に到来したと感じざるを得ない。 

 1つの課題に向かっている時に、同時にいくつかの課題に対処するようなことは、仕事をする上でごく普通のことである。しかしながら、オリンピック開催の準備とともに、私たちがその正体も分からず、初めて立ち向かう新型ウィルスの拡大を防ぎ、安全・快適に世界中のアスリートや観客を迎えることは、全くもって容易なことではない。さらにここまで終息の見えない大規模な森林火災も今までに見たことがない。私を含めて、佼成女子の関係者の友人たちが多数暮らすオーストラリアで、貴重な自然環境が日を追うごとに失われていく。その状況の深刻さは、命からがら逃げるコアラをはじめ動物たちの姿から見てとることができる。本当に心が苦しくなるほどの悲しみに襲われる。以前にも述べた記憶があるが、現在起こっている問題や課題は、私たちが今までに経験したことのないスケールであり、心の底から不安や恐怖といった感情が湧き上がってくるような思いがある。

 このような課題に対して、私たちは一体何ができるのか。単にコメンテーターとなり、結果論で対応策や行動を批判したり、当事者意識を持たず、自分には関係ないとの立場をとることは容易である。残念ながら、そういった人はかなり存在する。それでは何も変わらず、多くの難題に翻弄されていくだけである。私たちが思う以上にグローバル化は進み、日本から何千キロも離れた異国の地で起こったことが、東京の私たちの生活に大きな影響がある。

 ならば、このような課題に向かうこととなる子供たちに、私たちは何ができるのか。それは課題に立ち向かう姿を身をもって示しながら、対応能力(生きる力・人間力)を育てることだろうと思う。私たち社会人が子供たちのロールモデルとなり、問題に対処する術を見せる。そして、現代社会で実際に役立つ生きた教育を行うことだと思う。正しい情報に基づいた基礎学力、知識を正確に身につけさせる。言語面のコミュニケーション能力養成など、従来型教育の取組みは、基礎体力作りと同様、これからも大切なものである。しかし、上記のような難解な、正解のない課題に対するには、論理的思考力や発信力、従来の枠組みを超えた幅広い教養を獲得すること、新しいものを生み出す想像からの創造力、そして生きる力・人間力を今まで以上に身につける必要があると考える。

 本校にとっても、2020年は今までにはない大きなターニングポイントである。すでに皆さんにはお伝えしてきたように、上記のような生きる力・人間力を醸成するため、本校は、抜本的行事改革、中間テスト廃止、中学チーム担任制導入、高校総合学習のプレゼミ・ゼミ導入、新高大連携・接続プロジェクト、女子サッカー部創部による部活動外部委託導入などが4月よりいよいよ始動する。さらに1月下旬の学内の会議で、新6ヶ年一貫教育の形を構築すること、中学、高校コース制の改編などについて発表し、皆で検討していくことが決定した。教育上必要だと思われる改革を立ち止まらずに進めていく。ただ同時に、効果の検証や課題点の改善はしっかり行う。このような考え方に基づき、V U C Aの時代を生き抜くための、新しいKosei Girls’の教育スキームが形成されていく。教職員、保護者、社会の人々が力を合わせて、子供たちの優れた素養を伸ばすために協働することが必要ではないだろうか。

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