宍戸校長のBack to Basics Back to Basics

宍戸校長の【Back to Basics】~オンライン修了式での言葉

 皆さんこんにちは。学校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。今回は「オンライン修了式での言葉」と題してお届けいたします。

 日本社会が直面している新型コロナウィルス感染拡大を抑えるため、子供たちの安心安全を最優先に考えて、本校は3月2日より23日までの休校措置を決定しました。この影響で皆さんの学年末試験、授業、教育活動、部活動、全国大会出場に関しても、中止せざるを得なかったことを本当に残念に、また申し訳なく思います。休校中、皆さんの心には悲しみや悔しさ、不安、心配、様々複雑な思いがあったと思います。よく受け入れ、創意工夫してくれました。世界中の人々がこの難局を乗り越えるべく、皆、様々な対応をしています。私たちも自分たち一人ひとりが視野を狭めず、広く大きな観点から、発想を転換して、工夫し、できることを日々積み重ねていくことが必要だと思います。

 さて、皆さんはこの1年間の学校生活の中で、どんな学びがありましたか。授業や行事、各研修や合宿、部活動の中で、自らの限界を超えて努力したこと、友達や先生とともに過ごして楽しかったこと、素晴らしい成果を勝ち取ってうれしかったこと、他者との人間関係で思い悩んだこと、思い通りにいかず、辛く悲しかったこと。これらすべてが皆さんの人としての成長であり、それぞれの人間力になったのです。この力は万能で、何をするにも基礎となるものです。ただ高い知識を持っている人はP Cやスマホと何ら変わりません。知識を知恵に変えて、その人の心を持って対応するから、正解のない課題に挑戦できるのです。

 先月、ある女性から温かいお手紙をいただきました。その方は介護関係のお仕事をされており、千歳烏山駅を利用されています。キャリーを持って、ホームから改札に行くのに難儀をされていると、その荷物を持ってくれる子供たちがいる。彼女たちはそれだけでなく、笑顔で声をかけてくれる。こんな子供たちを育てている保護者や学校にぜひお礼の気持ちを伝えたいとのことでした。皆さんの中には、『5つの実践』をこのように、社会生活で、自然に行ってくれる人が何人もいるのです。本当に立派な行いです。佼成女子の子供たちには人に優しくできる思いやりの心と他人を笑顔にする明るさがあると言われます。まさに素晴らしい人間力が育ちつつあると言えると思います。これからも皆さん自身のために、校内はもちろん、家庭や社会でこのような行いを続けていってほしいと思います。

 皆さんの持つ優れた人間力を活用しながら、少し難しいことも考えてみましょう。皆さんはコロナウィルス感染拡大を通して現在起きている様々な問題や課題をどのように考えますか。自分に関係ないことと思わず、当事者意識を持って考えてください。これらはまるで樹木のように枝分かれして先端の葉に至るまで、様々なハレーションを起こしています。医療、教育、経済、政治、労働、人間のモラルやマナーに至るまで、明確な正解がわからないものを一定の時間内に決断、実行していく。グローバリゼーションが日に日に進み、人々の考え方も多様化する。それぞれが自らの考えをS N Sを通して画像・映像とともに発信する。一生かけても全てを見ることができないような雑多な情報、フェイクニュースも含めて、自分に、社会に有効なものを正しく選んで決断に役立てなければならない。実際自分たちが努力していることは有効なことなのだろうか。検証して新たな取り組みに踏み出す。有効でないことがわかり、次の策を考える。このような状況はまさにV U CAの時代そのものだと実感します。

 今回の休校措置を取り上げて考えれば、人は自分の置かれている立場を先行させるので、多様な意見が存在することになります。皆さんはテレビで話すコメンテーターや政治家、医師たちがそれぞれの立場で違ったことを主張しているのを見るでしょう? 知識のある大人でも有効な解決策がなかなか見つからないのが現実です。この1ヶ月、私にとっても、学年末試験取りやめ、卒業式の規模縮小、海外研修の中止、部活動の中止、全国大会中止など、心が痛むこと、頭を悩ますことがたくさんありました。しかしながら、前向きに捉えれば、物事の本質は形でなく、今まで思いつかなかったような方法で本質を求めることができるとも考えられます。学校の取り組みを例に挙げると、登校時間をずらす、授業の一部や式典、会議をオンラインで行う、行事は必要最低限の参加者と内容で行うなど、皆さんの取り組みに関して言えば、普段、電車通学だが自転車や徒歩で通学してみる、家庭でipadを使いスタディサプリで学習する、先生や友達とリモート会議して行事に備える、手に入らないマスクをハンカチを使用して作る、家族のために食事をつくったり、掃除、洗濯する、今回の休校措置の中から、今まで分からなかった、意味のある、様々な学びがたくさんあったと思います。なんということはない日常の当たり前のことに深い感謝を感じたことでしょう。当然と思われる流れがある危機によって、流れが止まる。その時、人は従来の形に強くこだわり、しばらく流れが閉塞する。しかし創意工夫によって新たな道筋をつくり、大きく流れを変える。人類の歴史はこのようなことの繰り返しなのかもしれません。

 世界が直面している現在の困難な状況を乗り越えるためには、従来の方法にとらわれず、斬新なアイディアを出し合い、今までと同様、あるいはそれ以上の効果を得るような仕組みを考えることが大切ではないでしょうか。その斬新でクリエイティブな考えは、学問としての知識の上に、その人の人間性や経験が機能して生み出されるものだと思います。
皆さんが本校で学習している探究を考えてみましょう。探究の形を学ぶことは大切な基礎知識ですが、表面的な研究は机上の論であって、現在の国際社会の問題は解決できません。今私たちが抱えている困ったことを解決するために探究活動があると考えることです。

 そこには私たちの人間力をもとに、細かな配慮をしながら物事を見ることと、鳥の目で状況を把握することが同時に行われなければならないと考えます。今は人類が皆で考える課題が目の前に存在しているので、人の命を守り、日常生活をすることが生きた探究学習であると理解して、常識にとらわれない考えを出し合い、協力して、現課題を乗り越えましょう。
4月から新たな学年で、さらに多くのことを学び、何に対しても万能な人間力を育ててほしいと願います。辛く不安な日々ですが、大人も子供も互いの存在を支えにして、トンネルの出口を目指して歩いていきましょう。

学校長挨拶へ