宍戸校長のBack to Basics Back to Basics

子供たちが学校に戻る日まで

皆さんこんにちは。学校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。今回は「子供たちが学校に戻る日まで」と題してお届けいたします。

 

このところ、人とのソーシャルディスタンスが強調され、マスクをして両腕を拡げたくらい離れて、挨拶する。大勢が集まって会話という形式を行うと密接・密閉で感染のリスクが上がる。「この人には先日お世話になったから、御礼の言葉を伝えたい」あるいは、「この人には新プロジェクトの課題について話したい」と思っても、思わず言葉をのみ込んでしまう。

当然のことだが、現在の状況下では、互いの命を守るために絶対必要な対応である。しかしながら、五感で感じるその場の空気感を共有しながら対話するのが本来の意思疎通であり、人間にとってこれがいかに必要なことかを思い知らされる。これからどんなにI T技術が発展しても、社会活動や教育、文化、スポーツは人間同士が対面のコミュニケーションを通して行うものである。場の雰囲気を読んだり、ノンバーバルな部分を理解すること、相手の微妙な反応を感じとることが、人間関係構築にどれほど大切なことか、まさに人間本来の能力であり、A Iにはできないことである。

さて、このような本来あるべきコミュニケーションの形と、現在の社会情勢が絶対必要とする緊急避難的な形を、私たちはどのように融合させるべきか。オンラインと既成手段(電話、F A X、メール、郵便、手紙など)の併用であろうか。

本校は今、休校中である。校内には教室からの子供たちの元気な笑い声がない。明るい「こんにちは!」という挨拶の声も聞こえない。限られた教職員が離れた場所で静かに作業している。授業やH R、教育活動は試行錯誤を繰り返しながら、徐々にオンラインで実施している。担任や授業担当者がiPadで子供たちと面談、時には課題を出したりしている。場合によっては、電話やメールなどで子供たちの不安を聞き取ったり、アドヴァイスするようなことも補足的に行なっている。思えば、留学コースや海外研修を運営してきた国際部は、17年以上前からリモートで生徒たちと教育活動を行なってきた。当時、私も留学コースの子供たちが目の前にいない環境で、学習の進捗や留学生活の困難に対する気持ちを聞いてあげることの難しさ、保護者や学校、現地スタッフの連携の難しさなど、本当に苦労しながら多くのことを学んできている。まさに今、全校でこういった貴重なノウハウを活かして、リモートによる授業や活動が一気に動き始めた感がある。

職員会議を含め、各会議もオンラインで実施している。4月11日はオンライン・ライヴ入学式、18日にはオンライン・ライヴ中学説明会を実施した。このような試みは慣れないため、生放送中に機材トラブル等で参加する皆さんにご迷惑をおかけしたこともあった。しかし、まずは完全を求めず、試みを進めること。通常のものにできるだけ近づける努力を続けることが大事だと思う。バーチャルで対面状態を構築して、丁寧なコミュニケーションを行う。これは各教員が、授業を含め教育活動をリモートで行うための積み重ねとなり、教育上の現在の緊急事態を乗り切ることにつながっていくであろう。

本校は21世紀型の新しい教育を強力に進めている学校である。それでも全校的な授業改革やI C T定着には一定の時間がかかるものと考えていた。オンライン授業は海外大学や海外提携校、専門家に本校の授業に参加していただくような場面で限定的に使用されている。しかし、この3月からの全国的な学校の休校措置により、日常のどの授業においても、生徒の自主的な学びやオンライン授業が必須のものとなり、教育現場では素早く、適切な対応を求められることとなった。例えれば、数学の授業で例題を解説され、練習問題に入って、数問解答し、理解を深めている状態のところに、いきなり、応用力の必要な難問が出題されたといった感じであろうか。医療機関も企業もお店も全て同じことであろう。

コロナ禍が落ち着いた後は、世界の様々な分野で社会の仕組みや価値観、文化まで大変化が起こるだろう。日本の教育、学校の役割、仕組みも新しい形になるであろう。今は緊急措置の一部として実施されているオンラインの取り組みもメインストリームの中で役割を果たすことになり、21世紀型の新教育は、間違いなく、机上の論から日常的な社会の中で現実のものとなる。私たちはそのために、現状の取り組みを工夫に工夫を重ねて、従来の教育と新しい教育の橋渡しを行わねばならない。子供たちが学校に戻る日まで。

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