皆さんこんにちは。学校長の宍戸崇哲(ししどたかのり)です。毎月1回、校長としての私の感じたことや考えを「宍戸校長の【Back to Basics】」と題して、本校HPで発信していきます。学校や生徒のことを中心に社会の出来事なども交えて、皆さんと何かを共有できればと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。今回は「改訂版 学校長の始業式の言葉」と題してお届けいたします。
(メモを文章に書き換えています。)
コロナ禍がさらに厳しく、デルタ株感染の急激な拡大が起きています。皆さんのような若年層にも感染、場合によると重症化する事例が見られるようになり、私たち学校も今までとは異なったフェーズで感染防止対応をしなければなりません。コロナに罹患すると命に関わるということが実感するような状況です。軽い気持ちでなく、自分と大切な人の命を守る強い意識を持って、感染対策徹底と新学期の学校生活を送ってほしいと思います。これから担当部長の先生や学年の先生からのご注意をよく聞いて、皆で協力しながら行動するようにしてください。
今夏は東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。開催の是非に関しては社会的に賛否両論ありましたが、それは別として、個人的にオリパラを通じて、出場選手の懸命に努力する姿から多くの感動や生きる勇気をいただきました。特に男子校卒業生の木村潤平さん(36歳)は彼が中学生の頃からの素晴らしい人間性を知っているので、今回もパラトライアスロンで努力して、入賞を果たした姿に胸が熱くなりました。
また、今夏は線状降水帯や前線が日本国中に停滞して、大雨による大きな被害をもたらしました。コロナ対応に加えて、様々なことが起こり、大災害もあり、日本社会は混乱状態の真っ只中にあると言っても過言ではありません。多様性を重んじ、他者に共感することが大切と言いながら、自分のいる場所のみからの狭い視野で物事を考え、発信して動かす。政治や行政だけでない。メディアも外出している人たちを非難するような映像を流した直後に、お店の新しいメニューを紹介、街の新エリアを紹介する。まるで外出を促しているようにも見える。路上で飲み会をする人たちもいる。ワクチン接種についても様々な情報が錯綜する。コメンテーターはその場凌ぎの意見を言い、結果が出たのちに批判する。何を言っても、どうやっても、賛否両論あり、どうしたら良いかわからない。社会全体がバラバラで統一感がない。これまでとは違う。
このような、新たな時代に、私たちはその分野での権威ある人たちの考えを聞いて、ただ従って動けばよいのではありません。当然ながら必要な時には調和して、組織的な動きで大きなゴールを目指すことは大切であります。しかし、熟考したり判断することを決して人任せにしてはならない。自らが考え、その考えをぶれずに貫き、的確に表現して融合させて、難しい選択や決断をする。この流れを育むことこそが、日本社会が皆さんの世代に期待する21世紀型の新しい教育、個人を基軸とした、思考させる教育だと思います。この学校は先進的にこの方向に進んでいます。
本校の皆が取り組んでいる探究型学習。これも専門家の話や書物の中、机上だけで考えるのではなく自分の目の前にあること、身近なことを研究することが大切です。これこそが生きた学び。すでにゼミの中で現在の社会問題に取り組んでいる人もいるようです。素晴らしい取り組みだと思います。
「東京オリンピック、安全安心に開催する方法とは?」「人々の日常生活を守りながら感染拡大を抑える方法は?」「高齢者や基礎疾患のある人たちに効果的にワクチン接種を供給するには?」
「災害を最大限食い止める非難指示の出し方は?」「高齢者にも理解しやすい危機管理アプリ開発」などはいかがですか。
これだけでなく、クラスや部活で周りの人たちの関わりで生じる問題。「文化祭のクラス参加で意見の相違から、クラス一丸となってまとまれない。皆が積極的に活動できるマインドをどう作るか」「チームに一体感がなく、優れた結果につながらない、効果的なチームワークを構築する方法とは」「研修が全て延期や中止になった。適切な代替の活動を考える」など。
自分が困っていること、改善したい身近なことを自らで考えて、取り組んでいくことが大事です。皆知って通り、もちろん正解はない。結果が出てはじめて、正しかったか、そうでないのか、全く見当外れだったのか、なんとなく分かるようになる。それを次の研究に活かす。皆さんが現実の課題を研究テーマに据えてみると、生き生きとした討論の後、私たち世代では思いもよらない斬新かつ効果的な考えが生み出されるかもしれません。
そして、研究に取り組む際に重要なことは基礎知識の習得です。いつも皆が一番努力している部分でもあります。また、従来、日本社会が教育の中で、最大の価値をおいていた部分です。しかしながら、それが研究そのものと錯覚してしまうことも起きやすい。課題を研究、そして解決するアイディアの根源はその人の人間性、どのように生きてきたか、いわば「経験や体験」の重要性。だからこそ、子供から学生時代に何を考え、何をしたかが、その後の人生においての違いを決めることにもなります。本校の「5つの実践」を通して、個性や人間力を高める理由がここにあると思います。
最後に、留学クラスのある卒業生が私に宛てたメールの一部を紹介します。彼女は本校の国際コースで人間力を基盤として深い学びを得て、N Z一年留学後、国公立大学に合格。卒業後、ある大手I T関連企業に勤めて、社会で日々努力し、活躍を続けています。私から見ても「5つの実践」を見事に実行して、人間力も高い生徒だった印象です。彼女が以下のように書いています。
弊社では”8つの心得”という指標がございます。
「どんな人と働きたいか」を言語化し、360度評価で毎月採点しております。
項目としては、素直、前向き、責任感、礼節、感謝報恩、向上心、一生懸命、元気な挨拶と笑顔の交流という項目があり更に小項目に分かれているのですが、一見、人として当たり前な項目ですが、身につけるとなるとなかなかうまくいかず、日々、人格修養に励む日々です。
また、女性がマネージャー、リーダーとして多く活躍もしておりますので、私も顧客のお役に立ち、周りを牽引できる様な人材になるべく日々研鑽を積んでおります。
日本の大手のI T企業がこのような取り組みをしている。なぜだと思いますか。
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