東日本大震災はまだ終結していない。
8月20~21日の二日間、私たちは被災地を訪れ、このことを改めて実感しました。

吹奏楽部は2012年から毎夏、東北の被災地を巡って追悼演奏を捧げる旅を続けております。4年目の今年は福島県の沿岸部を訪問させて頂きました。

一日目
◇双葉郡楢葉町・天神岬
木戸川河口一帯が見下ろせる天神岬スポーツ公園を訪れました。かつては美味しい鮭が捕れた地域も、津波によって多くの家屋が押し流され、整地が進んでいました。眼前の静かな光景を前にして、しばし沈黙に包まれた生徒達。曇り空の下、鎮魂の祈りを込めて無伴奏の合唱を捧げました。
天神岬スポーツ公園
◇双葉郡富岡町
福島第一原発から約10km南にある富岡町を訪れ、車中から街の状況を見ました。警察署脇の公園には、殉職された警察官のパトカーが保存公開されていました。住民を助けようと最後まで沿岸部で避難を訴え続けたために大波に呑まれてしまい、車体がぺしゃんこの状態で打ち上げられていたとのこと。乗車されていた双葉署の警察官二名のうち、当時24歳の佐藤雄太さんは未だ行方不明との話を聞き、心からご冥福をお祈りしました。

富岡町
富岡町
◇いわき市久之浜・浜風商店街
震災で甚大な被害を受けた久之浜の商店街の方々は、2011年9月に第一小学校の敷地内に仮設店舗を立ち上げ、今も復興に向けて営業を続けています。昨年に引き続きこちらにお邪魔して、商店街の方々や小学生達の前で金管五重奏と合唱のミニコンサートをやらせて頂きました。

浜風商店街
浜風商店街
◇いわき市平地区
今年は立正佼成会平教会に全員の宿泊を受け入れて頂きました。食事時には手作りの美味しいおかずをたくさん振る舞って頂き、各地を訪問する際にも様々な形でご協力を頂きました。夕方には教会の中でご供養の演奏をさせて頂き、多くの方々に熱心に聴いて頂きました。
また、この日はちょうど夏井川流灯花火大会が開催されており、私たちも一人一人、灯籠を夏井川に流して参りました。

立正佼成会平教会
夏井川流灯花火大会
二日目
◇いわき市高久・仮設住宅
いわきニュータウン内にある仮設住宅を訪れ、駐車場で演奏会をやらせて頂きました。吹奏楽の定番曲に続いて演歌メドレーを演奏したところ、「津軽海峡・冬景色」を一緒に歌って下さる方もいらっしゃいました。楽器を撤収して帰る際には、「あなた達も頑張るんだよ」と声をかけて下さり、遠ざかるバスに最後まで手を振って下さる方もいました。私たちのほうが、かえって元気を頂きました。

仮設住宅
いわきニュータウン
◇いわき市平薄磯・修徳院
薄磯地区の沿岸部も津波の被害に遭い、家屋が次々と押し流されて多くの尊い命が奪われました。修徳院のご住職は、ご自身も大変な悲しい状況に遭われましたが、少しでもこの地域の心の拠り所になりたいという思いから、お寺の再建を進めていらっしゃるとのことです。私たちは供養塔の周りの雑草取りをやらせて頂いた後、お花を献じて歌を捧げました。

修徳院
修徳院
◇いわき市小名浜「いわき・ら・ら・ミュウ」
小名浜港にある観光物産センター内で復興応援コンサートを催しました。今年も小さなお子様からご年配の方までご覧いただき、心温まる演奏会になりました。

復興応援コンサート
復興応援コンサート
復興応援コンサート
復興応援コンサート
震災から4年5ヶ月が過ぎ、今回訪れた福島浜通りの各地では、除染作業・沿岸部の整地・防潮堤の建設等が急速に進んでいるさまを見ることができました。しかし、だからこそ、私たちが忘れてはいけない何かがあるのではないか、そんな思いが胸に突き上げてきました。

吹奏楽部員は9月12日のコンクールに向けて、日々休みなく練習に励んでいます。多忙を極める学校生活の中で、きっとこの二日間で感じたことは、時間をかけてますます意義深いものとなっていくでしょう。

このような得難い体験をさせて頂くことができたのも、多くの方々のご支援やご理解のおかげであることを、私たちは忘れません。今回お世話になった皆様方、誠にありがとうございました。

(文責 吹奏楽部顧問 秋田)