7月5日(水)~19日(水)まで、高校2年スーパーグローバルクラス(SGC)2期生(生徒10名)を対象に、14泊15日のタイフィールドワークが実施されました。今年度で2回目となるタイフィールドワークは、文科省から指定を受けたスーパーグローバルハイスクール(SGH)である、本校独自のプログラムです。タイの北部(チェンマイ・チェンライ)および首都バンコク周辺のNGO組織の訪問などを通して、事前に生徒たちが設定した「研究テーマ」をもとに、現地での取材やアクティビティを行い、仮説を検証し、帰国後、論文をまとめることになっています。この行事を通して、生徒たちはタイという異国の地で多くの人たちと出会い見聞を広げ、人間的にも大きく成長しました。
訪問場所、生徒たちの様子を2回に分けて報告いたします。
≪7月6日・木≫ チェンマイ
タイ初日の研修は、「チェンマイ大学語学センター」で、2つのグループに分かれてタイ語を学びました。発音が難しかったけれど、タイ語で自分の名前や挨拶くらいは言えるようになりました。赤色の「ソンテオ」(後ろの荷台に乗客が乗るタイ特有のタクシー)に乗って、最初のNGO施設「ニューライフセンター」へ。ここは、人身売買の被害のあった(被害の可能性のある)少女たちを保護し、共同生活をする施設です。到着早々、トラックから35㎏のコメ袋を下ろして運ぶ施設の少女たちの作業を手伝った後、少数民族の人身売買や差別の実情をセンター長さんからお聞きしました。次のNGO施設「タイトライバルセンター」では、フェアトレードについて積極的に質問したり、そこで取り扱っている様々な山岳民の工芸品をお土産として買ったりしました。
≪7月7日・金≫ チェンマイ
3日目は、現地チェンマイにある私立女子校レジナ・カレッジ(幼稚園~高校)の訪問です。校長先生をはじめ、熱烈な歓迎を受けました。日本の歌(「奇跡」「ひまわりの約束」)をソロで歌ってくれ、あまりに上手くて感動! 負けじと本校生徒も「ソーラン節」を披露しました。その後のインタビューの時間では、研究テーマに関するたくさんの質問を一生懸命投げかけ、レジナの生徒達も真剣に答えてくれました。昼食のお昼は、レジナと佼成の生徒達合作で、調理準備室をお借りして、美味しいカレーが出来上がり、和気藹々と頂きました。昼休みはレジナの生徒が案内する学校見学。幼稚園児や小学生の低学年の生徒が人懐っこく佼成の生徒達のところに集まってきました。午後は、教室で、両校による日本とタイの文化紹介です。生徒達は事前に日本で準備したイラストやパワーポイントで紹介し、また、レジナの生徒達もタイの民族衣装の着付けや花飾り「ポワンマライ」制作で盛り上がりました。放課後になると、本校生徒を受け入れてくれるホストファミリー(6家庭)に連れられ、みんな緊張気味にそれぞれのホスト宅へ向かっていきました。
≪7月8日・土≫ チェンマイ
心配されたレジナカレッジ生徒宅のホームステイでしたが、翌朝、再会した生徒たちは、たった1日のホームステイにもかかわらず、とても満足そうな様子で、お土産を頂いたり、いろいろな場所に連れて行ってもらったり、大変良くして頂いたようで、見送りに来たホストファミリーと涙を流してお別れをする生徒も…。本日最初の訪問地は、ストリートチルドレンの更生を目指すNGO団体「アーサーパタナデック財団」。説明してくださった責任者の方も、元ストリートチルドレンだったとのこと。小さな建物の中に、小さな子供たちから私たちと同じ高校生くらいの男女が十数人、ゲームをしたりして遊んでいました。その明るい様子からストリートチルドレンという暗いイメージが払しょくされました。午後の訪問地はFEDRA(中学卒業後~18歳までの山岳民出身の女子に教育・農業技術を提供する組織)というNGO団体。親元を離れ寮生活をしている16人の生徒と日本とタイについてそれぞれ質問しあったり、タイ民謡を一緒に踊ったり、「ソーラン節」を披露して、同年代の若い女の子同士、すぐに打ち解け、スマホで写真を撮ったり、SNSの交換をしたりして、交流を深めました。
夜、屋台で夕食を食べた後、この日が「仏教の日(三宝節)」という祝日であったため、日本の縁日のような出店でにぎわうチェンマイ旧市街地のワット・チャイ・ロン寺院を参拝。オレンジの袈裟を着た大勢の僧侶たちと一緒に、寺院の周りをぐるぐると三周廻る幻想的な儀式に参加できたことは貴重な体験となりました。
≪7月9日・日~10日・月≫ ヒンラートナイ村
チェンマイから離れて、車で約3時間、山岳地帯に入り、急なカーブが続く道を上ったり下りたりして、ようやく目的地のカレン族の村(ヒンラートナイ村)へ。周りを山々に囲まれた谷あいの村、うっそうとした森の中に約20世帯の高床の家々が点在していました。生徒は2人ペアになって、それぞれ割り当てられた家に…。トイレは家の外にある小さな小屋。紙を流せず、用を足した後は水がめからひしゃくで水を汲んで流す、水しか出ないシャワー、夜の明かりはソーラー発電のため、時間が来れば強制的に消灯し真っ暗に。最初はみんなどぎまぎしていたけれど、カレンの村人たちは、温かく日本から来た女子高生を受け入れてくれました。今年は毛虫が異常発生という森の中を悲鳴を上げながら歩き、所々がぬかるみ、水が流れる山道を泥だらけになって歩き、やっとたどり着いた田んぼはちょうど田植えが終わり緑のじゅうたんを敷き詰めたように美しかった。山の斜面を利用した循環型農業でトウモロコシ畑やバナナ畑が広がり、思わず生徒たちはその急斜面を駆け上り、降りるときには滑りそうになって怖がっているみんなの足元を村人が鍬で階段を作ってくれました。カレンの人々は本当に優しい人たちでした。朝は鶏の鳴き声で自然に目覚め、時間に拘束されない思い思いに過ごした二日間でした。カレンの民族衣装を着せてもらったり、機織りのお手伝いをしたり、家の小さな子供たちと遊んだり、中にはゆったりと昼寝をする生徒もいました。二日目の夜にカレンの人たちとみんなでキャンプファイヤーを囲んで食べた「焼き卵」がおいしかった。まさに文明社会を忘れて自然の中にどっぷりとつかったカレン族の村の滞在でした(そういえば、あの人なつっこい犬たちは今も元気にしているのだろうか…?)。
タイフィールドワーク前半の報告は以上です。
後日、後半の報告もさせていただきますので、ご期待ください。
(文責:国際部 片桐)