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第1回 日韓共同授業を行いました(テーマ:パレスチナ問題)

10/25(金)の放課後に有志生徒による日韓共同授業を実施しました。

8月に行われた第21回東アジア歴史体験キャンプで親睦を深めた韓国・忠北芸術高校の生徒たちと久しぶりの再会となった今回は、10月で「一年」をむかえたガザ紛争をテーマに「日本と韓国におけるパレスチナ問題に関する報道の差異」について議論しました。

※第21回東アジア歴史体験キャンプの様子は次のHPを参考にしてください。

第21回東アジア歴史体験キャンプ2024 in 京都に参加しました!

 

 

まずは韓国におけるメディアでの報道内容が紹介されたあと、日本でのテレビ・新聞報道のあり方を具体的な番組・記事をもとに紹介しました。

①テレビ報道で特に顕著なのが、E.サイードが言う「カヴァーリング・イスラム」という事象で、イスラム圏を報道(カヴァー)することはイスラム圏のことを返って隠蔽(カヴァー)してしまうこと。つまり、イスラエル・パレスチナの両者の言い分を「均等」に取り上げることは、パレスチナ問題の本質を覆い隠してしまうこと。

②新聞報道では、テレビ報道と同じようにイスラエル・パレスチナ両方の市民の声を届けていること。

③しかし新聞報道では、別日に掲載された専門家による解説と合わせて読むことで、「イスラエルによるパレスチナへの国際法違反状態の占領」がパレスチナ問題の本質の一つだと理解できること。

以上の内容を学びました。

 

次に、サラ・ロイ 著、岡真理・小田切拓・早尾貴紀 訳『ホロコーストからガザへ-パレスチナの政治経済学-(新装版)』(青土社、2024年)の内容を紹介しました。そのなかで、在日朝鮮人で学者の徐京植氏とサラ・ロイ氏の対談を読み解きながら、

①大前提として占領とは辱めであり、人間性の破壊であること。

②同じ1948年に起きたパレスチナと朝鮮半島の分断の問題と向き合うことは、人類史における植民地主義・占領・国民国家体制という難問を正しく解くことにつながること。

③この二つの事件を結ぶ文脈を統一的なものとして理解し、その解決のために「新しい普遍性」を私たちが構築しなければならないこと。

を学び、「植民地支配をした日本と支配を受けた韓国」の間で意見・感想をシェアしました。以下は挙がった意見・感想の一部です。

 

【韓国側】

・韓国の報道では実際に起きた事実を把握するようになっている。日本の報道では両者の意見を報道している。

・イスラエルとパレスチナで起きている戦争は、土地に関連して始まってしまったが、この戦争のせいで軍人だけでなく、女性や子供のような社会的弱者の被害も多かった。戦争がなければもっと良かったと思うが、戦争中に民間人が死ぬことはあってはいけない。日本の記事を見たとき、両国の互いに異なる意見を載せて、一つの偏った意見を招くのを止めているのを見て、良いなと思った。

・ユダヤ人と日本の植民地の話について、関連付けて考えたことがなかった。このような考え方は新しい。

・韓国ではパレスチナと似た経験をしておきながら、多くのメディアがイスラエル側に立った報道をしていることを残念に思いました。

 

【日本側】

・個人個人の関わりや自由が、国同士の思惑で上手くいかなくなっていることを感じた。こんなにたくさん報道されているのにかかわらず、あまり良くない方向に傾いている現状に対して、国がもっとできることはないのかと思いました(生徒)。

・今日話を聴くまで遠い国の話だと思っていたが、両国の発表を聴いて、当事者意識を持って関わらないといけないと思った(生徒)。

・実は恥ずかしながらイスラエルとパレスチナの話はどこか遠い話だと思っていた。根本的にはつながっていることがあったり、そこから学ばなければいけないことがたくさんあると思いました。もっと世界の問題に目を向けられるようになりたいです(韓国語通訳として参加した韓国在学中の卒業生)。

 

授業後は、久しぶりに再会した日韓の生徒たち同士で、歴史体験キャンプの際に交換したプレゼントを見せ合うなど楽しそうに交流していました。次は、韓国側の生徒が主に発表する第2回を予定しています。国境を越えて学びを深めていく生徒たちをこれからも応援していきます。

(髙野 晃多)