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タイフィールドワーク日誌5

タイフィールドワークの記事第5弾、最終回となります。

SGクラス4期生は、7月13日にタイ西部のカンチャナブリで1泊した後、再びバンコクに入り、2週間にわたる学びの活動を締めくくりました。以下、その活動のご報告です。

①アジア太平洋戦争を考える 
カンチャナブリは、戦時中日本軍の指令で建設された泰緬鉄道が残っていることで有名です。映画「戦場にかける橋」のモデルとなったクウェー河鉄橋を渡る列車に乗った後、鉄道建設の一番の難所であったヘルファイヤパス(地獄の切り通し)を訪れました。鉄道建設の際、イギリスやオーストラリアなどの連合国軍の捕虜や東南アジア諸国から集められた労務者が、過酷な労働に従事させられ、多くの人が命を落としました。今も世界各国の人々がこの地を訪れ、鎮魂と平和の祈りを捧げています。歴史の現場を歩くことで、授業や本で学んだ知識が、生きた教養として体得されたことでしょう。

②新たな人生を生きる子どもたちと
カンチャナブリ郊外にある「生き直しの学校」は、親からの虐待や薬物中毒などに苦しんだ子どもたちが保護されて、安全に生活して学ぶための場です。ドゥアン・プラティープ財団によって運営されています。厳しい境遇を生きてきた子どもたちですが、みな溢れんばかりの笑顔で私たちを迎えてくれました。寝食を共にし、遊び、歌い、踊りながら、言語に依存しない交流を楽しみました。

 

 

③decent workの実現を目指して
SGクラスは毎年、バンコクの国連ビルにあるILO(International Labour Organization、国際労働機関)を訪問しています。今回は、ILOで働く日本人とドイツ人の女性の専門家お二人から特別に講義をしていただきました。児童労働、外国人労働者、ジェンダーギャップなどの問題を通じて、働きがいのある人間らしい仕事、すなわちdecent workとは何かを考えました。1919年の国際連盟創立年に発足したILOは、今年100周年を迎えました。そんな記念の年にILOを訪問できたSG4期生たちは、国際機関で働く人々の姿を目の当たりにして、大いに向学心を刺激されました。

15日間にわたるタイフィールドワーク。SGクラスの一員となってこの旅に参加したことで、今まで経験したことのない価値観の揺さぶりを感じたことでしょう。以下は2人のSG生の声です。

Yさん
タイフィールドワークでは自分の興味のあることはもちろん、それ以外のことも沢山学ぶことができるし、さらにこれについても知りたい!と思うことが増えていき、本当に充実した学びの旅にすることができました。
日本では絶対に経験できないことも沢山経験できます。カレン族でのホームステイは一生忘れられません。電気も携帯も温かいお風呂もない生活で言語も違うのに、人々が本当に温かく穏やかで、普段毎日忙しい生活を送っているのを忘れるぐらい1日1日がとても穏やかに過ぎていき、かけがえのないものになりました。他にも、バンコクでのスラム街訪問で自分とは全く違う環境で生活している人々を見て、自分の視野の狭さを知り、沢山考えさせられるような研修でした。
日本に帰ってからも改めて自分の周りの人々や環境にさらに感謝するようになり、SGクラスの友達と2週間も集団生活をすることで、自分自身とても成長することができたと思います。

Tさん
研修前、私はタイでの経験を学びに活かせるか、上手く研究を進められるか不安でした。しかし、今回のタイ研修では、課題研究のことのみならず、海外で活躍する日本人の姿や、困っている人々を助けようとする様々な人の姿を見ることができ、結果的に私の視野を広げる良い機会にすることができました。
訪問した企業や団体は、外国人労働者に関することだったり、児童虐待のことだったり、観光のことだったりと様々でした。各団体に訪問する前は、自分の研究に関連しない団体ではあまり学べないのではないかと思っていました。しかし、自分の研究に関係ないことでも、面白かったり役に立ったりして単純に自分の研究と関係ないからと言って切り離してはいけないと思いました。
また、山岳民族や子供達のために様々な活動をしている人たちを間近で見て、とても感動しました。山岳民族の子供達のための小学校を建てようとしているミラー財団でのお話や、子供達のために自分が受け取った多額のお金を全て財団に使ったプラティープさんのお話は、私の考え方に多大な影響を及ぼしました。
海外の団体企業で活躍する日本人の姿も間近で見ることができました。ミラー財団の女性は大学時代にボランティアに来てからずっとタイで暮らし、少数民族であるアカ族の旦那さんと幸せそうにしていました。青年海外協力隊の男性は様々な国でその土地の人々のために努力していました。海外で仕事をするにあたって辛いことや大変なこともいっぱいあるとは思いますが、置かれた場所で輝いていらっしゃる方々をみて、海外で仕事をすることの良さを知ることができました。
タイでの経験によって、日本で凝り固まった頭を柔らかくすることができました。日本では、ある1つの考え方に固執してしまったり、窮屈な思考でいてしまったりしましたが、タイにきて様々な人と出会ってその思考を変えることができました。

SG4期生のタイフィールドワークの記事は以上となります。現地でお世話になった皆様方に深く御礼申し上げます。