SGクラス9期生(高2)は、12月に様々な特別授業を実施しました。
佼成学園高等学校グローバルコース 研究交流会
12月12日(木)、佼成学園高等学校にお邪魔して、高校2年グローバルコースの皆さんと研究交流会を実施いたしました。
男子校グローバルコースは、アントレプレナーシップ教育を実践しています。今回は男子校はビジネスピッチ、女子校は研究論文のアウトラインをそれぞれ発表し、教員も交えてお互いにフィードバックをしました。
課題研究を行う女子校SGクラスの生徒とは異なる視点で学習を進めているからこそ、お互いの発表に対して新鮮な反応を得ることができました。
以下生徒たちの感想です。
- すでに研究を自分より早い段階で進めている男子校の人に論文のアウトラインを見せることで、論文作成の過程の中で今まで曖昧な部分もあった点についてアドバイスを得ることができてよかったです。
- 学んだことが多かった。
先行研究でどんなものを読んだらいいかなどアドバイスをもらってとても参考になった。男子校は女子校とは全く違うテーマで研究していて新しく学んだことや少し似ているところがあって交流していてとても楽しかった。また交流会をしたい。 - 観光業の目線から見た、解決方法や研究の流れを知ることで、私のやりたかったことは何かがはっきりわかったので、すごく良い機会になりました。定期的にぜひ意見交換の場が欲しいと思いました。
- 同じような研究をやっているのにも関わらず、研究のゴールが違うと、ここまで考え方や研究の仕方が違うのかと思いました。また、研究に対する関心や実践を積極的に行うところがいいと思いました。
成城高等学校カンボジアキャラバン 研究交流会
12月18日(水)、本校にて新宿区にある成城高等学校の皆さんと研究交流会を実施いたしました。
成城高校の皆さんは、この夏に4泊6日のカンボジア研修を実施されています。同じ東南アジア圏でフィールドワークを実施した生徒たち同士が、それぞれの実践を報告したり、執筆中の論文についてディスカッションをしたりすることで、お互いに良い刺激を受けることができました。
以下生徒たちの感想です。
- すでに出来上がっている相手校の論文やプレゼンを見ることで、今後の論文作成や研究の方向性をイメージすることができました。
- カンボジアとタイは似ているところがとても多いと感じた。例えば、通学ではバイクを使って登校しているところ。(電車があまりない)タイの中でもバンコクよりチェンマイの方が似ていると感じた。
- 参考文献を探す時、私はGoogle scholarや書籍などを使っているけれど、国立図書館などに行って探すとまた新しい論文が見つかるので行ってみたいと思いました。また、インタビューをする時には年代や性別などをバラバラにすると違いがたくさん見えてくると思うので、インタビューする時はバラバラにして行いたいです。
「他者に伝わるように自身の経験を言語化する」「自分の課題研究の現在位置を正しく理解し伝える」という経験は、クラスの中だけではなかなか実現しづらいものです。今回2校の生徒の皆さんと交流を行ったことで、生徒たちは今までにない新たな視点や考え方を獲得することが出来たのではないでしょうか。
青山学院大学地球社会共生学部 林拓也教授講義「現代アジアの課題」
12月20日(金)、青山学院大学地球社会共生学部の林拓也教授より、「現代アジアの課題」と題して講義を実施していただきました。
まずは、「生産するアジアと消費するアジア」という観点で、世界経済におけるアジアの急成長について学びました。
アジア地域に対するイメージを問われ、マイナス面を多く挙げた生徒たちは、自身のイメージだけでアジアを捉えていたという事実を痛感していました。今夏に14日間タイフィールドワークに行った経験があるからこそ、現地で見たことを印象で語るのではなく、データに基づいて正しく現状を理解する必要がある、ということを学ぶ良い機会となりました。
続いて、「老いていくアジア」「疲弊するアジア」という観点から、アジアが直面する急速な高齢化と、社会発展を置き去りにした経済発展によって疲弊した社会の様相などを語っていただきました。
講義の最後には、アジアの成長に伴ってプレゼンスの低下した日本に住む自分達が、これからのアジアにおいて果たす役割は何なのか?という問いかけがあり、生徒たちは真剣に考えていました。
また、自らの進路を選択するにあたり、日本のみでなく世界を視野に入れて考えるべきこと、大学や企業の名前ではなく、自分自身のやりたいことに向き合って決めるべきこと、などのアドバイスも頂きました。現代アジアについて学ぶことは、生徒たちが今後生きていく社会を見つめることにもつながります。生徒たちが今後の進路を検討する上でも、非常に有意義な時間となりました。
林教授からは、講義内容だけでなく、メモの取り方や統計データの活用方法など、今後課題研究を進める上で重要なことも沢山教えていただきました。9期生はこの冬休みを使ってそれぞれの課題研究論文を完成させます。今回の学びを活かし、よりよい論文を仕上げてくれることを期待しています。
以下生徒たちの感想です。
- 自分が今まで抱いていたイメージが一気に覆った。とても刺激のある授業だった。
経済格差、IT格差、女性の晩婚化、自殺率等講義を聞いていく中で、様々な課題が繋がっていって複雑に絡み合っていることが分かりました。自分が今までに調査した研究内容にも付随する内容ばかりで視野が広がりました。
「農村部の高齢者が増えてしまう」、どうすることもできない、仕方ないで終わってしまうのではなく、誰が高齢者をケアするのか、外国人労働者に頼ってもその外国人労働者が高齢者になったら誰が支えるのかなど、より問い続けることをしていて自分も意識しようと思いました。また、自分が何気なく使っていた「格差が大きい」も根拠は何?と聞かれた時にすぐに答えられませんでした。色んな背景、データを元にもっと調べていきたいと思いました。
曖昧に前進せず、一度立ち止まって土台となる情報を固める良いきっかけになりました。 - 今までアジアに対して、「日本、中国、シンガポールなど発展している国と、中東や東南アジアなどに多く見られる発展途上国の差が激しい」というイメージを抱いていた。しかし今回の講義を聞き、経済発展の各段階における人口増減や物価高騰のメカニズムや、アジアの実際の社会・経済について学ぶことで、「差」とは何なのかやどのようにして生じるのかをより具体的に知ることができた。また、ジニ係数で経済格差を表現するという根拠づけが特に印象的で、得たデータを自分で解釈するという研究手法や、どのようなことを説明するときに数値的なエビデンスを用いるのかについての学びや積極的に英語の資料を用いるという点は研究するにあたって意識したいと思った。
- まず、大学の授業を実際の時間で受けてみて、思った以上に短く感じた。
研究をする上で、文章のみから判断するのではなく、実際に表された数値からエビデンスを見つけて、それからもう一度判断しなければならないなと感じました。
また、タイの「ストレス」、「自殺」の関連性に関して、すごく衝撃を受けました。林先生がおっしゃっていた「そのタイ人は空想に過ぎない」と言われたとき、やはりその考えに達するまでのエビデンスは大事だなと強く感じました。 - 様々な統計などでエビデンスを示しつつ講義をしてくださったことで、論文でもこのようにエビデンスを提示すれば良いのだと理解できたのがありがたかった。
全然世界のことを知らなかったことを知れて、視野が広がった気がした。自分たちのいるアジアのことを全然理解していなかったことは自分を見直すきっかけになる気がしている。少子高齢化の仕組みについても知れてよかった。物事を考える時に簡単な例で考えることが考えやすいと教えてくださって感謝している。 - 現代アジアについて、多角的な角度で教えていただけるのは貴重な機会で嬉しかったです。貧困や経済格差などのよくある導入からではなく、ポジティブな現状があるという点に視点をおくことで、多くあるネガティブな事象とポジティブな事象が平行線にあるという観点を持って内容を聞くことができました。具体的なイメージをしやすい先生の説明で、それぞれの事象の時代ごとの移り変わりを想像することが簡単にできました。
調べて得たデータを加工して、自分の伝えたいことがよりわかりやすく伝わるように加工するという方法は、自分の研究にも活かしていきたいなと思いました。
今回の特別授業の実施に際してご協力を賜った関係者の皆様、どうもありがとうございました。
3日間で得た学びを糧に、来年4月のロンドン研修に向けて引き続き日々の学習に取り組んでまいります。