佼成女子News一覧 Kosei Gakuen Girls' News List

SGクラス5期生 ロンドン大学オンライン研修(2)

5月28日(金)、スーパーグローバルクラス5期生(高3)は、3週間半にわたるロンドン大学オンライン研修を修了しました。

平日の放課後、SG生13名はPCが並ぶマルチメディア室に集合し、英語で講義を受け、英語で議論を進め、英語で論文を書く日々を過ごしました。高校の授業や受験勉強と並行して海外大学のオンライン講義を受けた17日間は、毎日とても忙しい日々となりました。英語で論文を書くということは、日本語の論文をただ英訳するということではありません。教授が求める構成・内容・表現に合わせて、論文を一から作り上げないといけません。論理的な思考力と明晰な表現力が必要であり、冗長な文章を書くとすぐに修正を求められます。引用する文献も日本語資料は認められず、英語資料を参照しないといけません。時には厳しいご指導もありましたが、誰も途中で諦めることなく、見事に英語論文を完成させました。全員よく頑張りました。以下、生徒たちの声です。

「普段の授業とは異なる貴重な体験ができた4週間でした。特に、ジェンダーや環境問題などの地球規模の社会問題についてのディスカッションや講義がすごく面白かったです。1つのテーマを3人の先生がそれぞれの授業で深く掘り下げてくれるので、新たな視点を多く得られました。例えば、環境問題について議論した際にSDGsを批判的に見るという視点が新鮮でした。私はSDGsは社会を良い方向へ導いているという固定観念にとらわれていましたが、実際SDGsは金銭に余裕のない国々にとっては非現実的なものであり、実現不可能であるゴールが多いそうです。そうした国々のためにどのようなゴールを設けたら良いのか、答えのない問いをみんなで話し合いながら模索しました。ロンドン大学という名門校で日本の高校生が学べる機会は滅多にないと思います。濃く、充実したオンライン講義を受けることのできた4週間はプライスレスだったと思います。」(秋山さん)

「先生方の授業はどれも初めての経験で、刺激的でした。特にマリア先生とジェシュミン先生の授業は、事前に提供される資料を基にしたディスカッション形式で進みました。ここでは、意見を発する〈積極性〉はもちろん、何を求められているかを適切に把握する〈理解力〉、全て英語の授業についていく〈語学力〉、話を聞き洩らさない〈集中力〉など様々な力が必要でした。特に私は以前から〈理解力〉が一番の課題であると感じていました。聞かれたことに対して適切に理解し、答えるという力が私には圧倒的に足りないと気が付いていたこともあり、今回の研修ではより一層先生の問いに対して敏感に取り組めたと思います。自分の欠点を理解した上で、力を鍛える絶好の機会を得られたことが純粋に嬉しかったです。」(吉見さん)

◆後輩たちにつなぐ思い

6月4日(金)、ロンドン大学研修を終えたSG5期生の篠原さんと武井さんは、SG6期生(高2)の特設授業「国際文化」で講師役となり、自分たちの経験を後輩に伝える特別授業を行いました。ロンドン大学のオンライン研修を終え、「英語論文を書くことの大変さや準備の重要性を後輩達に伝えたい」という思いから、自発的にこの特別授業を企画提案し、わずか数日で授業案とスライドを準備してくれました。授業では、まず自分たちの研究、お世話になった教授のこと、英語論文と日本語論文の違いなどについてプレゼンし、その後、グループになって後輩たちの疑問に次々と答えていきました。以下、後輩たちの声です。

「今回の授業で1番の刺激は、フィールドワークについてです。武井先輩と篠原先輩によると、積極的に早くから進めていくことが大切とのことです。武井先輩は、自分で勇気を出してNPOやNGOに連絡を取り、インタビューやzoom会議に参加したとおっしゃっていました。篠原先輩も自分でボランティア活動に参加したと話していました。曖昧な知識ではなく、実践したことが意見を深めるきっかけになったとおっしゃっていて、今の私に必要だと考える〈テーマを狭めること〉に取り入れられると思いました。今回のお話を聞いて、私も8月の夏合宿までにフィールドワークを実践したいと思いました。」(坪内さん)

「先輩の発表の中で、ADVICEのスライドがありました。私はその中でも、”安易に他国との比較をしないこと”と、”英語の文献を探すこと”が印象深く残っています。特に一つ目の点は、初め聞いた時は驚きました。というのも今回の課題研究で私は、3カ国で比較をしたからです。しかしこれは、”比較をするのがいけない”ということではなく、”テーマを絞る”という点でなるほどと感心しました。どんな地域のどの問題でどういった視点から考えていくのか、徐々に明確にしていきたいと感じました。」(島﨑さん)

楽しみにしていた海外研修が中止に追い込まれ、やり場のない思いを抱えてきたSG5期生たち。そんな境遇を受け止め、オンライン研修に明るく熱心に取り組む姿は、実に立派でした。さらには、後輩たちの成長を後押ししようと行動する姿に、高校生とは思えない精神的な成熟を感じました。SGクラスの知的で親密な文化を、後輩たちもきっと受け継いでくれることでしょう。